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父親の死から看護師の私が学んだこと

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余命1ヶ月と告知を受けた父との関わりについて綴っています。看護師だから出来たことではなく、家族だから出来たこと、そして感じたこと。ご家族が本人の代弁者として意思表示をしてくださる… もっと読む
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『あかり』介護保険外自費サービスを利用して得られたアウトカムを紡ぐ~9⃣

『あかり』介護保険外自費サービスを利用して得られたアウトカムを紡ぐ~9⃣

要支援1の認定が下りたばかりの方からの相談が、当社の居宅介護支援事業所にありました。聞くと、もう2か月近く入浴できてないとのこと。介護予防支援の手続きは開始しましたが、予防プランを作成、担当者会議開催という段階を踏むと早くても入浴できるまで一週間はかかりそうです。
本人、ご家族に自費サービスでの入浴を提案すると最初は少し躊躇されていましたが、奥様は『言っても入らないし、一人では危なそうだから頼もう

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娘が決めた父の最期のプラン

娘が決めた父の最期のプラン

ご覧いただきありがとうございます。この記事は父の死について書いています。お辛い状況の方は落ち着いたときにご覧ください。

余命1ヶ月の告知を受けた父の記事はマガジンに綴っています。今回は安楽死を希望した父の続きを書きます。

1.心に決めていた最期のプラン

ふと気になって病室に行くと「安楽死ってどうかなぁ?」と小声で相談してきた父に、今から思えば厳しいことを言ってしまったなぁと思います。その頃の

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看護師になったことを悔やんだ日

看護師になったことを悔やんだ日

祖母の死を追いかけるように、植物状態で3年生きた叔父が亡くなりました。
翌年、父と母は離婚しました。
それから約20年・・・

私は高校を卒業して薬品会社のOLとなり、その後、医療事務職、看護学校へと進み、27歳で看護師になりました。
初めての就職先で阪神大震災を経験し、結婚し、転居し、神経症になり、働きながら不妊症の治療をして40歳を迎えようとしていた頃のことです。

1.突然の父の言葉

その

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“生と死”の狭間で

“生と死”の狭間で

前回、健康診断で異常値が見つかった父のことを書きました。
ご覧くださり有難うございます。

今回は告知のことを書いています。
現在お辛い状況の方は、ご自身のお気持ちを整えてからご覧いただければと思います。

1.家族

父から検査結果説明の日を聞いて、仕事の休みを取りました。
受診の数日前に「何時に行く?」と尋ねると、父は「来てくれるんか?」と少し嬉しそうな顔をしました。

父は「ほんまは、わし一

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残り時間を告げられるということ

残り時間を告げられるということ

今回も告知の話が続きます。
お辛い状況の方は、気持が落ち着いているときにご覧ください。

前回、父はガンと診断されましたが「原発がわかれば治療できる」という医師の言葉に希望の光を見出して帰宅しました。
そして5日後、再び4人揃って病院に向かいました。
父は一日に数回、強い倦怠感と発熱を繰り返すようになっていました。

1.愛のある計画

4人部屋の窓側に父の居場所が用意されていました。
病院では入

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残り時間を告げられるということ-Ⅱ

残り時間を告げられるということ-Ⅱ

今回も告知について書いていますので、お辛い状況の方は気持ちが落ちついているときにご覧ください。

父から検査結果を聞いた日、外来でガンと診断された日、入院してすぐ家族に告知、そして今回は父自身に…
私には4回目の告知でした。

1.余命1ヶ月

前日、家族だけ呼ばれて余命2、3ヶ月~半年と告げられました。
父は病室に戻って来た私たちに「なんや3人でコソコソと。隠しごとはあかんで。」と苦笑いを浮かべ

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最期の望みは安楽死だった

最期の望みは安楽死だった

このブログは父の死について書いています。
現在お辛い状況の方は、落ち着いているときにご覧ください。

前回まで余命告知のことを書きました。

1.人生の最期に思うことこのブログをご覧くださっている方なら、きっと一度は見たり聞いたりしたことがあると思います。
“人生の最期に後悔すること”
何か覚えていらっしゃるでしょうか?

私が聞いたのは、アメリカで80代の人500名に取ったアンケートの結果です。

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2つの時間が交差する人生の最終段階

2つの時間が交差する人生の最終段階

このブログは死について書いています。現在お辛い状況の方は落ち着いているときにご覧ください。
余命1ヶ月と告げられた父の、最期の話の続きを書いていきます。
前回は安楽死を望んだ父の話でした。

1.お百度参り11月中頃に健康診断で異常が見つかり、月末にがんの告知を受けて、12月初めに精査目的のため入院しました。
父は治療する気満々で入院しましたが、実際は治療法が何もなく、余命1ヶ月と告げられました。

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