新卒人気職種”広告営業”はブラック!なの?
広告代理店に就職!花形の営業職
以前私が属していた会社は、広告業でした。
しかも販売代理店ではなく、直販(版元)です。
オリジナルブランドの媒体を使ってお客様の広告を打ち出す仕事です。
”週一回の入稿(原稿を上げて印刷会社へ送る)”
という鬼のスケジュールだったので、時間がいくらあっても足りませんでした。
営業職なのでもちろん数値目標がついてまわります。
自分の目標、チームの目標、会社全体の目標…
部下は上司に毎日進捗を報告して、着地見込みが達成できそうなのか、できないのであれば乖離を埋める活動をどうとるのか。
そんな話ばかりです。
それでもとても楽しかったです。
なぜか??
ひとつは、自分で時間・行動を決められたから。
これは会社によって違うので一概に「営業職だから」とは言えません。
あくまで私が経験した中での話になります。
時間配分は個々人に任せてもらっていたことと、版元だったからこその武器があったからです。
まず時間ですが、冒頭で申し上げた通り、とにかく時間がありません。
出社後、ミーティングなどを行った後にタスクの確認、必要なものの準備をして客先へ出かけます。
一人一台、車とPC、iPad、スマホなどが支給されていたのでそれも便利でした。
アポがなければ基本飛び込みになりますが、会社で原稿作成や資料作成に時間を使ってもいいですし、カフェでやっている人もいました。
営業同士、時間を合わせてランチをしたり、外でミーティングをすることもできます。
このあたりはかなり自由にできていたので、楽しさを感じられました。
特にカフェでPC作業をしたり、打ち合わせをするのは「カッコイイ」と思っていたので、実現できてニヤニヤした思い出がありますw
もう一つは、版元だったためキャンペーンなどの企画も自社で打ち出していたので、売りやすいように上司に交渉して特別対応枠を用意できたり、営業の裁量である程度決められたりしたので、提案しやすさはありました。
値引きやスケジュール調整などもある程度任せられていたので、お客様との打ち合わせの中、「あとひといき!」の武器を持っていました。
提案内容を気軽に相談できる社内の雰囲気も良かったと言えるかもしれません。
最近は銀行職員でさえ、ポロシャツやノーネクタイでラフな格好になっていますが、少し前までビジネススーツが当たり前でした。
そんなご時世でもみんなおしゃれで、キレイめなフレアスカートとジャケットの組み合わせなど、カジュアルさを入れた華やかなスタイルで営業をしていました。
男性もジャケパンが主流でカッチリしたスーツの人は少なかったです。
広告業界ならではなのかもしれないですね。
営業職の醍醐味
販売職と違って「欲しい」と思って来店した人に商品を売るわけではありません。
そもそも「欲しい」と思っていない人に対して、もしくは「同業他社製品をすでに使っている」人に対して、自社製品の良さを伝えて買ってもらわないといけません。
これは難易度が高く、無理強いすれば怒られ嫌われるので、当然会ってもらえなくなります。
成績は伸びなくなり、上司からも怒られます。
これが”営業職は大変”というイメージになる要因だろうと思います。
しかし、これこそが【醍醐味】だと私は思ったのです。
コミュニケーション力を高めるきっかけにもなったと思います。
★人間関係に悩まなくなった話はこちら
広告営業なので、形のある商品を売ったら終わり…ではありません。
効果が測りにくいものでもあります。
投資をする動機付け、効果が得られなかった時のフォロー、他媒体との差別化・・・
考えることや行動しなければいけないことは山積みです。
今ではあり得ませんが、仕事が終わらず夜中までかかってしまうこともありました。
また、担当する顧客数もとても多かったので、どうしても手が回らないのです。
これは本当に大変でした。
気が付けばノーマークだった社名を同業他社の媒体で見かけて焦る…そんなこともたくさんありました。
では、何が【醍醐味】なのかというと、人間力が上がるという点です。
たくさんのビジネス本が溢れかえり、「営業たるや」と教えが蔓延しています。
ですが、やはり”読んで知る”のと”行動して経験する”のでは全く違います。
私は完全に感情型の人間なので、人に寄り添うことが嫌いではありません。
だから悩んだのです。
「効果が出るかどうかも分からないものに、こんな高いお金を出してもらうのはいいのだろうか・・・」
そう考えると全く売れなくなりました。
上司に「とにかく売れ!」と言われていたらもっと早く辞めていたと思います。
ありがたいことに「騙してでも売れ」という上司はおらず、「売ることでお客様にどんなメリットを与えられるのか」という考えを教えてくれる人たちでした。
相手のベネフィットを考える
「売る」というのを”自分視点”で見ていた私は上司の教えは衝撃でした。
一コマ30万円という広告があったとして、単純に私は「1週間しか出ない記事に払うのは高い」と考えてしまったのです。
しかし、上司は言いました。
「あなたがお客様の代わりに目を引く記事を作って世の中に発信したら、お客様にはどんな”価値”が生まれると思う?」
ベネフィット、すなわち顧客が商品やサービスから得られる効果や利益を考えなさい。
ハッとしました。
30万円を「高い」と思うか「安い」と思うかは、私が決めることではなかったのです。
その30万円の記事を出したことによって、お客様のお客様が増え、結果的に利益となったり、お客様の仲間が増えて戦力が上がったりする可能性がある。
そこに”価値”を見出せたらお客様は買ってくれる。
それだけでした。
私の価値観は関係ない、そう気付かせてもらいました。
そこから売れるようになり、全社一位という成績を収めることができました。
そこで気が付いたのは、なにも営業に限ったことではないということ。
人と関わるときすべてに共通することです。
例えば恋愛の場合、あまり容姿が美しくなかったとしても、私と付き合うとこんなイイことがあるよ!という”価値”を相手に理解してもらえたら、きっと告白は上手くいくでしょう。
その「イイこと」はあくまでも相手にとっての「イイこと」でなくてはいけません。
自分にとってのイイことでは何の価値もないのです。
だから相手のことを知る努力をして、何に”価値”を感じるのかを調べます。
相手を良く知った上で提案するのです。
「あなたにとってのベネフィットを私なら与えられるよ」と。
成果が出たときの喜び
そうやって相手を知り、相手の利益を考え、提案したことを受け入れてもらえた時、それはものすごく嬉しいですし、やりがいを感じることができます。
さらに、描いていた”価値”そのものの成果が出ればなおさらです。
そして成功体験を積めば積むほど、次のお客様に伝える力もついていきます。
ここでの経験で『人間力』を身に付けることができたと感じています。
ブラック企業ではなかった
結論。
私にとって、広告業界で営業職を経験できたことは財産になりました。
夜中まで働いて、成果を問われ、見知らぬお客様に飛び込みで話を聞いてもらいに行く。
それらは確かに「キツイ」ことだったかもしれません。
しかし、そのおかげで得たものはとても大きく、かけがえのないものでした。
しかも楽しさを味わうこともたくさんありました。
私には向いていたのだろうと思います。
「あなただから買うよ」
そう言ってもらえるように頑張ることは苦しいとは感じませんでした。
営業職だけでなく、人と関わるときにこの経験が活きていると思います。
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