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養生訓の教えが科学的に次々と証明されている

福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた「養生訓」は、どうすれば「健康で長生き出来るか」「健やかに人生を送れるか」が具体的な方法で記されていて、江戸時代の当時、たちまちベストセラーとなった。

貝原益軒自身も85歳まで長生きしたが、当時は40歳ぐらいを寿命として死ぬ人が多かったから、つまり2倍も長く生きたことになる。

そして驚くことに「養生訓」に書かれている内容は、現代医学のさまざまな研究でエビデンスが取れてきている。健康な寿命を存えるために効果が高いこととして発見されたさまざまなことが、ミトコンドリアの健康、AMPK、mTOR、サーチュイン因子、メタボ理論、C-reactive、など近年の医学的な発見のずっと以前から、正しく書かれているのだ。

例えば、『少なく食べる』ことの効用。「養生訓」には、繰り返し、少食の効用が説かれているが、近代の実験マウスやフライなどの動物では、与える飼料を少なくしてやると、その寿命が同じ動物たちと比べて40%以上も長くなることが数々の実験で証明されている。

しかも「養生訓」が書かれたその当時はまだ、インシュリンの働きや、身体内部のC-reactive炎症のメカニズムについて明らかにされていなかったにもかかわらず、「食事の後は座ったままでいたり横になったりしないで、散歩をすること」が勧められていたり、「味付けは薄味にして油っこいものは避けるように」など、現代医学で解明されている食事療法についても説明されている。

さらに身体を甘やかしすぎてはいけないという「養生訓」の考え方は、近代医学で明らかになったホルミシス(身体に加えられたわずかの負荷が身体を強くするというもの)作用と一致する。例えば入浴の最後に水をかぶることで身体が活性化すること、少し寒いぐらいの温度で過ごすと身体が風邪をひきにくくなること、筋トレなど物理的な負荷を身体にかけることで筋肉が強くなることがあげられる。

「養生訓」ではメンタルな部分でも詳しく説いていて、例えば次のような心構えや暮らし方についてもその精神論を説明している。

原文

ひとり家に居て、閑(しずか)に日を送り、古書をよみ、古人の詩歌を吟じ、香をたき、古法帖を玩び、山水をのぞみ、月花をめで、草木を愛し、四時の好景を玩び、酒を微酔にのみ、園菜を煮るも、皆これ心を楽ましめ、気を養ふ助なり。
貧賎の人もこの楽つねに得やすし。
もしよくこの楽をしれらば、富貴にして楽をしらざる人にまさるべし。

現訳

ひとり家に居て、のどかに日を送り、古書を読み、古人の詩歌を吟じ、香をたいて、古い名筆を写した冊子を見て遊び、山水を眺め、月花を愛で、草木を愛し、四季の景色を楽しみ、酒を少したしなみ庭の野菜を煮るのも、みな心を楽しませ、『気』を養う助けとなる。
貧賤の人でも、この楽しみならいつでも出来る。
もしこの楽しみを知っていれば、富貴でもこの楽しみを知らない人よりは、はるかにまさっているといえよう。

近年になって、心の平穏がもたらす健康へのインパクトが科学的に説明されてきているけれど、自律神経や免疫機能がまだよくわからなかった時代に書かれた養生訓の、心のありかた、食事の仕方、身体の動かし方には脱帽するものがある。









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