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手引書:初めての英語レポート(オンライン英会話❌探究)

本校では中2の3学期より、英語でレポート作成を行う。その指導法、及び手順の紹介。

対象:中学2年生、3学期
必要英語レベル:英検準2級あたり

レポート内容:自分の興味・関心のあることで、質問を3-4つ考え、その固定された質問を世界、五カ国以上、15人以上の先生にインタビューを行い、日本との違いを含めて考察する。

レッスン1: 固定された質問の作成

1. 過去事例の紹介

昨年度作成のレポートで、どのような質問でレポートを書いたかを紹介する。(最終ゴールの提示)

過去の事例紹介①:スマホ
①スマホを持つ適切な年齢は何歳からか?
②スマホ問題で話題になっているものってどういうものがある?
③スマホなしで、一週間生活できますか?

過去の事例紹介②:習い事
①どんな習い事を子どもにして欲しいですか?
②あなたの国では、どんな習い事が人気がありますか?
③あなたの国では、子どもたちは塾に通いますか?

2. 質問の考え方

みなさんは世界110ヶ国の先生とつながることが可能。
だからこそ、国の違いがでるような質問にしましょう。

あくまでも皆さんの興味・関心のある分野で考えて、まずは固定された質問を作成しましょう。

教育、食べ物、文化、そういう部分は行いやすいですが、あくまでもみなさん自身にお任せします。

※逆に言うと、世界共通になっているものは質問としては難しい。
①あなたの国で流行っているゲームは何ですか?
⇒多くのゲームは世界規模で展開されているので、違いが出にくい。
②日本の漫画で有名なものを教えてください。
⇒ナルト、ワンピース、進撃の巨人など、日本のアニメは世界的。
③好きなディズニー映画を教えてください。
⇒ディズニーは世界的に有名。

3. 質問の作成

ある程度、アイデアがある程度出てきたら下の項目を確認
▢質問が漠然としすぎていないかのチェック。
▢その質問をされて、あなたやクラスメイトがこらえられないなら再考。
▢その後のデータのまとめ方を知っておく。
 理想:シンプルに答えられるものを2つ、記述系を1つ。
 (できるだけ短く、すぐに答えられるような質問の作成)

例:学校の違いについて調べたい。
質問:あなたの国の学校について教えてください。
⇒学校の何????となる。

テーマとしては、OKですが、学校の何についてかな?学校の宿題の量?校則?休み時間の過ごし方?学校の何だろう?

そういう場合は、質問の分野をより具体的にしましょう。

5ヶ国以上、15人の人に聞いて、その後にデータをまとめます。
※先生方の回答が長くなれば長くなるほど、まとめにくくなります。

答えやすい質問にするのが大事です!!

比較
①スマホを持ち始める適切な年齢って何歳ぐらいですか?
②あなたの国のスマホの問題を教えてください。

15人を調査して、データとしてまとめやすいのは、どちらですか?
明らかに「①」です。

「②」の質問がダメなのではありません。「②」は、「記述」で回答がでてくるので、データをその後に整理して、しっかりと考察が必要になってくるというわけです。

今回はまずは初めてのレポート作成です。3つの質問のうち2つは、「①」のような質問にし、具体的な記述がいる「②」のような質問は1つか2つにしておきましょう。

「①」のようなシンプルな質問の特徴or作り方
1. Do you~ ? のように Yes, Noでこたえられるようなもの。
2. 「数」に関わるもの:何歳から?何個?
3. リストで答える系。 AとBとCという具合。

※ここで1度、生徒からの質問を回収⇒教員チェック
✅の観点は上と同じ。
①国ごとの差異がでそうか。
②具体的な質問になっているか。
③データのまとめやすさ(基本:シンプル2、記述1)

4. 質問チェック(教員アドバイス)

生徒の目のつけどころを探り、その興味関心を掘り下げるようなアドバイス。あくまでも1例として、アドバイスをして、最終的な判断は生徒。

具体的な指導事例①
興味・関心:キャラクター
①有名なマスコットキャラクターはいるのか
②どこで使われているのか
③そのキャラクターは人気なのか

⇒日本にはたくさんゆるキャラがいる。学校にも、市町村にも、どこにでもマスコットがいる。そんな状況に目をつけたのは、とても興味深い。

きっとマスコットやキャラクターがどこで使われているのかがに興味・関心があると思うので、分野を絞ってはどうかな?

①世界的にではなく、あなたの国で有名なマスコットはどんなのですか?
②の「どこで」を絞り、野球チーム、市町村、学校とかで、その3つにキャラクターはいますか?とかいう具合に答えやすいようにしては?
③「②」の選択肢以外にもマスコットあり!それはどこ?

という具合にすると、国の違いが出たり、世界のマスコット市場(使われる場所)とかが分かるのではないかな?

具体的な指導事例②
興味・関心:お小遣い
①子供の頃はお小遣いを貰っていたのか?
②月で何円貰っていたのか?
③そのお小遣いは何に使っていたのか?
④いつからお小遣いは貰えなくなった?

各家庭によりそうな質問になっているので、国の違いが分かるようにしては?例えば、日本では大体がアルバイト禁止だけど、他国ではどうかな?

それと、その国のお金の単位を知っても、こちら側が分かりにくいから、ペットボトルの水何本分?マクドのセット何回買える?とかにすると、分かりやすくなりそうでは?

という具合に、生徒×教員の対話を行いながら、生徒の興味・関心の本質を見抜きながら、アドバイスを行い、質問を固定させていく。

このような対話を、最低でも2回、生徒×教員、生徒×生徒、で行い質問を決めていく。

レッスン2:実際にインタビュー

1.準備①エクセル

テンプレートとなるエクセルをベースに、その調査用紙を自分用に編集する。
【手順】
①固定化された質問を質問欄に記入する。
②自分の回答も打ち込んでおく。
(インタビューすると、How about you?が返ってくる)
③先生にインタビューする都度、エクセルに記入する。

2.準備②インタビューの英語

レッスンの初めに必ず、今、学校のプロジェクトでこういうレポートを作成しているので、何個か質問させてください、と伝えること。

例えば、こういう形

I have an interviewing project in school.
I am writing a paper about ○○.
So, let me ask you some questions about it.

加えて、必要になりそうな英語を事前に調べておき、語彙を増やしておきましょう。インタビューしながら、学んだ語彙をリスト化しておくと、良い勉強になります。

3.実践

準備ができたら実践スタート。5ヶ国以上、15人以上の先生にインタビューすることが目標。オンライン英会話で予約する際に、できるだけ色んな国の先生を選び、実践。

3~4回ごとに、何人かの生徒を取り上げて、進捗状況の確認

レッスン3:レポート作成

0.全体の構成の説明

レポートの形と書くべき内容は以下の通り。
まずは、書くべき内容を確認しましょう。

※Teamsの課題で提出
- 課題に成績評価のルーブリックを同時に貼り付け

  1. Introduction
    それを調べたいと思ったきっかけとなぜそれを調べたいかを書き、最後にインタビューで使う質問を3つ書く。

  2. Present Situation and My prediction
    そのテーマの日本の現状、と世界の人に聞いたらどんな結果になるだろうかの予想を書く。

  3. Research
    使うオンライン英会話がどういうサービスがあるか+質問の再掲
    インタビューの実施回数、及び調査した結果を表で表示。

  4. Analysis
    ①日本と世界の比較と
    ②自分の予想と結果の比較

  5. Conclusion
    内容の簡単なまとめ
    興味深かったこと
    この調査からさらに気になって今後調べたい事

  6. 感想(日本語)
    初めてレポートを書いた感想
    定期考査ではなくこういうレポートで評価される感想

以下、各セクションの事例

1. Introduction

✅項目(書くべきこと)
☐そのテーマを調べようと思ったかのきっかけ
☐固定された3つの質問

○○のきっかけがあり、○○がきになり、だからこそ○○を調べたい。
そこでこれら3つの質問でインタビュー調査を行う

というのが基本的な流れ。

2. Present Situation and My Prediction

✅項目(書くべきこと)
▢そのテーマや質問に関わる日本の現状を調べて書く。
 ※調べに使うのはジャパンナリッジやインターネット。
 ※何かを引用した場合には、かならず引用先をいれておくこと。
▢質問1~3の私の予想

○○の日本の現状について言うと、こんなことがある。
また、質問1~3の私の予想としては、このように考えられる。

が基本的な流れ。

以下は世界の習い事を調査したレポートからの抜粋。

3. Research

✅項目(書くべきこと)
▢使っているオンライン英会話がどういうものかの説明
▢質問1~3の再掲
▢インタビューの回数と国別の表
▢質問1~3のまとめ

どのようなものを使いリサーチを行い、どういう結果が得られたのかを書くセクションです。リサーチの手法と結果をデータとしてまとめましょう。

例①
例②

インタビュー回数と調査のまとめを表にする。

例①
例②

4. Analysis

Analysis(分析)なので、調査結果を分析するセクション。

✅項目(書くべきこと)
▢日本の現状と得た調査結果をベースに、日本と世界の比較
▢自分の予想と調査結果をベースに、予想と結果の比較

基本的に上の2つの観点で、みると違いが出てくるので、そこで分かったことを中心に、どういう違いや事実があるのかを考察する。

現状と世界の調査結果を比較すると、○○ということが分かる。○○では~だが、日本では○○。その違いは、こういうところにあるのだろう。

私の予想では○○と思っていたが、調査を行うと○○については異なると分かった。先生たちからの話によると、○○ということが理由ではないかと考えられる。

という具合。

比較して、興味深いや面白い!と思ったことを素直に説明するという気持ちで書くと、分かりやすいと思います。

とにかく比較しましょう!!

例①
例②

5. Conclusion

レポートのまとめとなる部分。

✅項目(書くべきこと)
▢内容のまとめ(調査で分かったこと)
▢特に興味深かったこととその理由
▢この調査からさらに気になって今後調べたい事

調査によって、こういうことが分かった。特に興味深かったのは、○○で、それは非常に驚いた。レポートを書く中で、こういうことが気になったので、今後は○○を調べたい。

というのが基本的な流れ。

例①
例②

6. 感想

✅項目(書くべきこと)
▢初めてレポートを書いた感想
▢定期考査ではなくこういうレポートで評価される感想
 (レポートがある場合、学期末の定期考査は単語や文法の確認テスト)
   例:フレーズ英単語4択、記号のみで400問

具体的にどういうところに苦戦したや、どういう部分が学びになったかを書きましょう。また、レポートがある場合の定期考査は、小テストの延長のような記号のみの問題です。どう感じたかを書きましょう。

例①
例②

レッスン4:英語に困ったら

レポートでは英語で約1000words以上、書くことになります。英語で考えて、英語で書いていきますが、どうしても困る時は必ず出てきます。

その時は、

① 英文を短くする。短い英文で、表現していく。
②DeepL(翻訳サイト)を使用してヒントを得る。

※ただし以下のことを必ず守ってください。
①日本語を入れる部分は、簡単な日本語にすること。
②自分で理解できない英語は、採用しない。

DeepLを使って、ヒントを得るのは良いですが、そのまま使うのは、みなさんの力になりません。使っても良いですが、必ず自分で理解できる英語を採用してください。

レッスン5:レポートが完成したら✅

提出する前に行って欲しい3つのこと
▢Grammalyでチェック
▢イマーシブリーダーでチェック
▢オンライン英会話の先生にチェック依頼


①Grammarlyを用いてで、AIの英文チェックを受けてください。

そして、そこで修正すべき部分を修正してください。
a やthe、また単数/複数、そしてスペルをよく訂正されると思います。
訂正を提案される部分は、なぜ訂正されるのでしょうか?
その部分をもしっかりと考えながら、英文をチェックしてください。

②イマーシブリーダーで英語チェック
Teams上で、イマーシブリーダーが使用可能です。
提出前に英語を読んでもらい、変な英語がないかを確認してください。

自分が書いた英文で、自動で流れる音声で、「?」が浮かぶようならば、そこはもう一度、見直しましょう。

③オンライン英会話上で添削
 オンライン英会話の先生に添削を依頼するのもおすすめです。一度、完成したら、先生に依頼して、一緒に英文を考えるレッスンをお願いしてください。一緒に英文を考えることで、頭の整理もできるので、おすすめです。

最後に

ながながとなりましたが、これらが今、本校で行っている英語のレポート作成の手引きです。

もちろん、この内容に加えて、データ処理の方法(エクセルやワードの使い方)や英語の表現(比較の表現など)についても、授業に組み込まれてきます。

中学2年生末から英語のレポートなんて、、、無理。

そういう話をよく聞きますが、中学1年生から定期的にインタビュー調査を行い、探究授業をベースに日本語と英語で小論文のトレーニングを受けてきた生徒たちです。そういったベースがあれば、中学2年生でもここまで仕上げてくることは可能です。

もちろん、英語の表現や構成でまだまだの部分はあります。英語の正確性の部分は、学齢が上がるにつれて徐々にその精度を高めていってもらえたらなと思います。


オンライン英会話×探究でレポート

指導にあたる私たち教員自身も実はレポートを読んでいて、とても楽しいです。生徒たちのレポートから、世界にはこんなことがあるんだ、と学ぶことばかりです。

まだまだ知らない世界がそこにあります。

そんな世界を教員と生徒、一生に探訪していきたいなと思います。


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