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さきょの本棚

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私の本棚のなかならセレクトして、みなさんに紹介します。
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【本004】大学で学ぶ沖縄の歴史

【本004】大学で学ぶ沖縄の歴史

今年の春先、沖縄国際大学の秋山道宏先生より、『大学で学ぶ沖縄の歴史』(吉川弘文館、2023)をご恵贈賜った。

本書は書名にある通り、琉球沖縄の通史を「先史・古代から現在の沖縄社会までたどりながら学べるテキスト」(プロローグより)であるが、中身は単なる通史にとどまることなく、執筆者の先生方それぞれの強い問題意識とメッセージ性を有するものである。琉球沖縄のこれまで、そしてこれからを考えるのに不可欠な

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【本002】井上章一『狂気と王権』

【本002】井上章一『狂気と王権』

1923年12月27日、第48帝国議会の開院式に向かう摂政裕仁(のちの昭和天皇)を狙撃した男がいた。

その―元の持ち主は伊藤博文であるというステッキ式散弾銃から発射された—弾ははずれ、裕仁は何らの傷を負うことはなかったが、彼は刑法(当時)第73条の大逆罪によって起訴され、大審院にて死刑判決が言い渡された。

アナーキスト、難波大助である。

ふとしたことから、難波大助について追ってみようと思った

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【本001】岸政彦『はじめての沖縄』

【本001】岸政彦『はじめての沖縄』

さきょの本棚、第一弾はこの本にしようということはnoteを始めることにしたその日に決めた。その一冊とはこれである。

岸政彦『はじめての沖縄』(新曜社、2018)

本書と私の出会いは、数年前、わたしの日本史を受講してくれていた学生の一人と、卒業後にしばらくしてから一緒に食事をしていた際の会話からだった。

「先生、うちの家、いつも休みの日には沖縄に行くんです」

あら素敵、なんて言ったかもしれな

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