【私の感傷的百物語】第二十一話 天井裏の毛物
僕の実家の一階と二階の間、つまり一階の天井裏には、よく獣が忍び込んできます。初めてその気配に気づいたのはいつ頃だったか記憶が曖昧ですが、その当時、一階で寝ていた僕の真上で、ざらり、ざらりという衣ずれのような音が聞こえてきました。無防備な就寝中に頭上から奇怪な音がするというのは、気持ちの良いものではありません。江戸時代の武士階級ならば、傍におかれた刀に手をかけるところでしょうが、そんな武器もありません。
じっと聞いていると、ガリガリという爪音もします。ここで、正体は獣であり、