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タクシー乗客VS強盗のドタバタコメディ⁉︎【映画『ファイブ・スターズ』】

ドジな強盗が乗り込んだ車はまさかのタクシー⁉

映画『ファイブ・スターズ』はタクシーという密室の中で繰り広げられる、強烈な個性を持ったキャラクターたちのドタバタコメディ。

今回はなんだか憎めない彼らのキャラクター、そして本作のタイトル『ファイブ・スターズ』が意味するものについてお届けしていきます!


ここから先はネタバレを含みますので、作品をご覧になってからお読みいただけると嬉しいです!

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〈タイトル〉『ファイブ・スターズ』
〈監督〉Marvin Zana
〈作品時間〉25分17秒
〈あらすじ〉
強盗に成功した2人が乗り込んだ車は赤の他人のウーバーだった⁉︎意味のわからない展開に恐怖に慄くウーバーの乗客。果たして彼らは無事助かるのか?

SAMANSA


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◎ ユーモアの中に描かれるアメリカの偏見

3人組男性による強盗、デート後の2人の男女、そしてタクシーで移動していた1人の女性。

ひょんなことから一つの車内に乗り合わせることになった彼らは、アメリカにおいてたびたび議論の的になるフェミニズム、人種差別、ヴィーガンについてユーモアたっぷりに描かれています。

アジア人の容姿だからといって中国語で話しかけたり、誰もが無意識でしてしまっている行動が誇張して演出されることで、改めて心当たりを感じたり、あるよなぁと共感してしまうものです。

多くの人々がいるアメリカだからこそ、親切が差別に当たることも多々あり、出会った人に対する振る舞いや多様性のあり方には難しいと感じてしまいますね。


また、タクシー(ウーバー)を待つ2人の後ろのお店で起こった強盗の一部始終。
アメリカの1年間における強盗事件はおよそ12万件と発表されており、
日本の約1100件と比較するとかなり多い数字。

そのためかアメリカでは強盗に出くわしても慣れたように現金を渡したり、たとえ強盗犯が武器を持っていようが相手にしない人々も多いといいます。

強盗をテーマとする犯罪映画やドラマが多いのも、強盗事件が日常茶飯事だからという理由があるのかもしれません。


◎車の座席構成が描くキャラクター性

全編のほとんどが車内で撮影されていた本作。

狭い車の中で前後、左右の座席にキャラクターの線引きがなされていたことに気がつきましたか?
それぞれの車内についてご紹介していきます!

強盗3人の車内

はじめに描かれたのは3人の強盗の車内。後部座席に座るジャスティンはゲームやハンドスピナーに夢中で、どこか子どもっぽさが目立つ様子。
強盗あるまじき行動に怒るロブと、そんな運転するマーヴィンは2人のやりとりにまるで関心を見せず。
各々の自由な行動に家族のような雰囲気が伺えます。


3組がそれぞれ集結した車内

それぞれが戸惑いの中、拳銃を持つ前部座席の強盗2人はまだ主導権を握っている様子。
に対して、後部座席の3人はそれぞれに不満や葛藤を抱きながら各自の主張が止まらず、しっちゃかめっちゃかに…

ここでスーパースターを目指すジムにジャスティンは同調しはじめたり、
アンドロセイスの割り勘は許せない!発言にロブが納得したり。

英語が話せないと思われている韓国系アメリカ人女性は、4人の誰ともコミュニケーションをとりません。


席替え後

本物のマーヴィンがボスに連絡を入れていたことで、嘘がバレた車内では
自分たちが殺されるのではないかと大混乱!
極限の状態からついつい本音が漏れ出した3組は、韓国系アメリカ人の女性を境に左右に分かれて構造的に描かれています。

拳銃を手にした中央の韓国系アメリカ人の女性は四方にこれまでの鬱憤を晴らしてお金を奪っていくのでした。
左右でそれぞれ共通点を見つけた2人は、車を降りた後食事に行ったり、ベーコンについて語り合ったり…。


実はキャラクターの立ち位置や境界線によって、
現在の心情を表したり、今後の関係を予測させるという効果を生み出しています。

明確にはその変化を表さないものの、観客に不自然さを与えずに潜在的に示唆しているのです。

いつもは何となく観てしまう映画も、実はこうした演出がなされているかも知れません!

◎"FIVE STARS"—それぞれの"スター"とは?

ラストシーンにおいて、韓国系アメリカ人の女性がウーバーに「五つ星(Five-Star)」評価をつけたことで回収された、本作のタイトル『ファイブ・スターズ』。


五つ星を意味する”Five-Star”ですが、実は5人の登場人物にStarを含んだイディオム(慣用語)が当てはまるのです!

アンドロセイス
”My Stars!”「驚いた!!」
デートが焼肉屋さんだったり、アジア系女性を中国人と思い込んだり、事態の急展開につれて驚きの連続!

ジム
”Reach for the stars ”  「高い目標を立てる」
トップスター俳優になることを目指すジム。ちょっと自分の実力を過信しすぎなベーコン俳優!

ロブ
”See Stars” 「目から火が出る」
アンドロセイス がもっていた催涙スプレーが目にかかってしまった彼にぴったり!

ジャスティン
”Have stars in one's eyes”  「楽観的、心がワクワクしている様子」
どこまでも無邪気でおバカさんなジャスティンの目の中には輝きが!

韓国系アメリカ人の女性
”Wait for the stars to align” 「絶好の機会を待つ」
まさかの強盗となった、まさに彼女にぴったりのイディオム。

強盗たちのボスの登場シーンと似ていることもあり、
もしかして彼女も何らかのボス…?

ちょっぴりこじつけなところもありますが…
これぞまさに”Five Stars”!

ドキドキワクワクでいっぱいの映画『ファイブ・スターズ』、
SAMANSAにて配信中です!
ぜひもう一度ご覧ください!!

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