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ハートにブラウンシュガー

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ハードロック小説 レイとティナの恋愛音楽小説
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記事一覧

ハートにブラウンシュガー 1

低い重低音のサウンドが車内に響き渡る。 山に囲まれた国道をひたすら北上した。 真夜中過ぎに…

上野 紗妃
3年前
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ハートにブラウンシュガー 2

「おい、そこ。ベース走ってないか?」 ドラムを叩いていたクマこと茶倉満男が演奏をやめて声…

上野 紗妃
2年前
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ハートにブラウンシュガー 3

ホール内は全員総立ちで、スモークと熱気に溢れかえっていた。レイが弾くレスポールの速弾きギ…

上野 紗妃
2年前
36

ハートにブラウンシュガー 4

 ハードロックバンド『ブラウンシュガー』の知名度はこの所ぐんぐんと勢いを増して、それと同…

上野 紗妃
2年前
43

ハートにブラウンシュガー5

 その年の夏は熱狂と興奮の騒めきの中、瞬く間に過ぎて行った。クマ達ブラウンシュガーの4人…

上野 紗妃
2年前
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ハートにブラウンシュガー 6

 季節は音も無く静かに過ぎて行く。春先の冷たい風に震えながらも希望に燃えた日、しとしとと…

上野 紗妃
2年前
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ハートにブラウンシュガー 7

 嫌な予感というものは常々よく当たるものだ。  その日は朝から雨で、11月も後半に入り、北国では雪便りがちらほら舞う季節になった。このところ毎日が慌ただしく過ぎて行き、物事が何も進まない気がする。日が暮れるのが早くなったせいだろうか。  真柴怜はアパートの自室で、昨晩切れたエレキの弦を張り直していた。切れた弦は一本だが、全ての弦を張り替える。そうでないと音のバランスが取れない気がしていた。古い弦と新しい弦がバラバラに混ざった状態で演奏するのは、どうにもしっくり来ない。  その

ハートにブラウンシュガー 8

 開幕のベルが鳴り響く。秋の新人ライヴツアー最終日のステージの幕が開いた。  ブラウンシ…

上野 紗妃
2年前
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ハートにブラウンシュガー 9

 Aレコード主催による秋の新人ライヴツアーは滞りなく全30公演を終えた。5組の参加者たちは…

上野 紗妃
7か月前
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ハートにブラウンシュガー 10

 慌ただしい年末年始もいつのまにか過ぎ去って、街も人も日常の落ち着きを取り戻し始めた。 …

上野 紗妃
6か月前
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ハートにブラウンシュガー 11

 その日、ブラウンシュガーの面々は都内にあるAレコード所有のスタジオを借りて最後のオリジ…

上野 紗妃
3か月前
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ハートにブラウンシュガー12

「オレが悪かった」 ファミリーレストランのテーブルに座ると、クマこと茶倉満男はそう言って…

上野 紗妃
3か月前
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ハートにブラウンシュガー13(最終回)

 都心を少し離れた郊外のコンサートホール、近くを一級河川が流れ、その堤防道路には桜並木が…

上野 紗妃
2か月前
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