一つ一つ難題をクリアしていけば、勢いが生まれる。選抜高校野球で群馬の健大高崎が県勢初優勝を果たした。打線が１試合ごとに破壊力を増していき、昨秋の日本一、昨春の決勝進出校を次々と下していっての戴冠だ。目の前にある難題に尻込みしたくなる。ただ、それをこなせば、勢いと自信が生まれる。健大高崎は難題を一つ一つ解決した先に栄光をつかんだ。

健大高崎は１、2回戦共に4－0で勝ち上がった。準々決勝から大きな壁が次々と現れた。

まずは山梨学院だ。昨春の甲子園優勝校。さらに昨秋の関東大会準決勝で、健大高崎は2－3と敗れていた。

昨年の実績にたじろぎたくなる。それでも健大高崎は勇敢に立ち向かう。五回に一挙4点のビッグイニングを作り、6－1で快勝した。昨秋のリベンジを果たして勢いが付いた。

甲子園準決勝の相手は星稜（石川）だ。昨秋の明治神宮大会を制した「秋の日本一」チーム。今大会の優勝候補の一角だった。

星稜にリードされ、追いついてもまた引き離される。健大高崎は苦しい試合展開が続いたが、2－3と1点を追う七回に3点を奪って逆転した。その後、相手の反撃を1点に抑えて、5－4と競り勝った。この逆転勝利で、さらに勢いが増したのだ。

そして決勝。最後の壁は報徳学園（兵庫）だった。昨春の甲子園初戦で敗れた相手だ。リベンジを果たしたい。

初回に2点を奪われる苦しい展開となった。それでも健大高崎は揺るがない。直後の攻撃で2死一、二塁とチャンスを作ると、5番森山竜之輔選手が左中間へ同点となる2点適時二塁打を放った。

さらに三回には先頭の斎藤銀乃助選手がライト線へ三塁打を放って好機を作ると、3番高山裕次郎選手が一、二塁間を抜く適時打を放って勝ち越した。今大会屈指の右腕、今朝丸裕喜投手を攻略した。

守っては先発の右腕、石垣元気投手、サウスポー佐藤龍月投手の継投で、相手の反撃を許さず、健大高崎は春夏通じて甲子園初優勝を果たした。

目の前に次々と現れてくる「壁」。健大高崎はこれを一つずつ崩していき、勢いと自信をつけていった。そして、その先にあった栄冠をつかんだのだ。

難題は一つ一つこなしていけば、勢いがつく。最初はたじろいでしまうが、果敢に挑んでみることだ。一つこなせば自信がつく。それで勢いが付いていく。健大高崎の日本一は、一つ一つ難題をクリアした先にあった。

「壁」を恐れずに立ち向かい、栄冠をつかんだ健大高崎をたたえたい。