椎名ユキ

少しくらいまともな文章を書かないと阿呆になる

椎名ユキ

少しくらいまともな文章を書かないと阿呆になる

記事一覧

サヴァンについて

鼻にツンとくる外気や、タスクに追われる日々に年の瀬を感じる。 クリスマス、大掃除、正月の準備と、12月は下旬に兎角詰め込み過ぎているように思う。一日の時間がもっと…

椎名ユキ
1か月前

ピューロランドへ行った話

久しぶりの更新。 桜は散り始め、桃色と新緑の混ざったカラフルな桜の木を見たときに新年度が始まったような気分になる。満開の桜が全てではない。四季は大まかな分別であ…

椎名ユキ
1か月前
4

汗とワイシャツと自転車

梔子、沈丁花、金木犀、所謂「三大香木」と呼ばれる木の香りが好きだ。 春と秋の存在が薄くなりつつあるこの国でも、香木の香りだけは季節を教えてくれるといいな、と思う…

椎名ユキ
10か月前

近況

久しぶりの投稿。最後の投稿は昨年の1月28日となっていた。どうにか生きています。 仕事が変わり、大きく生活が変わった。 人と接するようになり、今、なんとなく毎日が楽…

椎名ユキ
11か月前
1

入院とトー横とアンダーグラウンド

薬をODして記憶を飛ばした。朝起きたら顔中が痛くて、シーツも服も血塗れになっていた。朝方、外で何かを派手にやらかしていたらしい。目覚めてもまだ血は止まっていなかっ…

椎名ユキ
2年前
1

大森靖子に負けた話

私は大森靖子が嫌いだった。 大森靖子も、大森靖子を好きな女も嫌いだった。 椎名林檎の勝訴ストリップのジャケットでパロディをした時から嫌いだった。 くだらないサブ…

椎名ユキ
2年前
3

旅支度

しばらく見なかった制服姿の高校生が町に現れて、セミの鳴き声もめっきり聞こえなくなった。そんな小さな事象に夏が終わったことをを実感する。 つい春頃まで住んでいたア…

椎名ユキ
2年前
1

若者のすべて

ラジオから流れる若者のすべてに夏の終わりを感じる9月、今年も真夏のピークが去った。いつも夏はあっという間に過ぎていって、茹だるような暑さもすぐに恋しくなる。今年…

椎名ユキ
2年前

肌刺す九月

暑い暑いと言っているうちに夏が過ぎたようで、ニ・三日前から急に肌寒くなってきた。今朝は寝起きに冬服を引っ張り出し、陽射しが照りつける日々を懐かしむような心持ちで…

椎名ユキ
2年前

水泡にキス

死は救済ではない、ただの終着である。 吐き気、目眩、日中の強い眠気、ここ数日あまり体調が優れない。過度のストレスに由来するものだという自覚はあるが、それを認めた…

椎名ユキ
2年前

無一文

なるべく、人に優しく生きてきたと思う。 それは自分にとっての利害に関係なく、辛い気持ちを抱えた人間はすべからくして優しくされるべきであると思うし、善意でその人を…

椎名ユキ
2年前

胃の血

弊社(私の好きな作家に準えて私は自分の勤め先をこう呼んでいる)には立派な枇杷の木がある。 夏が近づくとオレンジ色のぷくりとした綺麗な実がつき、それを虫やカラスが摘…

椎名ユキ
2年前

ならば愛を込めて

桜の季節過ぎたら遠くの街へ──。 個人は唯一無二の生物であるから、他者の苦しみを同等に理解できる人はいない。それでもどうしたって理解し、寄り添いたい苦しみという…

椎名ユキ
3年前

縊死

上手く、又はそうまで言わないまでも人並みに生きていくことのできる人々は何か大きなズルをしているのではないかと思う。それ程私は真っ当に生きるということが苦手だ。 …

椎名ユキ
3年前

秒速5センチメンタル

金魚は水槽のコケが多すぎても少なすぎても生きられないらしい。 花に水を注ぎすぎて枯らしたり、守ろうとして陽射しを閉ざしてしまうのと似ている。 世界中が目に見えな…

椎名ユキ
3年前

氷解

誰もが自分の中にのみ置く異物がある。 それは大きさや質量を持たず、形容することもできない。価値をつけることも、値踏みすることもできないのに、自身も他者もそれを恐…

椎名ユキ
3年前

サヴァンについて

鼻にツンとくる外気や、タスクに追われる日々に年の瀬を感じる。

クリスマス、大掃除、正月の準備と、12月は下旬に兎角詰め込み過ぎているように思う。一日の時間がもっと長ければ、とは思わないが、12月は50日くらいまであってもいいと思う。(一日が長くなってもスマホをいじる時間が増えるだけのような気もするので)

どうですか、12月50日。

あまりテレビドラマは見ない質だが、「SPEC」のドラマは見て

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ピューロランドへ行った話

ピューロランドへ行った話

久しぶりの更新。

桜は散り始め、桃色と新緑の混ざったカラフルな桜の木を見たときに新年度が始まったような気分になる。満開の桜が全てではない。四季は大まかな分別であって、本当はもっと細分化されてもいいのではないか。

一昨日、サンリオピューロランドに行った。
京王線から眺める街並みがのんびりしていたのがすごく印象的だった。

平和な気持ちで辿り着いた京王多摩センター駅はディズニーのそれとは違って、ピ

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汗とワイシャツと自転車

梔子、沈丁花、金木犀、所謂「三大香木」と呼ばれる木の香りが好きだ。

春と秋の存在が薄くなりつつあるこの国でも、香木の香りだけは季節を教えてくれるといいな、と思う。

日本には四季がある。

季節がなくなって、人の死を悼むことまでなくならないようにね。

四季超えて死期過ぎても生きてこうね。

二十歳くらいの頃、HASAMI groupのSUMMERという曲に出会った。

私の好きな友達がこのバン

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近況

久しぶりの投稿。最後の投稿は昨年の1月28日となっていた。どうにか生きています。

仕事が変わり、大きく生活が変わった。
人と接するようになり、今、なんとなく毎日が楽しいと感じるようになっている。

先日ウーバーイーツを始め、ジムにも通い、心身ともに健康的で穏やかな生活を送っている。

生活が変わって不満は沢山あるし、まだまだ軌道に乗ってはいないが、このままの生活を続ければ夏のうちには多少落ち着き

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入院とトー横とアンダーグラウンド

薬をODして記憶を飛ばした。朝起きたら顔中が痛くて、シーツも服も血塗れになっていた。朝方、外で何かを派手にやらかしていたらしい。目覚めてもまだ血は止まっていなかった。痛みと口の腫れでまともに話すこともできず、何が起きたかもわからなかった。すぐに病院へ運ばれた。

noteを更新していないこの数ヶ月の間に色々なことがあり、1月20日──(後日、編集によりここの文章は削除した)──私は今、都立病院に入

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大森靖子に負けた話

私は大森靖子が嫌いだった。

大森靖子も、大森靖子を好きな女も嫌いだった。
椎名林檎の勝訴ストリップのジャケットでパロディをした時から嫌いだった。

くだらないサブカル気取りの、くだらないサブカル女に好かれる女というイメージしかなかった。それだけで反吐が出るし、聴きもせずに食わず嫌いをしていた。

銀杏BOYZの峯田和伸とコラボしたRe:Re:Loveという曲がある。

中学生の頃から聴いていた銀

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旅支度

しばらく見なかった制服姿の高校生が町に現れて、セミの鳴き声もめっきり聞こえなくなった。そんな小さな事象に夏が終わったことをを実感する。

つい春頃まで住んでいたアパートの様子を見に行った。近所の公園に植えられている金木犀の香りが恋しくなったから、もう香りが立っている頃かと思ったついでだ。

いつも車を停めていた場所に車を停めるとナビが一言「お疲れ様でした」と言った。どうやら私は自宅の設定を変えてい

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若者のすべて

ラジオから流れる若者のすべてに夏の終わりを感じる9月、今年も真夏のピークが去った。いつも夏はあっという間に過ぎていって、茹だるような暑さもすぐに恋しくなる。今年の夏に私は何かを置いていけただろうか。一年後思い出した去年の夏に、記憶に残るものがあるといい。

春と秋を感じる間もなく夏と冬がくると、日本にいるのに四季がないなと感じる。日本には四季があるから美しいと思っていたのだが、ここ数年は二季になっ

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肌刺す九月

暑い暑いと言っているうちに夏が過ぎたようで、ニ・三日前から急に肌寒くなってきた。今朝は寝起きに冬服を引っ張り出し、陽射しが照りつける日々を懐かしむような心持ちで袖を通した。北風に襟を立てるような冬が近づいている。そういえば去年も秋を感じる間も無く季節が冬に移り変わっていたような気がする。

明日も早起きなのにまだ仕事が終わらない。それどころかこうしてnoteを書いているのだから、自分の神経はよくわ

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水泡にキス

死は救済ではない、ただの終着である。

吐き気、目眩、日中の強い眠気、ここ数日あまり体調が優れない。過度のストレスに由来するものだという自覚はあるが、それを認めたくない自分がいる。
今日も昼食を吐き、段差に躓き、上司と話している途中で突然電源が落ちたように居眠りしてしまった。ろくでもない。

私は自分の精神状態が露骨に体調は表れる体質なので、側から見ても顔や声で察せられることが多い。けれど、これを

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無一文

なるべく、人に優しく生きてきたと思う。

それは自分にとっての利害に関係なく、辛い気持ちを抱えた人間はすべからくして優しくされるべきであると思うし、善意でその人を救えるなら助けるのが当たり前だと思っていたからだ。

けれど、誰かに優しくしたところでそれが自分に返ってくるとは限らない。利害に関係なく、と前述しているのにこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、自分に助ける価値がなかったり、優しくし

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胃の血

弊社(私の好きな作家に準えて私は自分の勤め先をこう呼んでいる)には立派な枇杷の木がある。

夏が近づくとオレンジ色のぷくりとした綺麗な実がつき、それを虫やカラスが摘んでいく。時々、私も食べている。

話では二十年ほど前に植えたものと記憶しているが、それが今も生きているのだから、自然の力強さを感じずにはいられない。

ぼとぼとと落ちて潰れた枇杷の身は甘酸っぱくて土臭い独特の香りがするが、悲しくはない

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ならば愛を込めて

桜の季節過ぎたら遠くの街へ──。

個人は唯一無二の生物であるから、他者の苦しみを同等に理解できる人はいない。それでもどうしたって理解し、寄り添いたい苦しみというものが時々ある。

愛おしい対象に限るが。

それを相手が感じ取ったときに私を「優しい人」だと思うのならば、そういった意味では贔屓にしている方々にとって私は優しい人であると言い切っていいのかもしれない。

動物や虫、自然に対して平等の優し

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縊死

上手く、又はそうまで言わないまでも人並みに生きていくことのできる人々は何か大きなズルをしているのではないかと思う。それ程私は真っ当に生きるということが苦手だ。

大人としてあるべき姿、社会人としてあるべき姿、家族してあるべき姿、身近にいた大人たちに関しても欠落した部分をたくさん見てきたし、更に言うならば私はそれよりももっと底辺で、仄暗くもぞもぞと蠢いてるだけのような気がする。

自己肯定の低さとい

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秒速5センチメンタル

金魚は水槽のコケが多すぎても少なすぎても生きられないらしい。

花に水を注ぎすぎて枯らしたり、守ろうとして陽射しを閉ざしてしまうのと似ている。

世界中が目に見えない敵と戦って慌ただしくしている中、我関せずと今年も桜が咲いていた。公園で花見をする親子や桜の木にスマートフォンを向ける老若男女、いつもと何も変わらない光景が目に触れて、世間は大きく動いているけど人は流されすぎないといいなと思った。

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氷解

誰もが自分の中にのみ置く異物がある。

それは大きさや質量を持たず、形容することもできない。価値をつけることも、値踏みすることもできないのに、自身も他者もそれを恐れている。人が多感な生き物であり続ける限りどうしたってそいつと別れることはできないし、いつだって氷の中に仁王立ちする鬼を抱えて生きていくから人は脆い。

他者の手に触れた時に氷が溶けて仕舞わないよう、線を引くことでしか冷たさを守ることはで

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