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自由律俳句 #232

【朝日を見ることができなかった休日】


数年前、
私も奥さんも翌日がお休みだった夜。

夕食を済ませて、2人でのんびりしていた時、
私はなぜだかわからないけれど、
急に朝日が見たくなって、

「明日、早起きして朝日を見に行かない?」と、
奥さんに提案した。

奥さんも「別に良いけど」とのことで、
その日は早めに寝ることにして、
翌日の3時頃に起きた。

どうせなら綺麗に朝日が見えそうな場所に行きたかったので、
家から1時間ほど離れたところを目指した。

簡単な身支度を済ませて、
車に乗り込み、出発する。

世界はまだ暗い。
世界はまだ寝ている。

朝日が昇る前に目的地に着いたけれど、
霧と風が強くて、まるで竜巻の中にいるみたいだった。

他にも数台の車がある。
きっと朝日を見るためにいるんだろう。
目的は同じだ。

でも、この霧と風の中で朝日は見れるのか。
日の出の時間を調べながら、外の様子を見守る。

日が昇り始めれば、
天候に変化が起きるかもしれないと思ったけれど、
私たちは変わらない夜の竜巻の中にいた。

そのうち、日の出時刻も迫り、そして過ぎてしまう。
私たちは、まだ薄暗い竜巻の中にいる。
数台あった他の車も、1台2台とこの場を去っていく。

もしかして、今日から日の出がなくなり、
世界は夜しかなくなったのかもしれない。
不思議な暗さの中、そう思った。

この風の中、外に出るのは危ないと思ったので、
もう諦めて家に帰ることにした。

車を少し走らせて、薄暗い竜巻を抜けると、
徐々に世界は明るくなり、
あんなに見たかった朝日は、
目の前のバックミラーに映っている。

私たちは朝日を見ることはできなかった。

「また来よう」
「そうだね」

それだけ言って、
背中に朝日を感じながら、家まで車を走らせた。


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