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短辺紙文「片頭痛で寝込む」

片頭痛が起こると、深刻な痛みと気持ち悪さで倒れて、一日中、寝込みます。どうにか動けるようになっても、痛みと気持ち悪さは残っていて、本当に深刻な一日。朝に起きたときから、片頭痛が始まっていることも多々あります。

音や光があると、いっそう、頭痛は酷くなります。処方の片頭痛薬を服用してから、陽射しが入らないようにカーテンを閉め切って、暗く静かなところで横になって、安静にしていなければならないのだけれど、片頭痛は突然に起こって、出掛け先で頭痛が始まると、もう、お終い。駅構内で倒れて、救急車で搬送されたこともありました。

片頭痛が、いつ、どのくらい起こるのか、予測はつきません。片頭痛が起こる原因や本当のところの仕組みは、実のところ、よく解っていなくて、対処療法でどうにか凌ぐしかありません。でも、片頭痛の苦しみはあまりにも酷くて、倒れて、もう動けない。

片頭痛は、10代の頃から起こるようになりました。職場での勤務中にも起こりました。片頭痛を抱えていては、なにも務まりません。頭痛は、ひとつの戦力外通告。一喝されます。バセドウ病のときもそうでした。

「そんな病気になるなんて、体調管理を怠っている」
「病気は便利。休めるから、ずるい」
「上手く出来ないのは、病気のせいではなくて、あなたのせい」

わたしの片頭痛には予兆があって、閃輝暗転といって、視界に眩しい光点のようなものが広がって見えます。30分間くらいで閃輝暗転は治まって、それから片頭痛が始まります。その30分間のあいだに、倒れるための支度をします。そして、8時間くらい寝込みます。もっと寝込むこともあります。

頭痛で倒れているあいだにも、考え事が止みません。

ネコたちのゴハンのこと。ひとりであること。体温が下がっていること。朝だったのに、夕方になっていること。買い出しのこと。掃除が済んでいないこと。ネコたちのこと。昼だったのに、夜になっていること。これからのこと。いろいろなこと。いろいろな虚しさのこと。あの人の言葉のこと。あのときの言葉のこと。あの言葉のこと。

否定される痛みも、拒絶される痛みも、大事にされない痛みも、打ち棄てられる痛みも、この片頭痛の痛みに比べたら、あまりにも、些細な痛み。頭痛、この激烈な痛みは、いったい、なんなのだろう。

わたしよりも酷い片頭痛を患う人はいます。それほどの痛みを抱えながら、まともに社会生活を送れるとは思えません。これほどの痛みのなかで、その日の仕事をして、会話をして、歩いて、歩き続けて、そんなことのできる人が実在するとは、わたしには思えません。頭痛は、しんどい。

-オワリ-   文・写真/スカーラ主人

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