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自由律俳句 #174

【怖そうなおじさんの話し方が優しかった】


病院の診察室から出て、待合室に戻る。
空いている席はないかと、待合室を見渡す。

一瞬、怖そうなおじさんと目が合った。
ちょっと睨まれたようにも感じた。

そして、どうやらそのおじさんの後ろの席しか空いていないようだ。
おぉなんということだ。今日も私には様々な試練が立ちはだかる。

私は、先ほど目が合ったことなど気にしていない素振り見せて、
おじさんの後ろの席に座って、会計を待った。

なるべく、気配を消しながら待った。
気配を消すのは得意な方だと思う。
ついこの前も、同僚に気配が無いと言われて驚かれた。

会計のお姉さんが誰かの名前を呼ぶと、そのおじさんが立ち上がった。
おじさんは、私より先に診察が終わっていたようだ。

お姉さんとの会計のやりとりで、
おじさんはとても優しい声で、
ペコペコとしながら、お金を払っていた。

私は、おじさんを見ているようで見ていないふりをしながら、
とても話し方などが優しい人だと思った。

試練だとか好き勝手に言ってごめんなさい。
おじさんに心の中で謝った。


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