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自主映画を、撮る。その27

シーズン2、まさかの結末。(2022年執筆)

長らくのご愛顧誠にありがとうございました、シーズン2最終回となります。まさかの結末とありますが本当にまさかまさかの結末となって、事の経緯を話しますと主宰は当初1週間前はFIXされていた授賞式には出席できないことになっていた。ところが日程ディレイによって、なんとか別件終わりの2次会くらいからなら参戦が叶うかもしれない。みたいな流れになって。

試写会で全33作品に目を通しましたから、自ずと我々Orange Candy Houseの立ち位置というものもある程度想定はできていた。過度に楽観する訳でもまた悲観する訳でもなく、間違いなくレベルは高かった。審査員の講評にもあった通り例年に比べ軟化したお題/テーマが並んだこともあって、熾烈さを増した感は強い。世界を目指して戦うというのはそういうことです。

来シーズンを見越した根回し。

試写会帰りの谷町線、ふと監督と二人っきりになる時間がありましたので。主宰魂の一手、ズバリ「来年の監督候補はこの子が良いと思うんだけど」を伝えておくことにした。先の見えないコロナ禍、それでももし来年の10月頃元気に毎日を過ごせていたとしたら間違いなく48時間の舞台に戻ってきたいそう意気込んでおりますので。

今年を活かして来年どうするか。今年足りなかったものを来年どう補うか。今年できていたはずのことが来年できるとは限らない。今年を懐かしむ余り新鮮な気持ちで来年を楽しめない。モノづくりには色んな世界線があって。過去に縛られ過ぎると今を見失います。代謝を促さなければ組織は空洞化。ゼロに戻ったような気持ちでまた掘り起こしから洗い出しから始めるのも。

答え合わせはシーズン3で。

僕はもう48時間帯同中から、次回監督は彼以外あり得ないと思ってました。深夜にコンビニへ買い出しに行く道中もあれこれとお話してたんですけど、本当に熱意が漲っていて。返す返すも今回スケジュールの都合で撮影班には同行できず、終電近い便で三田まで駆け付けてくれました。次こそはアタマから、と何度も口にしてくれるそんな彼の心意気を買いましょう。

彼のバディには、この子が良いと思う。まで伝えてきました。時に相槌時に踵を返す存在として、あくまで建設的にクリエイティブにを体現する。可能であれば温厚そうな彼なんて最適かと思いますがどうでしょう。答え合わせは来年始動予定のシーズン3にて、主宰は映像制作も演技もてんでダメですがこの手の人事には割と長けている方ではという自惚がある。

すっかり忘れてました、完成品のお披露目。

せっかくですので、非公式ですが主宰がメイキング映像をネタにでっち上げたトレイラー映像と共に本編を大公開です。我々Orange Candy House渾身のデビュー作にして、今後のプロモーション作品ともなる5分40秒。題名は『おにまる神療所』ジャンルは「モキュメンタリー」となります、視聴期限は一切設けてませんので是非何度でもお楽しみいただければ幸いです。

さて、「まさかの結末」へと話は戻ります。

11月22日、祝日前夜。Elephant Gym大阪公演を、今か今かと待ち侘びていた主宰の体に何やら異変が。喉が痛い。咳も出る。心なしか熱っぽさもある。約2時間のスタンディング現場を終え疲弊し切った主宰は既に声を失い掛けておりまして、敢えなくチームへは欠席連絡を。後日突き付けられた診断名は「急性扁桃炎」、あわや重症化一歩手前という比較的危うい状況。

結果発表もまた、同志のLINEで知るというなんともまあな結末に。惜しくもグランプリを逃し、またロケーション賞/アンサンブル演技賞の上位5団体まで与えられる「ノミネート」を受け取るにとどまり。残念ながら賞レースを争うような一作とはなりませんでした。悔しい。シンプルに悔しい。今回「コンペとは勝つために臨むもの」と自らを奮い立たせ挑んだはずだった。

若き日の、吹奏楽コンクールを思い出す。

お通夜みたいな空気の終礼、どこからともなくすすり泣き。同伴した保護者も何と声を掛けて良いかわからない。次の日も、そのままの流れで重苦しい反省会。粗探しあるいは犯人探し、全部自分のせいだと自暴自棄になる子。もうあんな空気は御免ですから、まずは共に戦い抜いてくれた仲間に賛辞。そして来年また一緒にしんどい思いして頑張ってくれますか、とお誘い。

元来この手のコンペを避けて通ってきたのには明確な理由があって、ズバリ「何が勝敗を分けたのか、結局よくわからない」場面があまりに多かった。その点48時間は、皮肉も忖度も抜きにして単純明快なルールで自由に戦い方を選べるという点で非常にクリーンでしたし。勝ちに行く映画も、思い出を作るための映画も許容される温かい空間だったことは間違いありません。

「勝ち方が見えやすいコンペ」ではある。

受験勉強だって就職活動だってそうです、全ては傾向と対策。見えない敵と戦う必要なんてありません。受賞作には何が充足していて我々には何が不足していたのか、ただその一点をあらゆる深度/角度から分析し直してまた、来年に向かっていけば良いだけ。主宰はカンヌ上映作を6本観られました。この経験は非常にデカい、勝者のプランニングを6パターンも知れたこと。

「お題に正面切って向き合う」大切さをしきりに説いていらした、審査員の先生の言葉が今頃になって時間差でビシビシ刺さってきてまして。小手先でどうにかこうにかやった映画って、やっぱりわかる方にはバレるのですね。我々もプロット作成から脚本会議まで存外スムーズに運んでいた体でいますが、今一度冷静に振り返る時間は持つべきなのかもわからないです。

監督、燃え尽き症候群気味なんだってよ。

プロデューサー役の彼も、来年は補佐役に名乗りを上げているらしい。まだ年も明けていない頃から2名の勇退が濃厚な模様で、主宰なんかはうっかり作り手サイドでなおバリバリやってきまっせーぐらいの感覚で。ひとまずは内部生向けの忘年会があるそうなので、師走の暮れを待ちたいと思います。金曜夕方から始まるという過酷っぷりですから、そりゃあ無理もない。

23年10月の世界がどんな景色になっているかなんて、もう想像もつかない。とりま年明けすぐに今作の主役2名が出演する舞台があるそうなので、主宰は早速座席の確保をお願いした。半ば都市伝説的に語られてきた「映画役者と舞台役者の違い」みたいな余計な諸問題は、今回の撮影を経て100%打破することができました。来年以降、大きな弾みになると思ってます。

気になる役者さんにはガンガン声掛けてみます。

銀幕デビューしてみませんか、主演作の脚本ご用意できるんですけど。まあ悪い気はしませんよねだってこちとら本心でオファーしてますし。やっぱり撮りたい人と撮りたいタイミングで撮っておくことが、最も精神衛生的だとこの際ハッキリしましたから。既に主宰の書斎には13本分の仮台本が並んでおります、これもまた何かの機会に小出し予定。

という訳で、次回新シーズンの始動は23年初春頃を予定しております。入稿時が11月暮れですので、運用次第ではまた間髪入れず3クール目がしれ〜っとスタートするやもわかりません。気まぐれに風まかせにやっていますので、号外だの番外編だの飛び出してくる可能性は非常に高い。忘年会で、何かが大きく動くのかも。いっそ急性扁桃炎を超えるアクシデントだって。続く。

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