見出し画像

『子ども達に楽しく学ぶ場を提供したい』 あおば学校支援ネットワーク 竹本 靖代 さん

地域の子ども達の成長を見守る竹本靖代さん。子ども達が楽しく学べる様々な場を創りながら社会教育に携わる彼女は、どのような想いで今の仕事をしているのか。またその仕事をするようになったキッカケには、どのような経験があったのか。ゆっくりとお話をお伺いしました。

プロフィール
出身地:千葉県
活動地域:神奈川県
経歴:住友銀行(現三井住友銀行)総務部に勤務。退職後、専門学校や塾で講師として働くが出産で再び退職し、しばらく専業主婦の生活を送る。子どもが幼稚園や小学校に入った頃から、再び学校教育や社会教育関連の活動や仕事に携わり、現在、研修や講義で教える対象は子どもから大人まですべての世代に渡る。先取りで自分がもらった教育や学びの機会を相手を変えて次の世代に返していると考えているので、ボランティアベースの活動も多い。
座右の銘:感謝

記者 よろしくお願いします。

竹本  靖代  さん(以下  竹本  敬称略) よろしくお願いします。

『子ども達の体験の場、学校教育支援のコーディネート』

Q .    まず最初に竹本さんのビジョンを教えてもらってよろしいでしょうか?

竹本 地域で子ども達の体験の場をつくったり、あるいは学校教育支援のコーディネートをしています。学校教育だと、どの子にも同じようにその場があるんですけど、それが特に地域でなにか活動するという風になると、すべての子に同じようにその場を提供できないんです。だからそういう地域の場をもっと広げていけるように働きかけつつ、自分たちもそういう地域の場を提供してくということをしています。

記者 その学校の教育現場や、地域でされている活動は具体的にはどんなことをされているんですか?

竹本 学校の方では、担任の先生が1人で一斉授業やりますよね。そうすると、そのスピードについていけない子が出てくるんです。そういう子がついていけないで、わからないままでいると、学校というのが面白くなくなってしまうんですね。そういう子に対して分かるように繰り返してあげたりします。あと最近だと先生が全員に向かってしゃべっているときに、それが自分事として捉えられない子もいるんです。そこで「『今あなたはこれをするんだよ』と言ってるよ」といってあげれば同じようにできるとか、そういう風にちょっとアドバイスをあげるようなことをしています。それ以外にも応援しますね。学校というのは子どもたちは自分でやっていかないといけない。だからボランティアが入ったときにその子のためのお手伝いをしてあげるのではなくて、その子が学校生活を自分でできるように「きっとできる!やってみよう!」と応援をするんです。そうして「よし頑張ろう」って思うようにしてあげます。

記者 そういう風に応援されると子どもも頑張ろうってなりますよね。

竹本 地域の活動の方では、学校ではできないことをできる場を創っています。例えば学校でできない理科の実験とか、キャンプをやったりします。それらを通して実際に自分で体験して、見たり知ったりすれば、すごくよくわかっていくんです。そうしたらそれが自分の記憶によく残りますよね。また地域の活動というのは、違う学年の子たちと一緒に過ごします。そうすると、中学生のお兄さんが側にいて、「中学生になったら僕はこんなふうになるんだ」みたいなそういう自分のちょっと先の姿をそこに見つけて、目標としてやっていけるような世代間交流もできるんです。そういった機会を含めた体験活動を地域でやってます。昔はよく放課後学校から帰ってきたあと、公園とかで学校では接点のない全然違う子たちがいっぱい遊んでいたけれど、今なかなかそういう遊び方ができる機会がなくなっているんです。特にこの青葉区あたりだと習い事で忙しい子どもも多いんですよ。だから友達と遊ぶときもちゃんと約束をしないと遊べないし、全然年齢の違う子ども達に引き連れられて冒険とかできる機会はなかなかないんです。

記者 なるほど。そういう機会は確かにほとんどないといってもいいかもしれないですね。そういった地域の場があったらとてもいいと思います。

『子どもの育成に関する仕事をする人をつなげちゃう、次の担い手を育てる』

Q . そういうビジョンを持たれて今、計画されてることはどんなことがありますか?

竹本 青少年の育成に関わる活動をしてる人たちみんなで、ワクワクするプログラムを作るワークショップをして、ワイワイ楽しく喋りながらプランづくりをしていますね。その中で3月に実施する方向で、区役所に泊まろうということを企画しています。3月なので寒いけど、3.11東日本大震災の直前の時期ということもあって、防災キャンプという観点が入ってれば、寒くてもできるかなって感じで考えています。今、段ボール箱400個くらいあるので「そのダンボール箱で何作る?どうやって寝る?」とか楽しくやってます。

大事なことを伝えたいという思いがあっても、大人が難しい顔してたら子ども達が関心を示さないんですよ。だから、それをやっていこうとする大人が楽しんで教えるということをしていこうと思っています。

記者 それは本当に楽しそうですね。ワクワクします。

竹本 長期で考えたときには、たくさんそういう場を創ってそこで参加した子どもたちが成長して、次の担い手になるということをやっていきたいと思っています。子ども達は、小学生の頃に参加していないとなかなか担い手にはなってくれないんですよね。中高生くらいだと、もちろん部活や塾ですごく忙しいのでそれ以上時間がないことはよくわかるんですけど、何人かは部活の合間をぬってでも必死に来る子たちがいるんですよ。そういう子たちは小学生のころに参加してるんですよね。そういう子たちが、大きくなってきて手伝ったり中心になってやるという流れができています。そういう風にして今たくさんの場があれば、そこで育った子どもたちが大きくなったときに、またたくさんの場を作ってくれます。そのようにいつまでも自分がやるのではなくて、次にそれをやる人たちがどんどん出てこないといけないと思います。

記者 そんな風にできたらとても理想的ですね。いろんな意味で豊かな大人になりそうです。

『地域の子ども達は場を通して成長する、だから地域における場は大切』

Q.    そのような活動をされるようになったのは、日常からどんな問題意識があったからですか?

竹本 この活動は私がPTA会長になったことが理由の1つだと思います。それまではよその子はよその子だったんですが、PTA会長になったときにそのよその子が目に入るようになったんです。

子ども達がだんだん大きくなってくると、家で挨拶をしなくなってくることがありますよね。親としてはちゃんと育ってないと思ってしまうんですけど、それを知り合いのお母さんに言うと「あら◯◯くんすごく丁寧に挨拶してくれたわよ、とてもいい子よ」って教えてくれるんですよ。そんな風に外で接してくれる大人が、ナナメの関係でその年齢の子どもたちを育てているし、自分も、よその子に挨拶をするといったように、PTA会長になってからは互いに互いの子を育てている面もあるということがわかったんです。

そんな子ども達を見ている中で、周りの子とうまくできなくて手足が出ちゃうような子が、最近下の子たちにうまく声かけてるぞみたいな、そういういろんな成長が見られるときがあります。それらの出来事を通して、地域の子ども達がそういう場で成長するんだということを目の当たりにしました。だから学校教育も大事、家庭の教育も大事。でも、どっちでもできないことが地域ではできるから、そこでの社会教育としての場を創っていこうと思いました。

記者 話を聞いてて地域のイベントを創るとか、学校の中で算数とか教えたりするっていうお仕事って思ってたんですけど、違うんですね。本当にそれも含めて全部で子ども達を育んでいくっていう仕事なんですね!素敵だと思います。

『親が日常から楽しいことを提供してくれた』

Q.    今の活動をされるようになったキッカケはなんだったんでしょうか?

竹本 小学生の頃、子供会のキャンプに参加したことがありました。社宅のグラウンドに、テントを何張りも張るんです。それで夕方からみんな集まってきて、おにぎりと缶詰を食べたり異学年交流もしつつ、非日常な時間を過ごしました。すぐそこが自分の家なんですけど、外で寝るのがワクワクして、星も普段から見えるのに、そのときにみる星だけはキラキラして、とってもすごいと思った経験がありましたね。そしてそれだけじゃなくて、うちはそういうイベントじゃなくても親が社宅の前庭にテント張ってくれて、私はそこで寝たりしてました。自宅の庭じゃないけどそんなことやってたんですよね。そんな風にして親は楽しいことを提供してくれて、子どもの自分はワクワクして遊ぶ機会に恵まれて育ったんです。

記者 それは良いイメージが蓄積されますね!それ以外にも今の活動に繋がるキッカケはありますか?

竹本 そうですね、子供会でキャンプの他にもいろんなことやってた記憶がありますね。運動会とかいろんなイベントとか。それ以外にも、親が児童館の設立に関わっていたり、文庫活動していたりとか、とにかく子どもの行き場所とか子どもの参加できる場所創りをしてくれていました。当然自分もそこに行っては、いつもそこで楽しい活動に参加していましたね。いろんな活動とかいろんな場に行って、お兄さんお姉さんに教わったことや遊んでもらったこともあるし、年下の子の面倒を見てあげたこともありました。家や学校や幼稚園でできない、自分の知らないことができる場があったので、今振り返ってみると、そこでの学びが今の自分を作ってる要素の1つになってるなって思います。

記者 なるほど、何もない日常からそのような経験をされていたら自然とそんな場を創ろうってなりますね!竹本さんのお話を聞いていると、竹本さん自身が幼い子どもの頃から、子ども達が楽しく学んですくすくと育つ場を創る大人になるように、約束されていたのではないかと思うほどでした。

今日は楽しいお話をありがとうございました。

******************************
竹本さんに関する情報はこちら
↓↓
●Facebook
https://www.facebook.com/profile.php?id=100011145456373

■編集後記
インタビューをさせていただきました岸本 & 山田です。竹本さんのお話をお伺いして感じたことは、地域の子ども達に対して、安全に楽しく学びながら成長してほしいという想いでした。彼女自身が幼い頃からそういった環境で育ったこともあって、難なく自然に、しかも楽しみながらそういったことをこなされているということが、すごいことだと思いました。そしてまた、その内容を気さくに、かつ楽しそうにお話しする竹本さんが印象的で、こちらも楽しくお話をお聞きすることができました。子ども達がいる限りいろんな形で携わることができると思うので、これからもご活躍をお祈りしたいと思います。

********************
この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?