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007 ブックレビュー 『U理論』

2週間かかった~。ここ最近で一番ヘビーな本。まず感想は、マインドフルネスや仏教の教え、認知学などに近い視点がたくさん詰まっていて、自己と向き合う本だな~と。

この本では「内面の状況」と「社会的な場」という言葉が出てくる。この大枠を掴んで読み進めると少し理解しやすい。

あと「開かれた思考、開かれた心、開かれた意思」という言葉も要所要所に出てくる。今までの学術理論や経営指南書は、過去から学ぶことに主眼を置いているのでアプローチ的に新しいので今読んでおく本だとも感じた。

遅くなったけど、この「U理論」。MITのオットー・シャーマン博士たちが、人と組織の課題についての解決やイノベーションを生み出すための方法を1冊にまとめた本です。600ページ弱ほどあるがっつりな本。かなりのトピックでエッセンシャル版を読みたい気分になった。一応、「人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門」という本が出てるんだけど、それも429ページあるからボリューム的には変わらない。

僕なりのエッセンシャル版として少しまとめてみる。最初は「内面の状況」の部分。重要なところは盲点という項目。当たり前だけど、何かの言動は全て自分の意識や意図から生まれ、それが起点となる。その起点を盲点としていて、すなわち言動に対しての分析や振り返りはしやすけど、行動の源(ソース)については、ほとんどの人が自己認識していないという点。心理学的に言うと自尊心が強くなったりすることだと思う。だから、相手を責めたり、自己正当化したり、卑下したりしている時は、なぜそんな言動をとったかの元となる「行動の源」、すなわち自分の心に耳を傾けるべきであるんだと思う。

あと「センシング」「プレゼンシング」「クリエイティング」というU理論を3つのプロセスにまとめたところがある。図にもなっているので、ここは理解しやすいかと。センシングは、「ただ、ひたすら観察する」、プレゼンシングは、「一歩下がって、内省する。内なる知が現れるに任せる」、クリエイティングは、「素早く、即興的に行動に移す」という流れ。

例えば、観察部分の「センシング」では、人と話している時、自分の頭の中で「ああ、こういうタイプの人だな!」とか、注意深く観察できていないのに自分の経験則と第六感だけで人を判断してしまうことがある。僕は、とてもしがち、、、汗。でも、U理論で考えると、もうこの思考からアウト。「開かれた思考、開かれた心、開かれた意思」が備わっていないってわけ。

これらの「行動の源」が認知される「内面の状況」は、「社会的な場」というところで流動すると僕は解釈した。すなわち、昇華してイノベーションできるのか、それとも、停滞や衰退へと進んでしまうのかという変化の関係性の話

じゃあ、「社会的な場」って何?ってことになるんだけど、「内面の状況」を昇華させると過去の行動パターンの限界を超えて、深い想像力や知恵の源泉に結びつき、真の自己力を発揮できるということ。個人、組織がそんな状態や環境になり当事者同士が対話し、考え、行動する繋がりの総称が「社会的な場」。文章にするとわかりにくいんだけど、本書では「社会進化のマトリックス表」があるので、これを見ると理解しやすいかと。

社会システムともそれは大きく関係していて「摂取し、製造し、廃棄する。取り、作り、捨てる」という産業モデルが成長するのは不可能ということのあらわれだとも思った。国連サミットで採択されSDGs。以前のレビューでも書いたIMFが、結論的には自由貿易のイデオロギーを反映しすぎた組織に変貌し弊害が起きているという事実。これらが具体としては考えられるな~と。

うちの会社の企業理念は「個が輝けるクリエイティブ・クラスカンパニー」。「内面の状況」と「社会的な場」それを結晶させる「プレゼンシング」は、まさしく創業時に掲げたこの理念とクロスオーバーすると思った。

うちでは社会や会社に最適化されるのではなく、自分の価値観と表現とは何かを考え続け、 それを社会や仕事(会社)と同調させたり、 掛け合わせることで、人として成長でき、豊かな人生を送ろう!と発信し続けている。U理論でいうところでは、この先に「クリエイティング」があるので、僕らは行動に写す必要というかミッションがある。まあ、ここがものすごく大変。

著者は「エゴシステムからエコシステムへ」という社会システム全体の進化を表明していて、そこには個人の発達。すなわち「自分は何であり、何を成すのか」という自問自答が必要と言っている。環境に順応したり、他人の価値観に依存するだけではダメで、自己の軸を確立させ、さらにその軸となる、自己の見解や主義主張からも離れ、新たな視座を立てるようにならないといけない。これは特にリーダーには大事だと結論づけているから、おしっこをちびりそうになる。

山下良道さんの「光の中のマインドフルネス」の序文にある「私たちはこの世界に所属していない、別の次元に存在している」という言葉が頭をよぎった。まだまだ「真我とつながる」までの道のりが長いことを物語っている。

最後に
人は自分が知っている世界の範囲内での自分自身しか知らない」by ゲーテ


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