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004 ブックレビュー『料理の四面体』

今回も大満足な1冊に出会えた! ある一定の周期で料理本は読むんだけどこの「超・論理的思考な料理本」は初めてだった。

本屋の料理コーナーはご存知の通り、レシピ本で埋まっている訳だけど、よ〜く目を凝らして見ると、何らかのフィルターを通しての本を見つけることができる。これ編集目線的にとても大事だな〜と感じる。

色眼鏡っていう言葉はネガだけど、企画とかを考える時ってこの思い込みというか偏見に満ちたところから物事を捉えることである事柄をオリジナリティあるものへ昇華できるんだと。すなわち、これが人の心をつかんだり、インサイトをあぶり出すんだと、、、。

あっ悪い癖が出た。話がそれた!

ライフスタイルを背景に書かれた佐々木俊尚さんの「家めし〜」本、やロバート・ウォルクの料理を完全に科学で分解した「料理の科学」、パスタへの偏愛から生まれた土屋敦さんの「男のパスタ道」といった感じで魅力的な料理本はたくさんある。旅×料理なんてのも多い。

この本のタイトルでもある「料理の四面体」。簡単に言うと、この世にある料理は、玉村さんが考える四面体で全て説明できる!といった内容。

四面体は、火、空気、水、油、4つから構成されている。本書では図になっているのでわかりやすいんだけど、言葉で説明するとイメージしにくいかも、、、。でも頑張って言語化してみる。

底面は三角形で、その3つの頂点を結んだ形で四面体になる。三角形の頂点を空気、水、油、それらの点は火の頂点につながり途中のラインを「焼き物ライン」「煮物ライン」「揚げ物ライン」とし、介在の度合いを可視化して料理を解析している。例えば、豆腐料理を四面体で説明すると「A/A’/Bは冷奴」みたいなことになる。料理を調理法とか材料別とかジャンルに分けることなく、このロジック勝負。すごすぎる。全くもって思いつかない視点。わかるかな〜笑。

いやわからなくても大丈夫。この本の魅力はこの方程式だけでないから。

コウケンさんの「アジア旅ごはん」って言う番組がるんだけど、それに似た感じで世界各国の風土や文化がわかる内容がぎっしり詰まっている。

アルジェリア式羊肉→とんこつ→豚肉の生姜焼きといった感じで四面体発想で自分の経験と調理法も交え解説するのは圧巻というか爽快。相違点でなく共通点をたどると原理は同じだということを言いたいんだと思うんだけど、この時と所が違い変わっただけで僕らは別物と見ていることに対しての緩やかな警告がとても心地よい。

ルーマニアの牛胃袋スープ「チョルバ・デ・ブルタ」と蒸留酒「ツゥイカ」が日本のモツ煮込みとホッピー的な共通点があると指摘した内容も納得。しかも、それは文化として日本の夕暮れとルーマニアの朝という対比でも語られているから重厚な文章で、とてもノスタルジックでもある。ルマニアの牛胃袋スープ「チョルバ・デ・ブルタ」と蒸留酒「ツゥイカ」が日本のモツ煮込みとホッピー的な共通点があると指摘した内容も納得。しかも、それは文化として日本の夕暮れとルーマニアの朝という対比でも語られているから重厚な文章で、とてもノスタルジックでもある。

ここからはトピックの羅列で!

ユッケは肉のなます。西洋のオーブン文化は煮物さえオーブンでつくる。鉄器と石炭の普及によって強火が重要な中華料理が発展した説。魚を焼くは強火の遠火が起源。フレンチフライの歴史。コメ粒を煮込みに使う意図や有効性。中華料理の素揚げはリソレ的な発想、中国語の油料理を表す感じの種類の多さ、などなど

最後に、日高良美さんの解説はわかりやすくて同調するところがたくさんだった。ほとんどのページが食文化の話。それは玉村さんが30年前に見て食べて感じた世界各国の料理の話が基本。と同時に料理本を読み漁った知識量と自分で試行錯誤しながら作った料理経験をかぶせてるから、熱量はすごい。ロジックがユニークで四面体に目がいきがちだけど、人がものを食べるという事に対しての奥深さを知れる1冊だと思った!


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