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感受性・好奇心がなぜ失われるのか?③

私は印刷の仕事をし始めてから、グラフィックデザインの仕事も受けたくてMAC(Macintosh Quadra)を買い、デザイナーを雇いました。1996年のことです。ところが、そのデザイナーが家の都合で突然辞めることになりました。新しい人を雇うまで待ってほしいと言ったのですが受け入れてもらえず、仕方がなく私がMACを使うことにしました。

私はもともと絵の知識はまったくなく、興味すらありませんでした。学生時代の美術の通知簿は、10点法で、ず~っと「2」です。笑うでしょ? しかもMACを触ったこともありません。イラストレータとフォトショップを2時間×3回の個人レッスンを受けただけで、私がデザインを始めました。これがグラフィックデザイナーとして成長するきっかけです。以前にも書きましたが、基本を習得するのは早いのが私の特徴です(笑)

観察することがとにかく基本!


早く習得するために私が知ったのは、とにかく「観察すること」でした。
グラフィックデザインとはどのように成り立っているのか、写真や色の配置、文字のバランス、書体・・・平面だけでなく、立体の物も含めていろんな物を観察しました。その時に興味を抱いたのがパッケージデザインでした。最近ではミシンの切り込みを入れた工夫が凝らされていて、かなり難易度の高い箱が多いです。参考に家にあるお菓子の箱を平面にしてみました。

参考/お菓子の箱
糊を付ける箇所、山折り、谷折り、ミシン目で抜く、工夫がいっぱい!

たくさんの試作と失敗を経て、世の中に出てきた物ばかり


この箱をデザインした人がこの世に必ずいます。表面のデザインだけでなく、中身のお菓子を作った人、お菓子を入れる中袋のデザインも必要です。箱の大きさを決め、売り場に並べた時にどのように見えるか考え、文字や写真の位置や色などをデザインするわけです。

この形になって世に出るまで、たくさんの試作品が作られ、失敗し、ようやく出てきたのが目の前にあるこの箱です。紙の質にもこだわり、持った時の感触も考えられていることでしょう。

私たちは、たったひとつのお菓子の箱ですら、どのように世に送り出されてきたのか、その苦労をまったく知りません。しかし表面のグラフィックデザインは見ることができます。そのデザイン次第で売れるか売れないか、逆を言えば、買うか買わないかを決定付ける、とても大事なデザインなのです。見た目の値ごろ感も大事です。

お菓子の箱だけではありません。身の回りにある品物すべてにおいて、制作者がいっぱい考え、失敗しながら、私たちの手に届いてるものばかりです。


観察することが、好奇心を生み出す原動力になる


身の回りにあるものを観察していると、何かしら興味を持って見る物がそのうち出てきます。それが好奇心の始まりです。「これって、どうやってできているんだろう?」こんな疑問を持った瞬間を大事にしてください。疑問を持ったら調べてみましょう。その小さな疑問が、今後の人生に大きな影響を与える可能性だってあります。年齢なんて関係ありません。

歳を取ると、感受性が薄れる、好奇心が無くなっていくのが普通でしょう。しかしそれに抗って生きていくことは決してしんどいことではありません。むしろ楽しいことです。疑問を持ち、調べ、知識を得た時の喜びは何事にも代えがたいものがあります。きっと人に喋りたくもなるでしょう。そうなれば、右脳がしっかり動いていますので、認知症予防にもつながっていくと私は考えます。

つづく・・・次回へもう少し書き続けます。


サポートしたいと思われるくらいまで頑張って書きますので、今はシェアかコメントをいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。