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勝負強さは自分を追い込むほどの鍛錬があってこそ。女子フィギュアの坂本選手が世界選手権3連覇。完成度を極めて女子では56年ぶり。2年後の冬季五輪へジャンプ!

勝負強さは日頃の鍛錬があるからこそ生まれる。女子フィギュアスケートの坂本花織選手(23)が世界選手権で3連覇を達成した。女子では56年ぶりの快挙だ。坂本選手の勝負強さ。それは競技直前まで自分を追い込むほどの鍛錬から生まれているように思える。2年後には冬季五輪がある。坂本選手の勝負強さがあれば、五輪の頂点に立つことも十分可能だ。

カナダのモントリオールで行われた世界選手権。女子シングル2連覇中の坂本選手は、ショートプログラムで4位発進だった。

フリー当日の22日。午前中の公式練習で、坂本選手は連続技を含めて何度も何度もジャンプの練習に励んだ。まるで自分を極限まで追い込むほどに。

回数を制限して、ジャンプの型を確認する選手の方が多い。坂本選手は真逆のスタイルだ。「練習以上のものは、試合で出ない」という信念がある。だからこそ、ギリギリの時間まで自分を鍛え上げる。

自分を極限まで追い込む競技哲学が最後まで体を動かす原動力となる。フリーの競技では、すべてのジャンプに着氷し、ほぼミスなし。表現力などを評価する演技構成点は全選手トップだった。

ジャンプでも表現力でも、極めた完成度を発揮した。競技を終えて、緊張から解放された坂本選手はリンクで感極まった表情を見せた。スタンドの観客はスタンディングオベーションで坂本選手をたたえた。

首位との3.69点差を逆転し、世界選手権3連覇を達成。これは日本勢初で、ペギー・フレミングさん(米国)以来、女子56年ぶりの偉業となった。

日本女子選手では浅田真央さん以来3度目のV。浅田さんは2008年、11年、14年に優勝。フィギュアの「レジェンド」は世界選手権の連覇はなかった。それだけに坂本選手が3大会連続で頂点に立った価値は高い。

2022年以降、ロシア選手が大会から除外されている事情もある。それでもしっかり勝ちきる坂本選手の勝負強さは評価されるべきだ。その勝負強さは、日ごろの直前まで追い込むスタイルから培われている。

2年後にはイタリアのミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪が行われる。前回の北京大会で坂本選手はシングルで銅メダルに輝いた。次回はさらに上の金メダルが期待される。

その時、坂本選手は25歳。10代の選手が五輪で活躍する中で、坂本選手の年齢で立ち向かえるのか。私は十分に可能だと思っている。

女子フィギュアで日本選手唯一の五輪金メダルに輝いた荒川静香さん。荒川さんは24歳で頂点に立った。魅惑の演技力などが評価されての五輪金だった。

坂本選手には勝負強さがある。ギリギリまで追い込む鍛錬が完成度の高いジャンプ、魅惑の表現力を生み出している。

イタリア・ミラノは最新モードの街。坂本選手のギリギリまで追い込む鍛錬によって生み出される勝負強さが、世界中に発信されるだろう。そこで金メダルを獲得すれば、坂本選手の競技哲学が、フィギュアの最新モードとなるはずだ。坂本選手のさらなる活躍を応援したい。

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