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2019年12月の記事一覧

デザインの敗北、日本美意識の敗北 テプラ・ラミネート文化の勝利

最近、各所で「デザインの敗北」と称してお店の什器や設備にテプラや手書きなどで日本語サインが追加された写真がアップされているのを目にします。 デザインの敗北序章皮切りは佐藤可士和さんデザインのセブンイレブンのコーヒーメーカーではないでしょうか。 このような今「デザインの敗北」と呼ばれている現象に関しては、一末端デザイナーとしては心を痛めており昔から感じていたものの一番強くそれを意識したのは下記写真のサインを見たときです。 2012年渋谷にヒカリエという商業施設ができたときす

執筆:『NIKKEI STYLE』「ひらめきブックレビュー」/『ニワトリをどう洗うか?』

実は先日、書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」を展開している情報工場の一員として、『NIKKEI STYLE(日経スタイル)』で書評を書かせていただきました! プレゼンに必要なことが網羅されている本なので、プレゼンの準備で悩んだときには参考になると思います。 ちなみに『ひらめきブックレビュー』は、文字通り ”ひらめき” を与えてくれる書評の連載です。 アイデアのもとや読みたい本を探している時に思わぬ出会いを与えてくれるかもしれませんので、良かったらチェックしてみて

『つけびの村』刊行イベント 「ノンフィクション万歳!」前編

『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社) 刊行記念 「ノンフィクション万歳!」 高橋ユキ × 水谷竹秀 × 広野真嗣 × 江坂祐輔 × 藤野眞功 トークイベント が、2019年10月15日、青山ブックセンターにて開催されました。 この日の模様を、前後編に分け、公開いたします。 http://www.aoyamabc.jp/event/nonfiction/ 上記イベントページのリンクにもあります通り、 ーー本イベントでは、新世代〈調査ノンフィクション〉としても話題の

文才の有無に関係なく、誰でもそれなりに整った文章を書くコツ

 文章の書き方に正解はない。  ただ、ちょっとした「コツ」みたいなものはあると思う。  僕は会社に入ってから9年間、「週刊文春」と「文藝春秋」の編集部で、文章に携わる仕事をしてきた。  たかだが10年足らずの経歴で何を偉そうに、と思われる方もいるかもしれないが、最近になってようやく、「文章を書くコツみたいなものがあるのではないか?」ということに気がつき始めた。  もちろん一流作家のような芸術的で天才的な文章を書くコツではない。文才の有無は関係なく、誰でもそれなりに整っ

お笑い第7世代は「どつき」からの脱却なのか?──否定しない漫才の今っぽさ

M-1グランプリ2019。あぁ、これ審査員好きそう、なんて穿った目で見てたけど、もうぜんぜん笑ってだめで、とにかく面白かったミルクボーイ。チュートリアルの「チリンチリン」を見たときの腹のよじれを思い出した。ナイツ塙の99点は最後の1点に芸人の矜持を感じてしまったのもよかったな。 審査員のコメントにもあったけど「平和な漫才」ってフレーズが心に残ってる。ぺこぱは最たるものだろうけど、インディアンスやミルクボーイも、どちらかの落ち度を厳しく突っ込んで落としていくんじゃなくて、許容

フードロス解決なんて一言も言わず、ヴィーガンにも愛されるアノ品について。

「キクチさん、新たに餃子を試作したので食べてみてください。」と渡されて。正直、「うん、いわゆる緑黄色餃子だな。。インスタ映え狙いか。。」くらいに思ってたのだけど(すみませんw)。 なんだこりゃ美味いぞ。むっちゃ美味いぞ。。 安い肉の匂いもしないし、具もパンパン、ちょい皮厚めのしっかり系なのにやたら食べやすい。 お礼がてら問い合わせたら、「それ全部、野菜の皮とクズ野菜だけで作りました」「皮も、クズ野菜と野菜の皮の汁で色付けしました」 「肉は入れてません(!)」とのこと。

マインドフル・ワークのすべて

マインドフルネス瞑想という言い方が一般的ですが、私はより多くの人に受け入れていただけるよう、マインドフル・ワークと呼んでいます。また、マインドフルネス瞑想のやり方を解説している記事や動画も多数ありますが、noteレコメンド機能でより多くの人に届くように、私がふだんお伝えしている口調で、テキストに書き起こしました。 アドベントカレンダー毎日note更新企画の、クリスマスプレゼントとして、このnoteを話題にしたり、facebookシェア、twitteリツイートいただいた方の中

WONDERLESS JAPAN 〜「責任」と「やりがい」と「問い」のプチ社会学

お疲れさまです。uni'que若宮です。 渋谷スクランブルスクエアのQWSというところでコモンズメンバーというのをしているのもあり、最近よく「問い」について考えています。 今日は、「問い」ということについて書きたいと思います。 最近、こんな記事がありました。 「自分を大人」、「責任ある社会の一員」と考える日本の若者は約30~40%と他国の3分の1から半数近くにとどまり、「将来の夢を持っている」、「国に解決したい社会課題がある」との回答も他国に比べ30%近く低い数字とな

「なに笑ってるんだ」と言わないで……僕とジョーカーの〈失笑恐怖〉

そういえば映画『ジョーカー』は撹乱的な映画で、「ジョーカーは自分だ」と簡単に言えてしまう映画ではなかった。 主人公アーサーが突発的に行った殺人を、メディアが「富裕層への反発」という解釈に落とし込み、人々がそれに(勝手に)共感し、それがカスケード現象を生むというこの映画では、人々は「真実」にたどり着かないし、それを探ることもままならない。それどころか、ラストシーンでのアーサーの語り口によって、それまでの心理解釈的なストーリーさえも、全て「事後的に作られたフェイク」である可能性

廃林のコモンズ アナ・チン「マツタケ」

マツタケ アナ・チン みすず書房 2019. 9. 17 2016年に刊行されて人類学の各賞を受賞した、文化人類学者アナ・チンによる、マツタケの採取と流通についての本。米国オレゴンのカスケード山脈には、マツタケを探す移民たちのテント村がある。このキャンプの観察に始まり、バイヤーたちの取引、海の向こうの日本市場、さらには雲南や京都のマツタケ狩りまで、広くその売買の世界をたどっていく。サプライチェーンの各地を移動していく取材の方法は、マルチサイテッドな民族誌と呼ばれている。

2019年の僕の『思考のトレンド』まとめ

年間振り返りのコンテンツの時期がやってきましたね。 僕、思考のログを残すためにiCloudメモに「思考のトレンド」というメモを作ってピン留めしています。 こんなかんじ↓ 自分がどういうものを大切にしているのか説明するコストが下がったり、自分の思考の成長が見れたりするのでとてもおすすめです。 今回のnoteでは、2019年の思考をメモを見ながら振り返ろうというものになってます。 2019年の、と言いましたが、2018年は振り返ってないので、一緒に振り替えっていきたいと

パブリックアートが目指すもの

思い出に残るアート体験福岡市美術館は,2016年9月1日から約2年半の間,休館し,今年2019年3月21日にリニューアル・オープンしました。 まだリニューアル・オープンして1年も経っていないんですねぇ。私は,ちょうどリニューアル前後の2015年4月から2019年3月まで4年間,福岡市美術館に勤務させていただきましたが,今はアートとは無縁の仕事をしているので,随分昔のことのように感じます。 休館する前の2016年,「福岡市美術館クロージング/リニューアルプロジェクト2016

「空気を読む」より、「気持ちを伝える」。

「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ POISON」と、俳優の反町隆史さんが歌っていたのは、何年前のことだろう。毒をPOIZONと表す反町さんの言葉選びには敬服する。今の若い子たちは、この名曲を知っているのだろうか? ◆◆◆ 先日、教育分野の記事を得意とするライターさんの交流会に参加した。それぞれが興味のある教育テーマについて話し合い、シェアをし、理解を深める。学校広告を作っている私としては、リアルな教育現場の話が聞けて視野が広がった。 その中で、現役高校生と交流のあ

見えないアート案内

最新号の雑誌「kotoba」で、新連載 「見えないアート案内」始まってます。 これは、私と全盲の美術鑑賞家・白鳥さんと友人のマイティと三人で、美術館巡りをした記録です。 初回は全てのとっかかりとなった三菱一号館美術館の「フィリップスコレクション展」を取り上げました。具体的に出てくる作品は、ピエール・ボナールとピカソです。 フィリップス・コレクションはいま思うとほんと運命的な展示でした。だって、私は本家本元の「フィリップス・コレクション」(ワシントンにある邸宅