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陳腐な阿諛を手繰り寄せ
最初はさ、下手くそなおべっかばかり言う人だなって思ってたのよ。
「綺麗だね、今日も」とか。
「ずっと君の事を考えてた」だとか。
五秒もあれば誰でも思いつくけど、あえて誰も口にしないような――そんなクサいセリフ、恥ずかしげもなく言うのよ。あの人って。
こちらへの接し方も、なんだか書店の隅っこでホコリ被ってる恋愛指南書に書いてありそうな感じでさ。正直、友達との話のネタにして馬鹿にしてたんだよね。
空は青く、涙はこぼれる
「ごめーん、そういう事だから! あとはよろしく!」
電子音に変換された姉の声がそう言った。4月15日、姉は突然消え、代わりに聞いたこともない金融会社の人間が僕の目の前に現れた。そして今はその事務所のソファに腰掛けている。
連帯保証人の欄に僕の名前が記入された借用書と、姉が電話口で言っていた事。この二つを反芻して考えた結果、「そういう事」とは、この金融会社から暴利で借りた借金の事を指していて、「