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BU Last Chance Invitational

今年2月、アメリカ、マサチューセッツ州ボストンで行われた
Boston University Last Chance Invitationalの1mileに出場してきました。

日本ではあまり見慣れない室内でのトラックレース。
1周200mのカーブに傾斜のあるトラックで行われるレースです。

ポイントランキング制に変更されていく世界大会出場基準に対して、この時期、インドアでのレースというのはとても都合がいいと考えています。
ポイントを稼ぐためにと、この試合を設定して、冬期練習で準備をしてきました。

私が思うインドアレースに出場するメリットとして、
同じタイムでも大きくポイントに差がでるという事。
例えば1500mを3分45秒で走る場合、アウトドアでは1041点(3'44"99)インドアでは1089点(3'44"97)。50点近くものポイント差がつきます。
(1500mでは5本分のレースでのポイント平均から点数を算出するのでおよそ10点の差がつきます。)
決して楽にとはいえませんが、インドアでいい記録を出す事で、シーズンが有利に進められます。
インドアをいい感覚で終えることができれば、4月もスタートから、レース感を予め掴めた状態で戦うことができます。

一方、インドアシーズンは2月からで、通常のシーズンを戦うより2ヶ月長くシーズンを戦うことが必要となる為、コンディショニングやトレーニングなどのスケジュールの調整が必要になります。
調子が上がっていない選手は無理をせずにトレーニングを続行し、4月頃の暖かくなってきたアウトドアシーズンからシーズンに出場します。

Man's 1mile invitational

レースには、ニュージーランドの超英雄ニックウィリスをはじめとする強い選手が揃っていた上、ラビットも設定されていて記録を狙うには十分な条件でした。
同じレースにはHONDAの荒井選手も出場していて、しっかり気を引き締めて臨みました。

冬期トレーニングスケジュールを予定通り消化できていなかったこともあり、目標はサブ4、それでも落ち着いて力を発揮すれば難しくない記録だと、そこに設定しました。

前半、無理に前に行かない位置どりをして、少しずつ前に出ていく、その展開をイメージして走っていましたが、そこが落とし穴。
力が均衡する選手とのレースに、インドアでの短い直線で順位を1つあげるのにも大きく力を使ってしまいました。

6周目から勝負と思った頃には先頭との距離が開いてしまい、修正が効きませんでした。

ラップは以下の通り
31.67
61.46-29.79
1'30.66-29.20
2'00.55-29.89
2'32.05-31.50
3'03.40-31.12
4'07.21-32.69

ラップを見ると前半で力を使ってしまっているのがわかります。
1周目で集団後方で待機するも、前集団と後方集団との差が開いてしまい、焦ってそこからの3周かけて集団に追いついていくような展開です。
アウトドアなら、1回の直線だけで済むことも、カーブが多いインドアの試合では600mかかってしまいました。
そんなこんなしている間に、1000m前後でレースは動くわけで、そこまでに力を使ってそこからさらにレースを動かすのはあまり合理的ではないですね。
アウトドアとインドアの走り方、レースの動き方の違いを身をもって体感することができました。

ポイントランキング制での代表選手選考が始まる前に体感できたこと、出場しにきた甲斐があったと思います。

同じレースで、荒井選手が1マイル室内日本新記録で優勝をしました。
彼もしっかりとアメリカで準備をしてきて、前半から前方でレースを進め、自分で仕掛けるポイントも作って、とてもタフなレースをしていました。
そういった所から日本人も自分のレースをすれば世界でも通用するということを証明してくれました。本来自分がやらなければいけないレースなので、悔しい部分ですが、彼の強さがそこにありました。

昔、ナイトオブアスレチックスという試合で、大迫さん、鎧坂さんが同時に5000mの日本記録を出した時、僕もその会場にいましたが、レースを見ながら感じたのが、やはりタフさでした。
レース中も容赦無く他の選手とのコンタクトがある海外でのレースで、2人だけがやわらかく上手な位置どりをして、無駄な力を使わない走りをしているようにみえました。
そのうまい上半身の使い方で力を溜め、終盤レースが動く瞬間に自分の走りができるんだなと、当時感じました。

あまり日本のレースで、位置どりで走りづらいと感じることは少ないので、こういったコンタクトにうまく対応していく能力は日々意識してトレーニングして行かなければなりません。

どんな試合でも自分の走り、レースを動かし、支配する能力、タフさを持つこと。それが世界でも通用するレースができるようになる第一歩だと思います。

「自分のレース」
このテーマを日々の練習に生かしていきます


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