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LGBTショート・ショート~レズが泣けない、濡れない、抜けない百合~

延子と長子は付き合って三年半のレズビアン・カップルで、LGBTパレードには二人揃って参加、LGBTデモがあれば公安警察監視対象の政党関係者や人権活動家がその場にいようが気にせず積極的に参加する、正しいLGBTオトメである(50代)

来る20XX年、彼女たちの積年の願いが叶い、とうとう日本で「同性婚」が制定される
もちろん仲間と共に目指した、憲法の改憲なしでだ、憲法24条の。
「果たしてそれは真の同性婚なのか?」と言う雑音(ルビ・ノイズ)も聞こえるが、いつもの様に連帯しない人の話は無視を決め込む。
まるで正しい環境保護団体、シーシェパードの様。
二人が見つめ合うと周囲の喧騒が遠のき、LGBT運動について水を差す話があると彼女たちのレイディオは壊れかけになる

延子「やっと私たちの願いが叶ったね!婚姻届、いつ出す?」
長子「・・・・。」
長子は目を細め、港で黄昏れる水夫が空の天気を読む様な、異国に置いてきた港の女達を思い出す様な遠い目をした
延子「どうしたの?長ちゃん、嬉しくないの?私たちずっと抗議してきたじゃない?ヒロヒトの時もアキヒトの時もナルヒトの時も…キシダの時もスガの時もアベの時も家康と後陽成の時も、どんな時もどんな時も僕が僕らしくある為に…」
長子「私たち、反権力だよね?”LGBT” ※注1 だもの!」

※注1:一説によるとLGBTとは性的少数派の政治・社会運動に関わる人物、又は運動そのものの事である。市井の意識低い系レズの筆者とは違う。

延子「そうだけど…同性婚に何か関係あるの?」
長子「関係あるよ!結婚制度とは家父長制の強制だよ!しかも天皇制を廃止していない以上、私たちが結婚する事は権力や”タイセー(体制)”に屈すると言う事なんだ!」
延子「う、うん…」
延子ははるか昔、運動部の部活動の教師が意味不明な理屈を熱弁してきた時の、部員同士目配せをし「意味分かんないけど、とりあえずハイ言っとこう。」みたいな空気をうっすらと思い出した。

延子「でも、『絶対に結婚しようね、地方自治体のパートナーシップ制度で妥協したら駄目だ。』って言って一緒に頑張ってきたじゃない…それに長ちゃんは同性婚賛成なんでしょ?」
長子「もちろん、私たちの活動は単なる社会へのアンチテーゼでなく、実体を伴った主体性による自立した女性の自己実現として…」
延子「(心の声「ゴタクはいいから」)長ちゃんは私と結婚したいの?したくないの?」
長子「したいよ?」
延子「いつするの?今でしょ?」
長子「今は時期じゃないの」
延子「どうして?」
長子「まずは日本社会にはびこる”体制”の根元そのもの、”家父長制”の巨魁、憎き”天皇制”をぶっ潰し、戸籍制度も廃止しないと。延ちゃん、これは革命なんだ!同性婚より大事だよ。」
延子「なんかよく分からないけど、天皇と戸籍を倒したら結婚してくれる?」
長子「もちろん!」
二人は熱い抱擁と接吻を交わした。
夕陽の向こうには、かすかに天皇制党の「天皇制をぶっ壊す!」と言う街宣車アナウンスが流れていた。

数日後、延子は長子との共通の友人から、長子は11人の子持ちの主婦レズと知った
子は全員成人したらしい(20XX年の成人年齢は15才)

延子「長ちゃん酷い!一緒に暮らせないのは統一教会を辞めれない認知症のお母さんの介護が忙しいからって言ったじゃない!長ちゃんに夫がいると知っていたなら長ちゃんと今いないし!しかも子供が11人?サッカーチーム出来るし!」
長子「違うんだ、私はサルトルとボーヴォワールの実存主義的な実践的社会実験としての契約結婚をイデアを通してチャクラを開き、キシダをポアするスカラー電磁波…」
延子「もうオメーのそういう所ウンザリなんだよ!何処かで聞きかじった事のオウム返し!さっさと出てけ!性欲持て余した主婦レズ、ヤリマン女!」
長子「ちょっと待って…あ、グーパンチはやめて…ね!結婚しよう!」
延子「は、何言ってんだ、クソアマ?おめえダンナと離婚する気あんのか?」
長子「離婚はしない。カミングアウトします、私はポリアモリーです。※注2 延子、二人で複数婚実現目指そ?私の多様性、理解してくれるよね?」

※注2 ポリアモリー:複数恋愛。配偶者又は恋人同士、双方の同意の下、二股~股の様な交際形態だけでなく、セフレの様なドライな体だけの関係も含む。欧米、日本でも標榜しているLGBT活動家がいる。

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