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読書感想文 『夜明けのはざま』

【夜明けのはざま】



こんなにも読みやすい文体なのに、読み進めるのが辛かった。それは多分、各章で主人公に意見してくる人達の考え方、価値観、思い込みが私自身の価値観と対極すぎて至極不愉快だったからだと思う。最初の5ページくらい読んでそれを思ってからずっと辛かった。相手のことを思って言ってるんだろうけれど、ただ一方的に自分の考えを押し付けているだけな描写が多々あり、フィクションの人物だと分かっていても思わず文句を言いそうになった。。





この本では、「芥子実庵」という葬儀社を中心に、各章の主人公たちは身近な人の死に直面する。ただでさえ身近な人の死は容易に人の心のキャパを埋めていくものなのに、主人公たちは同時に死とは真逆な自分自身の生き方や幸せについて決断する心も必要とされていく。

その時の主人公たちの葛藤、悩み、憤りなどが痛いくらいに伝わり、読んでいるだけとは思えないくらいエネルギーをつかった。自分らしく、幸せに生きようとすることが、こんなにも簡単に身近な人の言動で妨げられてしまうようなことは起きてほしくないと強く思った。



そんな、自分の良いと思っていることを否定され、合わない価値観を押し付けられながらも、自分の生き方にしっかりと向き合った主人公たちの勇姿は眩しく、夜明けのための太陽のようであった。





この本の主人公たちと、この本をきっかけにはざまからの夜明けを望む人たちを迎えるのは絶対に、快晴な朝であってほしい。




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