見出し画像

#34 私の両親への挨拶・当日④ 【マッチングアプリで出会ったモラハラ婚約者と別れた話】

両親の評価を気にして、質問攻め


母が駅まで送ってくれた。東京行きの電車に乗って一息ついた。 ふぅ、疲れたねえ。

わんこ おれ、大丈夫だった?ちゃんとできてた?失敗してなかった?変なこと言ってなかった?

 できてたよ。お疲れ様。ありがとうね~。


正直言うと、心の中では「うーん」だった。 ちゃんとできていなかったところもある。両親に「リンが素敵な恋人を連れてきた」と思ってもらえるよう、彼なりにすっごくがんばっていたのは分かるんだけど…ね。


手土産を袋のまま渡したことや、コートが斜めになっていることに執着していたことは、まぁいいとして。母の前でいちゃつかれた件と、私たち家族の存在を忘れて犬と延々と遊んでいた件は、良くなかったと伝えた方がいいのかなぁ。
でも、なんて言う?それに、駄目だと思ってるのは私だけかも知れない…。

そして、彼にそれを伝えるということは、「君はいつも周りが見えていない」ってことを自覚させるところから始めないといけない。それ、今、電車の中でおっぱじめるのはしんどくない?お互い疲れてるしさ。
何より、今日一日頑張ってくれた彼にダメ出しをしたくない。私、甘いかな?

相手によっては「あれはダメでしょー!」ってストレートに言えるけど、彼は思っていたより傷つきやすい性格な気がしてきたので、言うのであれば、二人の気持ちに余裕がある時に、慎重に言葉を選んで伝えた方が良さそうな気がする。

なんてことを考えていたら、わんこくんから怒涛の質問攻めが始まった。

わんこ ご両親からLINE来た?

 来てないけど、何で?

わんこ おれのこと、何か言ってるかなと思って。

 さっき別れたばかりだよ?来るとしても、私たちが帰宅する頃じゃない?

わんこ おれがお手洗いで中座していた時、ご両親はおれのことを何か言ってた?どんな第一印象だったかな?気に入ってもらえたと思う?

 「真面目そうな人だねぇ」とは言ってたよ。そもそも、そんなにたくさん会話してないよー。

わんこ 本当に?他には?

 それだけだよー。

わんこ 本当に?

 本当だよ。今のところ、何も悪い話は聞いていないし、二人の表情を見ても悪い印象は抱いていないと思う。心配しなくていいよ。

わんこ そうかなぁ。

 そうだよ。


両親の評価が気になって気になって気になって仕方がないみたいで、安心してねと何度もあやした。
これまでもこういうことはよくあって、「繊細な人なんだなぁ」と思っていたけど、この瞬間、「あぁ、この人は、自分でメンタルケアが出来ない手のかかる人なんだ」という後ろ向きな印象に変わった。それに、彼は自信家に見えて、実は自分にすごく自信がないのかも知れない。


それから、こんなことも言っていた。

わんこ 同棲や結婚のことをお父さんに言えなかった。おれから言うつもりで、ちゃんとタイミングを見計らっていたんだよ?お母さんには、リンちゃんがさらっと言っちゃったし…。(しょぼん)


うんうん、そうだよね。「おれだけの力で、完璧な挨拶を成し遂げたかった」んだもんね。でも、そもそもは、君が犬と遊んでいてタイミングを逃したんだから、仕方なくない?笑
それに、今回はただの顔合わせなんだから、そんなにがっつり挨拶しなくてもいいよ。同棲のことは、改めて電話で済ませればいいと思うな。

帰宅後、すぐに両親へお礼の電話


わんこハウスに到着すると、彼はすぐに両親にお礼の電話をしたがった。私が母にLINE電話をかけて、彼に替わった。彼は母と少し話してから、父にも挨拶をしてくれた。

わんこ 今日はお招きいただき、ありがとうございました。ちゃんとお伝えできなかったのですが、リンさんとは将来のことも考えて真剣にお付き合いさせていただいています。至らないところも多いかと思いますが、今後とも、よろしくお願いいたします。


帰宅後、すぐに電話でお礼を伝えようという発想は完璧。お礼は、その場・事後・後日の3回言うといいよね!こういう律儀なところが好きだよ。

 電話してくれて、ありがとう。うれしい!ちゃんとしてるね!

わんこ 当たり前やろ?フィアンセとして、当然のことをしたまでや。リンちゃんに恥はかかせない。(どや)

 電話してくれなかったら恥だなんて思わないけどね?

わんこ お父さんの声は、なんとなく物寂しげやった。愛娘が嫁に行っちゃうかも知れないから、色々と思うところがあるんやろうな。おれ、リンちゃんと生きていく責任を感じた。頑張らなきゃと思った。


ふーん。笑
わんこくんの言動には常に「ありがたい」と思ってきたけど、家族に会わせて冷静になったせいか、感謝の気持ちとは別に「押し付けがましい」と思うようにもなった。本当は、今までも思っていたけど、その気持ちに気づかないふりをして来たのかも。

でも、彼が「がんばった。ホメテホメテ!」としっぽを振るワンコにも見えるのは相変わらずで、愛しいことには何ら変わりない。失敗しても期待外れでも、私のために一所懸命になってくれる彼のことは大好きなのだ。

ただ、頑張らなきゃ!が加速して、また「おれが一人でがんばらなきゃ」と暴走しないといいなぁ。それが心配だ。


明日は月曜日。仕事があるので、いつもなら今夜中に自宅に戻るんだけど、わんこくんの希望で明朝にタクシーで帰ることに。挨拶を終えて私たちの関係が一歩前進したから、彼の気持ちが昂っていて、朝まで一緒にいたいのだそうだ。タクシー代は出してくれると。
この日を境に、彼の家で会った週末は、月曜の朝にタクシーで帰るようになった。

彼を両親に会わせてみた感想


今回、わんこくんが私以外の人間と接しているのを初めて見た。

改めて、彼が好きな人のために150%の力で頑張ってしまう人だということがよーーく分かった。私がわんこくんを選んだ一番の理由はそれだ。
熱心さと愛情を感じるから、何日も離れていても、彼が女性と食事に行っても、仕事が忙しくて連絡が来なくても、ちっとも不安にならない。ほう、そうかそうか、いいんじゃね?と手放しで自由にしてあげられる。

ただ、彼は、人の気持ちの機微を感じ取るのがやっぱり苦手だ。私だからうまくいかないのかな〜と悩んでいたけど、家族が相手でも同じだったのが分かったのは収穫だ。今後、私は自分を責めなくて済むし、「彼はそういう人だ」と割り切れるから、心の準備・対策・ケアができる。

問題は、彼が人の気持ちを読むのが苦手だと自覚していない点。もし自覚があったとしても、「おれはコミュ力がある」と豪語しているあたり、事実を認めていないと思う。笑
このせいで、これから大きな失敗をするかも知れない。私の前ならまだしも、仕事で大失敗しないか心配だなぁ。仕事は彼の人生そのものだから、職場で生きにくくならないといいなぁ。

まぁ、色々と思うところはあるけども。今日はわんこくんを労って、一番の癒しである私を抱き枕にさせてあげよう。頑張ってくれてありがとう。


―― 私のメンタル崩壊まで、あと140日 ――


【本日のわんこ語録】
「おれ、大丈夫だった?ちゃんとできてた?失敗してなかった?変なこと言ってなかった?」
「当たり前やろ?フィアンセとして、当然のことをしたまでや。リンちゃんに恥はかかせない。(どや)」
「おれ、リンちゃんと生きていく責任を感じた。頑張らなきゃと思った」


りん