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【名医取材記#12】人生100年時代の到来「生きるかも」に備える話

人生100年時代、もしかして家族や私も?

100年生きると思うと、人生設計は根本から変わってくるかもしれません。今回の取材記は、人生100年を「生きてしまう」に備えるという話です。
日本人の平均寿命は、新型コロナの影響で少し下がりましたが、基本的には右肩上がりで『令和4年簡易生命表』によると、男性は 81.05 歳、女性は87.09歳となりました。
また、厚生労働省が発表したプレスリリースによると、「100歳以上の高齢者の数は、老人福祉法が制定された昭和38年には全国で153人でしたが、2023年は92,139人(前年比+1,613人)になった」ということです。100歳以上が全国で10万人近くもいる状況です。

平均寿命と健康寿命の違いとは?

寿命が順調に延びている一方で、発表される「平均寿命」にはちょっと注する点があります。実は平均寿命とは別に「健康寿命」というのが発表されています。健康寿命とはWHOが提唱した指標で、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。つまり、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間です。例えば、2019年のデータによると、平均寿命と健康寿命の差は男性約9年、女性約12年でした。その期間は何らかの介護状態だったということを表しています。かなり長い期間が介護状態なので、本人がつらいばかりではなく、家族にとっても相当な負担となっていることがわかります。
誰でも天寿を全うし、その直前まで元気でありたとは思います。よく「ピンピンコロリ」が理想と言われますが、現実にはそう簡単なことではないようです。

現代医療の進歩

平均寿命が延びているのは、現代医療の進歩が大きな要因と思われます。特にがん治療の分野は大きく進歩しており、注目されている免疫治療は、多くの患者さんに希望を与えています。
また、ロボット支援手術も大きな進歩を遂げています。これは、医師がより精密な操作を行えるように設計された高度な技術を利用しており、手術中の人的ミスを削減し、患者の回復を早めると同時に、痛みを最小限に抑えることが可能です。
放射線治療は、がん細胞だけをターゲットにした照射が可能な技術の開発により、周囲の健康な組織や器官に与える影響を最小限に抑えることができます。これにより、がんの局所治療の効果を高めつつ、副作用を低減することが可能になり、患者の生活の質(QOL)が保たれています。

延命措置の影響「生かされる」かも

しかし、これらの医療技術の進歩は、「延命措置」という新たな問題も引き起こしています。「生かされてしまう」という表現に象徴されるように、技術が生命を延ばす能力を持つ一方で、患者自身の意志や生活の質が十分に尊重されていない場合があります。倫理的な観点からも、医療の提供方法について、患者の自己決定権を重視することが求められています。
現代医療の進歩は、多くの可能性を秘めていますが、その適用には慎重な判断が必要です。医療技術の発展だけでなく、それを取り巻く倫理的、社会的な要素も考慮に入れた上で、どのように技術を活用するかが今後の大きなテーマとなるでしょう。

予防と検査の重要性

健康に年を重ねるためには予防と検査が極めて重要です。現代医療の進歩によって多くの病気が治療可能となり、寿命が延びることが期待されていますが、それに伴い生活習慣病や認知症、関節や骨の問題など、高齢者に多い病気への対策も強化される必要があります。
認知症は高齢化社会において特に注目される病気であり、早期発見と早期介入が症状の進行を遅らせる鍵となります。認知症のリスクを減らすためには、脳を刺激する活動を日常生活に取り入れることが推奨されます。例えば、読書やパズル、言語学習などの知的活動や、社会的な交流を持つことが有効です。また、定期的な健康診断を通じて、認知機能の評価を受けることも大切です。
整形外科の分野では、骨粗しょう症や関節の問題が主な懸念事項です。これらの病気は、適切な体重管理と栄養摂取、そして定期的な運動によって予防や症状の緩和が可能です。さらに、年に一度の骨密度測定などを行い、早期に問題を発見することも予防策の一環となります。
これらの予防と検査は、単に病気を避けるだけでなく、生活の質を高め、自立した生活を長く続けるためにも非常に重要です。自分自身でできる健康管理を積極的に行いつつ、医療機関と連携して定期的なチェックを行うことが、健康で充実した高齢期を送るためのポイントとなります。

かかりつけ医を持とう

人生100年時代、だんだんと現実味が増してきました。とは言っても、未知のウイルスや天災に遭うこともあり得るので、それに対する備えも必要ですが…。
本当に自分や家族が「長生きする」かもしれません。その準備として、やはり重要なのは「かかりつけ医」の存在です。地元で長年にわたって診てくれ、病気の予防、早期発見、介護など様々なことに相談に乗ってもらえる先生やお気に入りの病院を早めに見つけることです。元気なうちに家族で話し合い準備しておくと安心につながります。「延命措置」については自分が何を希望するのか、何は希望しないのかをはっきりとしておくことをおススメします。
『国民のための名医ランキング』では、医師・病院の選び方などを取材し、解説しておりますので、ご参考になれば幸いです。

皆さまがより良い方向に進むことを心よりお祈りいたします。
全国の名医を探す取材は続きます!


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