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”国際系” note まとめ

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This magazine curates notes relating to stuffs between globalness and localness.
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2021年3月の記事一覧

日本語教育機関の類型化の難しさ〜制度化のよい面と課題

日本語教育機関の類型化の議論にはどうしても「日本語教育とは」という議論がつきまといますが,その定義が非常に難しいという話です 日本語教育機関とは前回のnote(日本語教育機関の類型化〜なぜ教師の資格と一緒に議論するのか)にも書いたとおり,日本語教育機関の類型化は,「留学」「就労」「生活」という三つの大枠に分けるということで進みそうです。 日本語教育の推進に関する法律や日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針の内容からしても,私自身,この三つ

カシミール旅行記①「カシミール地域は危ないの?」

3月の9日~16日までインドのカシミール地方に旅行に行ってきた。 今はもうデリーに帰ってきてしまったのだけれど、カシミールの旅がとにかく楽しすぎてカシミールへの愛が止まらない。笑 旅行中ツイッターでカシミールが如何に素敵な場所なのかを沢山つぶやいてはいたものの、まだまだ書き足りないことがたくさんあるので、カシミール旅行記を振り返りながらこのnoteで書いていこうと思う。 カシミールには前からずっとずっと行きたいと思っていた。 きっかけとしてはボリウッド映画「Haide

ようやくアゼルバイジャン語教科書の形が見えてきた

長らくお待たせしている(というか、ここ数年ずっとツイッターでも「匂わせ」の発言をしてきた)、アゼルバイジャン語教科書作成の案件。日頃から親交があり、信頼できる母語話者氏の大変丁寧にやってくださった校閲を経て、(とりあえずの)最終稿が返ってきました。 ああ、ようやくここまで来たかという感想です。 ただ、ここからが大変。まず、修正を指摘された箇所のチェックをしないといけません。最終バージョンでも、さらに相当の部分にチェックが入ったようなので、一つずつつぶしていかないといけませ

(今日の一枚)テネリフェ島のテヒタビーチで難民を助ける観光客

テネリフェ島のテヒタビーチで難民を助ける観光客- 2006年7月30日(日) Arturo Rodríguez(AP) カナリア諸島は、アフリカ移民の主要な目的地の1つであった。 この段階までに、ボートは、モーリタニアやセネガルから出発することがよくあった。 これは、大西洋の1,000kmの危険な旅だった。多くの人が飢えて脱水症状で到着している。 テネリフェ島のテヒタビーチで、撮影されたこの写真は、観光客が少年を助けようとしているところだ。 2006年7月30日(日曜

市民に委ね、受け渡すデザイン

過去にヘルシンキでのゲームを使った市民参加の取り組みや、ニューヨーク市の児童サービス課と子育て世代の取り組みなど、いくつかの市民が政策やまちづくりに関わっていく事例を紹介しました。 本マガジンを読んでくださっている方は「市民参加」と聞くとなんとなく好ましいもの、できるといいものと感じてしまうのではないでしょうか。少なくとも私はこうした感覚を持っており、市民が政策づくりに関与する事例についつい注目してしまいます。 しかし、具体的に市民参加の効用はどんなもので、なぜ必要なのか

SNSで話題の「世界の美しい建築」

1979年にアルバニアの地震で半破壊した建物を2年前に再建したのが下の画像です。まるで創建時に計画されたデザインのように、オールドとモダンスタイルがかっこよく融合されています。 壊れたものを金で修理するという日本の伝統修復技術、金継ぎを思い出します。現代のガラスをこの建物に統合することで損傷跡をあきらかにし、地震という歴史の記憶をも保存しました。 アルバニアでは 2019年11月にもマグニチュード 6.4 の強い地震が発生して被害が出たので、再建の物語を誇らしげに伝えつつ

今日も音楽は数百年の旅をする。聴き専だけどクラシック音楽を紹介させてくれ

イラストでも漫画でも小説でも何かを作った後は「二番煎じかな」と不安に思うことがありますが、そんなもの関係ねえ!と自信満々に言えるジャンルがあります。 クラシック音楽です。 こんにちは、Okakiです。 私はピアノが弾けません。ピアノどころか楽器全般からきし出来ない人間です。そんな私ですが、クラシック音楽が好きで、よく作業用BGMとして聴いています。 この記事は音楽の才能は無いけれど、ごく普通の一般人として「クラシック音楽ってここが良いよね面白いよね」とお伝えしてたくて書き

データ報道で広く使われる「Scrollytelling」とは何か

データ報道(Data journalism)やデータ可視化(Data visualization)には地図、アニメーション、インフォグラフィックなど様々な表現方法があります。今回は、最も広く使われる表現手段のひとつである「Scrollytelling」について紹介します。 Scrollytellingとは「Scroll」と「Storytelling」を組み合わせた「画面のスクロールと連動したストーリーテリング」を表す造語です。モバイル端末における報道コンテンツの消費が一般的

海外の実態、質と量でとらえるヒント=ドイツのアニメファンの場合=質・編

ドイツのオタクライフを描いた本「オタク・ストーリーズ」がドイツのベストセラーになりました。 後編となる本投稿では、ドイツのアニメファンを例に「質」にフォーカスして海外の実態をリサーチする方法について考えます。(前半はこちら) 質と量に関しては、それぞれ定性調査、定量調査と呼ばれ、マーケティングの基本となるリサーチとされています。4月といえば新社会人の季節です。マーケティングやリサーチについて初めて学ぶひとは例えば以下の連載記事を読んでみてはいかがでしょう。 さて、冒頭の

台湾的音楽 凹與山 Our Shame フォークトロニカの心地良さ

台湾のアーティスト紹介するシリーズ。 凹與山 Our Shame エレクトロとアコギが入り混じるデュオです。そういう意味では、とても現代的だなと思いながら聴いています。デュオ名のOur Shameって最初に目にした時には、パンクバンドかと思ったら、ぜんぜん違いました。 本人たちの Street Voice の紹介文には 探索電子聲響和木吉他的相容性的怪宅二人組。時常寫些沒出息的情歌。 エレクトロとアコギの互換性を探求するハウスデュオ。 時々、見込みのない恋に対するラブ

「移民」から「環境」へ~アフターメルケルの認識変化~

メルケル首相、率直な謝罪 3月24日はメルケル首相がイースター(復活祭)休暇に検討していた行動制限措置に関し「自分の過ち」だったと認め、国民に謝罪したことが大きく報じられました。政府が決断した厳格な規制に対し国民がこれを批判し、政府が譲歩するという流れはこれまであまり見なかったものです: ドイツ政府はイースター期間中、国民に対して外出自粛を呼び掛けていましたが、規制強化自体が唐突に打ち出されたことで連休前の店舗が逆に混雑することや、企業の生産計画が影響を受けたりすることへの

ボリビアの伝統医とアハユ(生命力)のはなし

ボリビアでは、それまでシャーマンを兼ねていたような伝統医が見直されて、西洋医とともに医療体制を作っているそうです。 地球を経巡る冒険家、関野吉晴さんが現地で聞いた話です。 伝統医の仕事は、「アハユ」と呼ばれる生命力を、気散じになりがちな体へ収めること。 おそらく、今でいう自律神経の乱れや精神的な病を治したり、整体や手当てに当たることであったり、または社会的・心理的に弱ったひとに寄り添う仕事だったのではないでしょうか。 20世紀の後半に西洋医学が入ってきて、伝統医は不要

古代遺跡に大はしゃぎ

アユタヤ駅に降り立つと、すぐに客引きのおっさんたちが群がってきてトゥクトゥク(トラック型のタクシー的なやつ)チャーターの勧誘に迫られた。 日本語表記での料金表を提示される。3時間で600バーツ(2160円)くらいだったと思う。 2000円程度で3時間も貸し切れるのだから、日本人の感覚だと十分安い。 だが旅行も後半戦になりお財布の中身が厳しくなっていた私は、節約のために自転車で遺跡巡りをするつもりでいた。 そのことを伝えるとおっさんどもは「わかってないね、兄弟」と、アユタ

「Z世代とメンタルヘルス」をどう語るか?~国際比較からみえる「視座」という問題点~

格差・差別・気候変動。不安定な社会の中で、世界中で重大な課題として可視化されてきた「メンタルヘルス」。こころの病気は誰であっても罹患する可能性があり、周囲と社会による支援が必要不可欠である。なかでも、「Z世代(Generation Z)」には、彼らのメンタルヘルスを脅かす大きな不安がのしかかっている。 ※「そもそもZ世代とは?」という疑問を持たれる人もいるだろう。以下に簡単な説明をつけておく。(既に知っている人は読み飛ばしてください) 「Z世代」に厳密な定義はないものの、