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暗雲の隙間 《詩》

「暗雲の隙間」

雲が千切れる様に割れ

僅かな月明かりが射す

暗雲の隙間 

途切れ途切れの光が

僕の胸の中に隠された言葉を照らし

浮き彫りにしては消えてゆく


淡い青色の世界が訪れては消え去る

そして無音の漆黒が全てを包み込む

肉を削ぎ落とした骨格から発する

意識の放射が暗闇を貫く

其の凝縮された陰影を

網膜と脳裏に焼き付ける


僕は思考の切れ端を追い続ける

脳内の架空の白紙に
殴り書かれた言葉

其処に幾つかの鍵が提示されている


春を目の前にした鳥達の声が

全てを打ち明ける事の出来ない
僕の心残りに囁きかける


そして彼の最後に残した詩を

繰り返し読み返す

夢見た場所で
琥珀の風と純粋な月に触れた

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