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ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?
——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ を見てきた

国立西洋博物館で開かれている特別展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」を見てきた。 備忘録的に感想を書く。 1番印象に残ったのは、竹村京さんの作品である。これは大きく欠損したモネの絵画の保管を刺繍によって行うと言う作品である。作品自体も非常に美しいし、何より刺繍と欠損した損した絵画との間に、スペースがありそこに入れるということがとても良いと思った。このスペースこそが、作品と作品の間の時間であり、実はどのような作品にもこのような時間が流れていると言うこ

    • 山本理顕×藤本壮介 万博と建築──なにをなすべきかが面白かった

      結論から言うと前回の万博イベントとは違いないとても生産的なとても良いイベントだったと思う。今回は無料よりも、有料部分の方が面白かったと思う。簡単な感想書く。 全体の流れとしては、まず、藤本さんの万博の建築におけるコンセプトが語られ、後に、山本さんのが反論が行われる。反応内容については、コンセプトそのものではなく、責任の所在の追求が主だったものである。 1、藤本氏の万博のコンセプトについて。万博に興味がないのでほとんど情報を仕入れていなかったなのかもしれないのだが、初めて藤

      • 訂正可能性とantifragile 

        訂正可能性とantifragile 訂正可能性の哲学の感想の第2段である。ここでは、ニコラスタレブが提唱するantifragile(反脆弱と日本語ではなっているのが、なんかしっくりこないのでこの文章ではantifragileでいく。)という概念と絡めて訂正可能性について自分の考えを述べることにする。結論から言うと、物事をantifragileの状態におく、自分自身がantifragileな状態となるためには訂正可能性を手に入れることが必要であると僕は考える。以下詳述する。

        • 始めようか、天才観測。本阿弥光悦の大宇宙に行ってきた

          午前2時 フミキリに 望遠鏡を担いでったー というわけでタイトルだけで釣られて国立博物館に天体天才観測に行ってきました。 というか、、この曲もう20年以上前の曲だよ。このタイトルがささるのは間違いなく30以上。もう色々怖い。 ちなみに俺の本阿弥光悦に関する知識はほぼゼロです。が。行ってみてきたら思った以上におもしろかったので素人の感想を書いておきます。 1.光悦自身はアートディレクターっぽい仕事が多い人だったっぽい。このディレクションに特徴的なのは「あえてずらす」みたい

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——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ を見てきた

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          猪瀬直樹×東浩紀「日本は『訂正』できるか」を見て感じた希望と寂しさ

          色々とすごい番組だったので感想を残しておこうと思う。冒頭は無料だし、冒頭にほぼ全部が詰まっているので冒頭だけでも是非。 1.端的な全体の感想 番組後半(2時間51分ごろ)のネットから質問「2020東京五輪の残したレガシーはなんですか?」という質問に対しての誘致した猪瀬さんの答えが「インバウンド」ではどうしようもないと思う。全く物語がない。繋げていない。国家的なイベントは現役の世代だけでなくて、次の世代(その場にいなかった世代)にとっても繋げられるものではなくてならない(

          猪瀬直樹×東浩紀「日本は『訂正』できるか」を見て感じた希望と寂しさ

          引き算医療のすゝめ -Hatena増田の国民皆保険制度になくなってほしい を読んで医師が考えたこと-

          たまーにHatenaの増田を覗くのだけれど面白いエントリがあった。 僕も医者の端くれ(専門医的な何かを一応持っている)なので色々考えることがあるのでここに記録しておく。 まず初めに行っておくと僕自身は国民皆保険制度は悪い制度ではないと思っています。というか、言及先のエントリにあるように(この人の指摘の大部分は多分に感情的なところがあるの同意しかねるのですが、) というのが僕の現状認識にかなり近いです。ダメなんだけど、それでも一番ましみたいな。ただ、今後のことを考えるとこの

          引き算医療のすゝめ -Hatena増田の国民皆保険制度になくなってほしい を読んで医師が考えたこと-

          親になってわかること

          最近の妻との会話がとても興味ものであったのでここに記しておこうと思う。 妻は幼児期にウクライナの田舎で暮らしていた。どのくらい田舎というと日常的に家畜と一緒に暮らしており、ガスなんかがちゃんと通っていないレベルである(水は井戸、トイレは外、電気は通っていたとのこと。)。僕は北海道の中央部をさらに寒くしてインフラがない感じを勝手に想像している。当時妻の父は貿易関係の仕事をしており基本的に家に居なかった。このため、義母が幼子3人(妻の兄、妻、妻の弟。年齢は7、5、1歳とか)を育

          親になってわかること

          訂正可能性とニューラルネットワーク -つまり一般意思ってなんだってばよ。-

          はじめに 遅ればせながら東浩紀さんの訂正可能性の哲学を読んだ。ここでは、主に第二部の一般意思再考についての僕なりの感想と考えを書いておこうと思う。 まず本文に とあるようにこの一般意思ってなんだってばよ問題は極めて重要でありながらちゃんと答えを出している人がいない解答が難しい問題である。訂正可能性の哲学の第二部は東さんの言うところの人工知能民主主義との対比で、この問題に言及していきながら、一般意思には絶え間ない訂正が必要であるという結論で終わっている。 一般意思に訂正?と

          訂正可能性とニューラルネットワーク -つまり一般意思ってなんだってばよ。-

          僕らは皆物語の奴隷である。

          最近Lex FRidmanのpodcastをよく聞いている。超豪華なゲストが来て長時間喋っていく(ちょっと前にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相ががやってきたときには驚いた。Lex Fridman「あなたは世界で最も恨みを買っている人と言う説もあります」みたいな超つっこんだ質問していてびっくりした。)と言う豪華なPodcastである。 そこにサピエンス全史の作者であるユヴァルノアハラリがやってきた。 このPodcastを聞いて色々考えていたことがクリアになったので一度吐

          僕らは皆物語の奴隷である。

          ドローンエンジニア会議 2023 in KAGAに行ってきた

          タイトルのまんまなのですが、ドローンエンジニア会議 2023 in KAGAに行ってきました。 AWSの不調により闇に吹っ飛んでしまった旧ブログのタイトルがjourney with droneであるぐらいにはドローン好きな私ですが、最近は規制が厳しくなりすぎて(いくらなんでも200g以下まで規制するのは厳しすぎるだろ(泣))飛ばす場所とやる気をと失い、細々と100g以下のwhoopを飛ばす毎日でした。 が上記のような面白いイベントが加賀で開催されると聞き久々にやる気に。主催

          ドローンエンジニア会議 2023 in KAGAに行ってきた

          春の京都とAI

          3月末家族と友人で京都に行ってきた。 丁度桜が満開の時期。素晴らしいタイミングだった。 メンバーは妻も含めてウクライナの方が半分だったのだけれど、僕らとは目のつけどころが全く違ってとても面白かった。例えば、恐らく日本人か京都といわれて、まず思い浮かべるのは清水寺か金閣寺だが、彼女たちにとっては伏見稲荷大社なのだ。 何度も行ったことがあり、なんなら近くに住んでいたこともある京都だが、伏見稲荷大社に行くのは初めてだった。奈良の三輪山と似ていて、山そのものに不思議な引力を感じる

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