見出し画像

2022.3.15 [株価暴落]ソフトバンクとMetaの“共通点”

今回の記事は、日系大手ソフトバンクとアメリカ大手IT企業メタ(旧フェイスブック)の株価暴落についてです。

・株価暴落の原因は何か?
・今後、投資をする上で注意すべきポイントはどこか?
を書いていこうと思います。

ソフトバンクの凋落

まず、ソフトバンクの凋落ですが、2022年2月8日に発表された、2021年10-12月期の決算について。

ソフトバンクの前期は、1兆1000億円以上の利益がありましたが、今期は純利益が98%も減り290億円になったということです。

なぜこんなことが起きたのか?

その理由を一言で言えば、中国IT系企業に投資してきたからです。

ソフトバンクの長期戦略が裏目に出たということです。

では、具体的にどのような企業に投資していたのか?

これについては、3つの企業について簡単に触れたいと思います。

1つ目は、ソフトバンクの資産の中で、多くの割合を占める中国の『アリババ』の株です。

同社の株価が、大暴落がしてしまったことです。

そして、2つ目は『センスタイム』です。

ここも中国の会社で、同社は顔認証システムの開発をしていますが、ソフトバンクはこの会社にも投資していました。

そして、同社はアメリカの制裁リストに入ってしまったということです。

センスタイム(商湯集団)は、香港に本社を置く顔認証技術の研究と開発を手がけている企業で、そのシステムは新疆ウイグル自治区等での監視に使われていると問題視されています。
ソフトバンクグループが出資しており、同社の技術はソフトバンクが日本の官庁に導入しています。

最後の3つ目は、中国の企業『DiDi』です。

同社は1度アメリカで上場しましたが、上場廃止になってしまいました。

これは、習近平が意図的に上場廃止にしました。

DⅰDⅰ(滴滴出行)は中国の配車アプリ企業で、北京に本社を置き、5億5000万人以上のユーザーと数千人のドライバーが登録されていると言われています。

このような中国IT系への投資が裏目に出てしまい、これが大きな原因なのではないかと思います。

そこに加えて、直近の理由だとイギリスの『ARM(アーム)』という会社があります。

同社は半導体設計のソフトを持つ世界有数の会社で、ソフトバンクは同社の株も買っていました。

孫さんの先見の明、目を付けて買っていたのは凄いことです。

そして、これを現金化しようと、約4兆円でARMの株を売却しようと考えました。

しかし、いざ株を売ろうとした際、
「独占禁止法違反になるから売却はダメだ」
と各国の政府や当局から指摘され、実行できなくなったのです。

ARMはイギリスのケンブリッジに本社を置き、生産を行う工場などの施設を自社で持たないファブレス企業で、主に半導体の設計ノウハウを販売しています。
2016年以来、ソフトバンクグループの傘下にあります。

先述の通り、中国企業への投資を指摘しましたが、今回のように中国のIT系投資が裏目に出たのですが、これは単に偶然そうなったというわけではなく、まさに米中の対決時代を示しています。

米中の“金融”が分離してきているのです。

サプライチェーンのデカップリングももちろん起きていますが、金融面でも徐々に分離してきています。

今までもソフトバンクは、何度もピンチに陥ったことがありますが、その度に、孫さんが色んな知恵を出して乗り切ってきました。

しかし、今回の米中対決というのは非常に構造的なものであるため、回復するのは非常に大変なのではないかと思っています。

中国に投資をし過ぎると、こういった形で失敗するのだという実例が、ビジネス界にも広まれば良いと思っております。

Meta株も大暴落した?

続いてこちらも大暴落した話ですが、アメリカの大手IT企業メタです。

こちらは、ニュースでも大きく取り上げられたので、ご存知の方も多いでしょうが、同社の株価も暴落し、日本円で時価総額27兆円を喪失。

つまり、株価の3割以上が一挙に暴落しました。

これにはいくつか複合的な理由がありますが、大きな要因となったのは3つあります。

1つは、ステーブルコイン『Libra(リブラ〈現ディエム〉』が上手くいかなかったこと。

リブラは、当然ながら各国の当局から承認が得られませんでした。

これについては、私も仮想通貨歴6年になるので、
「承認を得られるわけがない」
と分かっていました。

というのも、これを認めてしまうとなると“裏金融”が解放されてしまうからです。

国際的な脱税、マネーロンダリング、そして違法なお金の行き来、こういったものが完全に自由になってしまうのです。

そうなると、各国の当局も当然許せるわけはありません。

結果、失敗に終わり撤退したということです。

ちなみに、Libraは、メタ(正式名称:Meta Platforms, Inc.)が提唱するブロックチェーン技術を用いるネットワークと暗号資産で、2020年12月1日にDiemと改称されましたが、2022年1月31日にサービス提供の断念が発表されました。

2つ目は、同社が提供しているSNS『FaceBook』のユーザー数が最近、頭打ちになってきていることです。

加えて、ヘビーユーザーの数に関しても減少傾向にあるというのが、昨年末の統計で出ていました。

若年層の人から言わせると、Facebookというもの自体が、ちょっと重い、扱いづらいものになっているといった感じです。

最後の3つ目ですが、これは同社の取締役でアドバイザーをやっていたピーター・ティール氏の辞任が決まったことです。

画像1

2022年5月に予定されている年次株主総会をもって辞任します。

ティール氏とは、どういった人物かというと、かなりのトランプ支持者で2016年の時から、当時大統領候補だったトランプ氏をずっと支持していました。

そして、今後もトランプの政治運動を支持していくと言っています。

そうすると、政治方向という点で考えると、メタの目指す方向とは全く違うということで、今回辞任ということになったのです。

今までティール氏は、あまり政治色を出さないで、
「(会社は)トランプが嫌いかもしれないが、トランプのアカウントを停止するという、そういうことは良くない」
ということをずっと言ってきました。

今回、彼が辞任することで、メタは今後、政治的に益々歯止めがなくなるということです。

補足ですが、ティール氏はアメリカの投資家であり、PayPalの創業者で、シリコンバレーで大きな影響力を持つ『ペイパル・マフィア』の中で“ドン”と呼ばれているIT業界の大物です。
そして、シリコンバレーでは数少ない珍しいトランプ支持者です。

同社も潜在的には中国志向が強いところがあるので、米中関係が上手くいかず悪化していくということであれば、中国投資や中国と関係を持つ企業との関係は大いに影響を受けることになります。

そういったことが企業経営の背後にあるということを、これも投資をする上では考えていかないといけませんね。

最後までお読み頂きまして、有り難うございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?