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カスタマーサクセス組織体制のタイプ分け

まず関係ない話からなんですが、カスタマーサクセスをHUNTER×HUNTER的に書いたこの図、我ながらとても気に入ってて、この記事のサムネイル画像のバックに使ってしまいました。笑

さて、ここからが本題です。

カスタマーサクセスという言葉の認知度はとても高まってきているように思います。これまではどう組成するか?が主要トピックだったと思うのですが、徐々に人数が増えて規模化していたりと、どう組織マネジメントしていくか?というフェーズの議論に変わってきたように感じます。(だからCSOps系のトピックが興味ひかれやすいのかなーなどと。)

ということで、バーティカルSaasでCSやった経験と、いろいろな会社さんと情報交換させてもらった経験から、カスタマーサクセスを機能ごとにどう組織化するかについて書いてみたいと思います。

カスタマーサクセス組織のタイプ、4分類

私の経験上、カスタマーサクセスの組織は大きく4分類できると考えています。その4つとは、①アカウント切り、②フェーズ切り、③プロダクト機能切り、④組織接続切り、です。1つずつ説明していきます。

アカウント切り組織

カスタマーの業界や企業規模など、相対する顧客側の分類に対して体制構築していくような組織構造です。

例)顧客群ごとに組織を構築する

上記の例では規模感で分類していますが、例えば金融系・小売系のように、業界分類することもできます。それぞれの顧客に特化した組織を作ることで、同業界でのナレッジ蓄積やキラーフレーズ、攻略の方法論の集約などができます。

一方で、ある程度組織を作り上げたあとのピボットが難しいので(金融チームに明日からEC攻めてと言ってもキツい)、それなりにマーケ・セールスのターゲットが定まっていて、すでに顧客数が大きいフェーズでの体制になるかもしれません。
またチームの顧客コミュニケーションをハイタッチにするのかロータッチにするのかなどは、結果的な手法の話なのであくまで顧客の分類・カテゴライズを的確に行うことが重要となります。(最終的にすべてハイタッチだとしても、特性の異なる業界ごとに組織を分ける構造にすることがこのタイプ)

フェーズ切り組織

プロダクトの導入というスタートを皮切りに、カスタマーの熟練度・時間軸に合わせて体制構築していくような組織構造です。

例)顧客のフェーズごとに組織を構築する

上記の例では左から右に行くにつれて、相対する顧客の契約期間が伸びていくイメージです。フェーズごとにチームを分けることで、業務の型化が進みやすいです。(THE MODEL的な分業の流れに沿って、CS内でもフェーズ分業するイメージ)

一方で、(もしハイタッチが多い場合だと)顧客側から見て担当者の変更が一定期間ごとに発生し、相対するスタッフサイドの人数は多くなるので、顧客とのコミュニケーション密度は低く、言語化されない空気感の変化や違和感には気づきづらくなることが予想されます。その分、CRMなどでの情報共有の重要度が高まります。

プロダクト機能切り組織

カスタマー側に合わせるのではなく、プロダクトの持つ機能ごとに部門を分け、体制構築していく組織構造です。

例)プロダクト機能ごとに組織を構築する

上記の例では、機能カテゴリが少し大きいですが、サブ機能カテゴリで分けることもできます。(労務系機能を例にすると、給与計算機能チーム/就業規則作成機能チーム/入社退職管理機能チームといったイメージ)
そうすることでプロダクト機能自体の魅力や価値をより深く説くことができるようになります。プロダクトサイドで掲げている使い方やワークスタイルにより近づけるような顧客育成ができます。

一方で、縦割りの課題には陥りやすく、顧客へのコミュニケーションが乱立する懸念はあります。またそれに伴い、クロスセル・アップセルのチャンスを見逃すことも想定されます。そのため、横連携の意識や強化が重要となります。

組織接続切り組織

こちらもカスタマー側には合わせず、社内の組織機能に合わせて、体制構築していく組織構造です。

例)社内組織ごとに組織を構築する

上記の例では、組織が3つですが、相対すべき組織の数だけチームを作っていくようなイメージです。あくまで社内の縦割りを解消することが、巡り巡って顧客への価値提供に寄与するという前提での作りになります。PdM/PMM機能に近いチームになるかもしれません。この構造ではCS組織自体が意思を持って推進するというよりも、他機能のハブ・調整弁となって動いていく要素が強く見える一方、全体バランスを取ってどこに落とすかが重要となるため、ゴールを描いてファシリテーションしていく役割が重要です。

一方で、この体制では、CSとしてのKPIや貢献価値を可視化しづらいので、どう評価するかが難しいです。本来のセールスのパフォーマンスが1だとしたときに、1.5にすることができたみたいな話なので、その価値を理解してくれる役員など組織全体の意思決定者のフォローが必要になると思います。

その上で、複数機能保持/階層構造の組織を構築する

おそらく多くのケースでここまで書いてきた4タイプの要素いずれかに合致するのではないかな?と思うのですが、実態としてはこれを複数組み合わせるような構造にしている組織も増えていると思います。

例えば、下記のように各メンバーごとに縦軸の役割と横軸の役割を持たせることで、より複雑な価値提供体制を構築することができます。

例)縦のフェーズごとの役割と、横の機能ごとの役割を持つ複数機能保持構造
左上のメンバー:労務系機能×オンボーディングフェーズの役割

もちろん階層構造にすることもできます。

例)業界ごとのチーム分けを前提に、チーム内でフェーズごとの役割を持つ
アカウント→フェーズの階層構造

こういった形で機能を明確にしていくことと、それぞれのチーム・メンバーが受け持つ顧客の数(あるいはその顧客からの売上金額)を整えていくことで、カスタマーサクセスはより機能していくと思います。

なお、個人的には、①アカウント切り、②フェーズ切り、のような、カスタマーに合わせた組織構造は、階層構造で組み合わせ、③プロダクト機能切り、④組織接続切り、のような、社内状況に合わせた組織構造は縦横軸で複数機能保持にすることがわかりやすいかなと思います。加えて、カスタマー側に合わせた機能と、社内にフォーカスした機能の両方を役割として持つことは、カスタマーサクセスの組織としては重要だと思うので、どちらも持っていると強いのかなーと思います。

※インナー向けカスタマーサクセスの話はこんなの書いたことあります。

というわけで、

もしうちのCSはこんな感じの役割にしてるよーとか、こうしたらうまくいったよーとか、こういう切り方もあるよーとかあれば、ぜひ教えて下さい!

よりよりカスタマーサクセス組織の構造を深めるような議論や情報交換ができたら嬉しいです。

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