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さおりのエッセイ

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エッセイらしきものを書いたら、ここに貯めることにしました!
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2018年6月の記事一覧

夜の電話

夜の電話

やっと永い昼が終わったから、家を抜け出したよ。みんなが大好きなPOPで醜悪な夕焼けは、まだ地球の端でたゆたんでる。

けど、夜だ。スキップしたいね。

風が吹き抜けて青いスカートを揺らしても、闇夜に溶ければ問題なんてない。

goodbye sunshine 夜ってだけで楽しい

the pillowsの歌の歌詞が頭に浮かぶ。

the pillowsの歌に出てくる「キミ」って、いつもは恋人

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自由でいられますように

大阪の伯父が、入院先の病院の水道や電気などの設備がメタメタ(私の母の表現)になって転院を余儀なくされたとのこと。でも本人は元気そうで、無事、転院先でも透析を受けられていると聞いてホッとしました。
伯父の看病で大阪に行っている母も言っていましたが、関西方面の方々は、まだ余震などで不安を感じていらっしゃる方も多いかもしれません。何も出来ず、こういうときにどういう言動をすればいいのかも分からず大人になり

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闇の奥は真実か

たった一度、翻訳を読んだだけでジョゼフ・コンラッドを語ることはできないのはわかっているが、せっかく「闇の奥」を読みおわったので、直後の率直な感想を書いておくのもいいかもしれない、と思った。

本当はその前にトーベ・ヤンソンの「誠実な詐欺師」に心を奪われていることを書きたかったけど、春が過ぎてしまってなんとなく季節感が違うことで躊躇した。でも私にとっては、「闇の奥」も、人種差別や人間の原初的な欲望の

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それはひとつの答え

それはひとつの答え

ときどき、目の前が真っ暗になることがある。

どう進んでいいのか、わからない。
後ろを振り返っても何もない。
暗闇は好きなのだ。
でもそこは闇でさえない。
大きなぽっかりとした「虚無(ナダ)」

それにとらえられたら、じっとそこを抜け出せるまで耐えるしかない。
アロマもヨガもアートさえも届かない。
手を伸ばした先から「なんにもなくなる」。
もがけばもがくほど、近くにある見えない宝物を壊してしまう。

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誰かのおかげじゃないぜ

誰かのおかげじゃないぜ

CDショップで商品棚を眺めていたら、さわおさんがやってきて、いつものセクシーな甘い声で「久しぶりじゃないか」と言う。

驚いてしどろもどろしていると、「最近、見かけないんじゃない?」と言う。私は「すみません、ちょっと最近はライブは行ってないんですよねーピロウズ以外も全然行ってなくて、、」と言い訳をする。
さわおさんは、「ライブやるからさぁ、来てよ」と言ってくれた。「行きます行きます、もちろん!すみ

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自分が自分の居場所になるって。

自分が自分の居場所になるって。

ミヒャエル・エンデのメモ書きやノートをまとめた「エンデのメモ箱」という本が岩波現代文庫で出版されている。

そのなかの文章の一つに、あるインディオたちの話が書いてあった。彼らは西洋人に荷物持ちとして雇われ、始めの4日間は黙々と、予定よりも早く旅の行程を進んでいったが、5日目になって急に一歩も動かなくなった。円陣をつくって座り込み、2日間。給料を上げると言われても銃で脅されても理由も言わずに動かなか

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