近畿地方の石造物㊵:東大寺法華堂経庫層塔(御髪塔)/唐招提寺宝篋印塔(伝・鑑真廟)


名称:東大寺法華堂経庫層塔

伝承など:御髪塔

所在地:奈良県奈良市雑司町 東大寺法華堂経庫


「三月堂」の通称で知られる法華堂は、東大寺最古の建造物であり、また執金剛神像を始めとする国宝の天平仏を多く所蔵するが、その法華堂の南方の法華堂経庫もまた、奈良時代に建てられた校倉造の倉庫で重要文化財に指定されている。

経庫の傍らには鎌倉時代後期の層塔が建っており、東大寺再建の際に使用された黒髪の縄を供養したものと言う伝承があり、「御髪塔」と呼ばれている。

層塔は現在十二重であるが、元来は十三重であったと考えられており、また基礎がやや低いが、これは一部が地中に埋まってしまっているせいであろう。

見落とされがちであるが、鎌倉時代の石塔として貴重である。


本編とは直接関係ないが、同じ奈良市内にある石塔で、この「近畿地方の石造物」で紹介していなかった石塔として、唐招提寺の宝篋印塔がある。

唐招提寺は奈良時代に唐から来日した鑑真和上が創建した寺院で、多くの貴重な文化財を有する律宗の総本山として知られるが、この宝篋印塔は唐招提寺境内奥の鑑真廟内にあるもので、その名の通り鑑真の供養塔とされる。

宝篋印塔は墳丘の上に建っており、墳丘が元来の鑑真の墓で宝篋印塔は後年付け足されたものであろう。

この宝篋印塔は墳丘の上にあり、かつ墳丘の手前までしか行けないため、写真を撮るのが難しく、私のカメラではズームを使っても下の二枚目のような写真が限界であった。

かつ私が訪れた時間帯は逆光であったため、かなりわかりにくい写真になっていること、また近づいてはっきりと石塔を見たわけではないため、独立した項目とはせず、本項の附属的な扱いとした。

宝篋印塔は鎌倉時代後期の作と考えられるが、隅飾りの形式や基礎が低いことなど全体的に古様であり、あるいは鎌倉時代中期まで遡るかも知れない。

近くで拝観出来ないので何とも言えないが、奈良市内の宝篋印塔の中でも屈指の古塔ではないだろうか。


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