奈良県内の石造物㉚:本明寺五輪塔(蘇我馬子の墓)

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名称:本明寺五輪塔

伝承など:伝・蘇我馬子の墓

所在地:奈良県橿原市石川町 本明寺


近鉄橿原神宮前駅から東に歩いて五分ほどの所にある本明寺は、現在は小さな寺院であるが、ここは飛鳥時代に蘇我馬子の邸宅があった場所とされ、馬子が百済から伝来した仏像をまつった日本最初の寺院である石川精舎がその前身と伝承される。

境内には、二メートルを超える大型の五輪塔があり、「馬子塚」と通称され、蘇我馬子の墓(あるいは供養塔)と伝承されているが、これは石川精舎から生じた後世の伝承である。

また、一説には戦国時代に越智家栄が造立した五輪塔とも言う。

五輪塔は鎌倉時代末期の作と思われ、蘇我馬子の墓と言うのは新し過ぎ(供養塔ならば違和感はないが)、越智家栄が造立したとするには古過ぎ、どちらにしても年代的に合致せず、伝承の域を出ない。

律宗系の寺院で盛んに造立された鎌倉期の五輪塔の様式をよく残す、端正な五輪塔である。


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