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【ショートショート】もちもちイエロー

 土曜日の夕方。いそいそと干していた洗濯物を取り込む彼女の背を見つめながら、物干し竿でひらひらと揺れるそれが目に付いた。見慣れない黄色い布。
 まだ取り込み待ちのそれは干されている為少し分かりにくいが、形は恐らく正方形。色は大きく分類すれば黄色。細かく言えばからしのような色。マスタードのようなとも言える。そして恐らくその正方形の四隅全てについているであろう、同じ色のタッセル。
 はてさて、見慣れないし見覚えもない。いつの間にか彼女が仕事帰りにでも買ってきたのだろうか。お洒落なランチョンマットか何かだろうか。

 俺の視線と予想を他所に、手早く全ての洗濯物を取り込み終えた彼女がベランダから室内へと戻る。からからと窓が閉め切られ、心地良い風も締め出された頃。彼女はふんわりと山を作る洗濯物のカゴからその正方形の黄色と、小脇に抱えていた真っ白な物を合体させた。

 正方形の黄色と同じく正方形の白色。どうやらランチョンマットではなく、クッションカバーとその本体だったようだ。白いクッションを黄色いカバーで包み、四隅まできちんと綿が行き渡ったかどうかの確認をし、ぽんぽんと軽くクッションの面を叩く彼女。
 その感触が余程お気に召したらしい。頬をすり寄せる姿はまるで猫のようだ。

「すべすべ~もちもち~」
「新しいの買ってたんだ?」
「うん。このカバーに一目惚れしちゃってさ。ほら巧也も触ってみな~」
「うわ、すっげ。もちもち」
「でしょでしょ」



ニトリのクッション、もちもちで好き。


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