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【長編】「空の玉座」を守り続けるPSG、崩壊寸前(後編)

(この記事は後編です。いきなり目次から始めやがって話が見えんわ!という方は、大変恐縮ですが手を滑らせてフォローを踏んでから前編をご覧になってくださいませ。)

①PSG、致命的な先見の無さ

パリサンジェルマンの「プロジェクト」とやらが完璧だとしよう

ネイマールとムバッペは中核に据える投資だったと考えるべきだろう。特に前者は広告塔として絶大な効果も発揮するし、何より移籍当時は前編で触れたように絶頂期だった。だとすれば、17年に獲得した時点で中長期計画が練られていないとおかしい。年間予算が実質無限とはいえ、世間的な目からすれば1人に200億以上払う投資は目に付く。ここぞと気合を入れた投資だったはずだ。

PSGがCL「優勝」を掲げる以上、資金に物言わせて投資に回すべきはライバルチームの弱体化と自チームの強化、および直近3年以内でCLベスト8以上。この辺が現実になれば、ファンはチームの可能性に希望が持てる。しかし、そうはならなかった。

バルセロナからネイマールを引き抜いて、弱体化が進んだかと言われると部分的には成功だろう。「ネイマール・ロス」が発生し、デンベレとコウチーニョを100億近くずつかけて手に入れたりして右往左往し、適応まで時間がかかっていた。しかしそこまで。2シーズン連続でローマとリバプールに大逆転劇を演出されたのは確かに衝撃だったが、PSGにいたっては3シーズン連続ベスト16敗退。存在は歯牙にもかかっていない。結局自チームの強化にも繋がっていないことになる。

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そんなことを2年も続けている間に、前編の通りムバッペは急成長。彼自身の実力とフランスリーグのレベルを照らし合わせれば、プレーする先がPSGである必要性は無くなっている。むしろバロンドールを視野に入れるならばフランスから出る方が現実的だ。現行契約期間の2022年まで待ってもまだ23才だが、経歴がそこまで待ってくれない。W杯を獲った年間最優秀選手を一体どこが放っておくのだろう。

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万が一、彼の成長ぶりを予見できていなかったというならば、論外の領域である。私個人の記録になって申し訳ないが、日本に住んでいるただの男性(25、独身)でさえ、真剣にデータを取って考察して06年から4大会連続でW杯優勝国を当てられている。その道を極めたプロが集結し、大量のフィジカルデータとマッチデータがあるクラブであれば、大会後ムバッペの市場価値がハネ上がる「かもしれない」予見はあってしかるべきだろう。それを良しとしているのであればムバッペの獲得はあくまで「仕入れ」で、売ることが前提ということになる(とすれば、この時点でプロジェクトとやらは頓挫しているのだが)。

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