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2020年8月の記事一覧

ポストモダン回顧と現在(ポストモダンの多様性批判_2)No.4

ポストモダンの多様性には、明確な限界があった。それは、ティモシー・モートンも示唆しているように、多様性に境界を引く反多様性のモーメントである。多様性を称揚する主体が、多様な要素の上位にいることから生じる多様性に荷重される制限(集合化)である。それは、多様なものを認識の基礎に据えたカントにもある、多様性の囲い込みとまったく同じ心的機制である。 これに気づいていたホミ・K・バーバは、それを回避する理論的仕組みを考案した。それは、主体と他者の間の二重の境界線である。主体と他者という

東京駅の地下に酒蔵が誕生!? 「はせがわ酒店 グランスタ 東京店」レポート

「はせがわ酒店」。本店の亀戸をはじめ、麻布十番や日本橋、スカイツリーなど都内で7店舗を展開するほか、市販酒のコンテストを開催するなど、日本酒業界を牽引し続けるすごい酒屋さんです。 そんなはせがわ酒店の東京駅店(グランスタ)が、2020年8月にリニューアルオープン。「駅ナカで酒造りを始めた!」という噂を聞き、早速のぞいてきました。 東京駅改札内、地下1階、新幹線乗り場のすぐそば (この下にあります)グランスタは東京駅構内にある商業施設です。 地下1階、新幹線乗り場の近く

粋な返しがしたくて『はじめての構造主義』を読んだ

以前、『史上最強の哲学入門』を読んで、スイスの哲学者ソシュールの考え方面白いなぁって思ったのです。 その話を社内ドキュメントの週報に書き散らしたところ、こんなコメントが来た。 「脱構築、デリダまったなし」 このコメントの返しがわかりませんでした。上の書籍を読んだ時点で僕がソシュールについて理解したことは、「言語とは、差異のシステムである」で代表される主張の概要の概要の概要の...ryで、脱構築主義・デリラとのつながりを瞬時に理解できず、かつ、そもそも脱構築もよくわからな

構造デザインって何?

初めての投稿になります。 私は、建設・家具の会社を経営しながら、個人で建築構造デザインの仕事をしたり、大学で教育活動をしたりしています。 このnoteでは、建築構造以外の人に向けて、その中身を分かりやすく説明していきたいと思います。 そもそも建築構造って何だろう?「建築構造」は、一言で言い表しづらい不思議な分野です。皆さんは、「建築構造」と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか? 地震力の検討、骨組みの設計、トラス、ドーム、タワー・・・計算ばかりしているイメージが強い

人間と自然(後編)

今年のはじめに、人新世や気候変動を巡る前編を書いてから、思いもよらない形で世界は大きく変わり、ずいぶん間が空いてしまった。このパンデミック自体が気候変動を遠因とするものだとも言われたり、これこそまさに「人類が地球に影響を及ぼすだけでなく、その地球が人類に影響を及ぼし始めている」人新世を象徴するものだと言われることもある。一方で、世界中で行われている行動制限によって人々の移動や経済活動は停滞し、結果としてCO2排出量が大幅に減っているという状況も、半年前にはほとんど誰も予想でき

ゲンロンカフェ「東浩紀がいま考えていること・5」個人的解釈と感想~ゲンロンカフェによるSF的想像力での現在の揺さぶり~

8月20日配信のゲンロンカフェ「東浩紀がいま考えていること・5」を面白く見ました。 特に頭の3時間は必見ではないかと‥ 今回も個人的な解釈に引きつけて感想を書いてみます。 1.東さん指摘の、確定記述、単独性、訂正可能性と、接触、中動態について今回の配信の中での東さん指摘の以下の3つの要素、 1 確定記述(規則、法) 設計主義 2 単独性(無、超越、正義) 実存主義 3 訂正可能性(家族、類似性、歴史) 保守主義? は、それぞれ私の「保守・リベラル配置図」で示した A 積極/

上野博正さんのこと――雑誌『思想の科学』とともに

親方に仕える丁稚「この人だったら、どう考えるだろう」 「こんな時、どう行動するだろう」 判断に迷い、困ったときに脳裏に浮かぶことが多いのが、上野博正さんである。亡くなって、はや20年近くが経つ。 上野さんは、私が出版の世界で働くきっかけを与えてくれた人だ。内科、産婦人科、精神科の医者であり、その傍、出版社・思想の科学社の社長を務めていた。 出来が悪く、世間知らずだった私は、よく叱られた。電話の受け答えから、仕事に臨む姿勢まで、上野さんに怒鳴られたことは数え切れない。 「

『ほねがらみ』と偶像

はじめに  これは芦花公園『ほねがらみー某所怪談レポートー』に関する若干の考察である。盛大なネタバレを含むので、未読の方は、まずは是非カクヨムに掲載されている本編を読んでいただきたい。 『ほねがらみー某所怪談レポートー』カクヨム  また、考察と言っても全くもって不十分なものでしかなく、『ほねがらみ』という作品にちりばめられている謎のほんの一部について私見を記したに過ぎないものでしかないということをご了承願いたい。特に、私はいわゆるホラー小説というものを全く読まないので、

コンテクストデザインの誤読 -図解編-

コンテクストデザインとは何か、何ができるか考えています。 そこで、今回は自分の中での整理も含めてコンテクストデザインを図にしてまとめてみました。 もちろんこれは私の誤読も含まれます。コンテクストデザインについてきちんと理解したい方は、Takram渡邉さんのnoteをご覧ください。 本だとさらに詳しく知ることができます。 まだまだ私もコンテクストデザインについて解釈しようと試行錯誤中です…誤読の一過程としてお読みください。 コンテクストデザインのキーワードコンテクスト

美術館とUXの関係

ウェブ版「美術手帖」編集長の橋爪です。 さて、このたび光栄なことにnoteのCXOである深津貴之さんにインタビューする機会を得まして、大変示唆に富んだお話をうかがうことができました。 このインタビューではUX(User Experience)についても触れられていますが、そこから考えたことをつらつらと書き連ねます。 ご存じの方も多いと思いますが、ウェブ開発の世界では頻繁に出てくる言葉「UX」。これはその名の通り、「ユーザーがそのサービスで得られる体験」のことを指します。

東洋哲学本50冊よんだら「本当の自分」とかどうでもよくなった話

「好きなことで生きていく」ため会社をやめて 「好きなこと」が見つからずに5年がたった。 ウケる。 いや、ウケている場合ではない。 会社員 → 地方移住 → フリー を経て、 はては芸人までやって30代無職にいたる、 色々ためしたけど何もモノになってない感じは、「現実」という名の銃口をぼくの額につきつけている。 こ、これがゲンジツ... 地に足をつけて仕事がんばるか... と、ならないのが生来のニート気質をもつワイである😘 コロナ自粛に乗じて俗世に別れを告げ、

Enterキーが北海道に見えた、ただそれだけのこと(キーボードで日本地図)

 ある日、仕事の手を止めて休憩していたら、ふとEnterキーが北海道に見えました。仕事の都合で日本地図を見ることが多いので、似た形が目についたのだと思います。そこで、キーボードを日本地図にしたらどうなるのか、試してみることにしました。  まずは下図として、エクセルを使ってキーボードを描きました。マス目があるので規則的に並んでいるものを描くときにはエクセルは向いていますね。余談ですが、たまに「なぜこの様式がエクセルなのか」という謎の申請書や事務書類を見ることがあります。  

いいねの「質」は、いいねの「数」ではわからない | ズレから探る“今どき”のメディア環境(前編)

このnoteは、日経BP社より刊行された「アフターソーシャルメディア 多すぎる情報といかに付き合うか」(法政大学大学院メディア環境設計研究所編)を、皆さんにより知っていただくために、7月22日に開催されたウェビナーに基づいたものです。 後編『見たはずのフェイクニュースを「覚えてない」』のnoteはこちら (登壇者) 白井瞭…リ・パブリック 藤代裕之…法政大学社会学部教授 吉川昌孝…博報堂DYメディアパートナーズ 根本藍…法政大学社会学部4年 ソーシャルメディアが生活に浸

「書くのがしんどい」を読んだら、自分の不器用さが「7万PV」に化けた話

「誰でもできるような仕事をすることに、力を注ぐ意味がわからない」 昔、会社の同期と電車に揺られながら、そんな言葉を投げかけられてショックを受けた。 というのも、私は「超」がつくほど不器用な人間だからだ。 同期の仲間達が口頭でさっと説明を受けただけでできることが私にはできない。 一回一回気になるところを訊いてはメモを取り、実際にやってみて失敗しては怒られつつメモを取る。 私をこれまで育ててきてくれた上司たちには本当に頭が上がらない。 自分にしか出来ない仕事なんてそうそう見