「難しくないドネーション(寄付)・トランスフォーメーションと学校と銀行」

皆さんは、寄付をされたことはありますか?
寄付をしたことはないけれど、中には寄付に関心はあるという方も
いらっしゃるはず。そんな方には、この記事を読まれた後に、ご自身の無理のない範囲で、ご自身の意思で寄付を実践されることを検討してみてはいかがだろうか。さて、寄付の種類が多様化し進化しつつあるのを、皆さんはご存知だろうか。 この記事を通じて、多様化かつ進化する寄付はもちろんのこと、学校と銀行に必要だと考えるドネーション(寄付)・トランスフォーメーションに関して、皆さんに共有したい。

下記にある今井さんの記事を、執筆後に読んでみると
頷きが止まらない内容だった。
皆さんにも、一読を薦めたい。




多様化と進化を遂げる寄附の有様


さて、寄付の種類が多様化し進化しつつあるのを、皆さんはご存知だろうか?

はじめに、寄付の仕方に関して触れると、大まかに「現金寄付」と「現物寄付」がある。現金寄付は現金を寄付したい先に寄付する、
現物寄付は衣類や食料品、雑貨を寄付する、といったものだ。
寄付したことのある人の中には、両方したことがあるよ、
という人がいらっしゃれば、どちらかだけしたことがあるよ、
という人もいらっしゃるはず。

また現金と現物寄付が混ざった寄付形態も登場しつつある。ここで紹介するのはポイントを用いた寄付だ。というのは、店舗で買い物する際、ポイントを獲得できる手段を用いることで獲得できるポイントは、貯めることで現金のように支払いに用いることができる一方で、ポイントはどこでも使えない、というように現金と同等の扱いができないからだ。ポイント寄付の例として、QRコード決済の一つであるau PAYのユーザーは、3月いっぱいまでPontaポイントで日本赤十字社を通じてウクライナへ寄付ができたほか、Milesという歩くことでマイルが貯まるサービスでも寄付目標が達成されるまでの間、日本赤十字社を通じてウクライナへ寄付ができた。

本寄付に関して、初回掲載が即日で目標達成をし、日本赤十字社へのお振り込みが完了しております。昨晩より、新たに3,000万マイルを目標に、再開を致しました。 詳細は、アプリ内でご確認お願いします。

Posted by Miles(マイルズ) on Wednesday, March 30, 2022



次に、寄付を行うタイミングに触れると、寄付をされている方の中には、
毎月ないし毎年されている方がいらっしゃるのかもしれない。
特定の寄付を継続していて行っている、毎年異なる寄付をしている、というように人によって多様であるはずだ。あるいは、地震や噴火といった災害、
ロシアによるウクライナへの侵攻という軍事衝突、コロナウイルスという
感染症の流行といったことがきっかけで、これら出来事の復興、これら出来事によって生活が一転した、苦しまざるを得ない状況下にいる人を支援するために募金をしたよ、しているよという人もいらっしゃるはずだ。
何より、上記で触れたように、「ご自身の無理のない範囲で、ご自身の意思で寄付を実践される」ことが望ましく、どのようなタイミングでいい。
何より、一番は寄付をする人が抱く「寄付をしたことで、寄付の先にある人が幸せになってほしい」という想いだ。

これらのことに加えて、寄付の種類だけでなく対象も多様化している。例えば、Makuakeというサービスは、新しいサービスや体験を生み出そうとする人を寄付を通じて後押しできる体験を提供している。このほかに、一般的になっている、クラウド・ファウンディングやふるさと納税を通じて、個人や団体が達成したいことを寄付を通じて応援できたり、自分自身が住んでいない自治体を寄付を通じて応援できる手段も挙げられる。

種類や対象が多様化するのは社会情勢の変化といえるのかもしれないが、どこで寄付をするのかという点にも触れると、インターネットの登場によって、寄付したい人がどこからでも、基本寄付の募集時間であれば24時間寄付ができるようになった。そのため、現代を生きる私たちはインターネットがあることで、自宅から、外出先から、旅行先から寄付ができるのだ。


学校現場から変化が求められる、以前から存在する寄附の形態

ここまで見てきた通り、寄付は多様化しつつある。多様化する反面、対面や所別募金の形態に変化を及ぼしている。
多くの人がご存知である、赤い羽根募金が公開している統計データをみてみると、戸別・街頭・法人・職域・学校といったほぼすべての募金方法において、年々寄付の総額に減少傾向がみられた。

注意:コロナウイルスの流行により、イベントでの募金方法で、令和1年度と2年度を比較した際減少傾向がみられたが、令和1年度まで上昇傾向がみられたため挙げていない。また、その他およびNHK歳末たすけあいといった募金方法は、令和1年度まで減少傾向がみられたが、令和1年度と令和2年度を比較すると増加しているため触れていない。

出典:赤い羽根根共同募金(n.d.)「平成7年度~令和2年度募金実績額の推移(募金方法別・総額)」『赤い羽根共同募金ホームページ』    
    〈https://www.akaihane.or.jp/wp/wp-content/uploads/3rekinen-bokin-
jisseki-S22R2.pdf〉2022年4月10日アクセス.

赤い羽根共同募金で生じている、募金手段によって募金額が減少する要因と推測できるものに、募金の多様化のほか、2011年の税制改正が挙げられる。皆さん、ご存知のように、税制改正によって、寄附する際、寄付やご自身の所得に応じて、所得控除と税額控除がされるようになった。

このことで、募金をされる方の中には、その募金が所得控除と税額控除の対象なのかで、その募金に参加する、しないという方がいらっしゃるのかもしれない。というので、ここ数年で変化したのは、募金の意義、募金のレポートの具体的さ、募金後の使用使途の透明さだけでなく、控除ができるか、という人々の募金に対する意思決定の決定基準が設けられたことだ。

一方、赤い羽根共同募金の街頭や学校募金では、所得控除と税額控除ができず、控除を求める人には対応していない。ただし、控除と関係がないと同時に、銀行口座やクレジットカード、もしくはQRコード決済のアカウント等を持っておらず、お年玉やお小遣いとして他者から得た現金をもとに、子どもたちが自ら募金をしたいという場合には、必要不可欠な手段であるのは間違いない。他にも、寄付を受け付ける人と寄附する人が見える形態というのもいい。寄付する人は「募金活動がんばっているね」と声をかけられるし、それを受けて寄付を受け付ける人は「ありがとうございます、頑張ります」と話ができる。ところが、子どもたちの中には、家庭で学校でやっている募金の協力を保護者に仰いでも、保護者からお父さん、お母さんがやっている寄付の方が意味ある、と言われたことがある、子どもたちもいるのかもしれない。また保護者の中には、子どもに寄付控除という制度の存在を教えている方もいらっしゃるのかもしれない。しかし、保護者の寄付控除に対する認知度には差があるはずで、認知していない保護者はそうした制度の存在を子どもに教えてないはずだ。

だとすると、控除を知らないまま募金に協力している、あるいは街頭・学校募金の協力を求めている子どもたちがいるのかもしれないのだ。そうなると、学校で寄付控除に関して子どもたちに教えた方がいいのでは、と考える。たしか、中学3年生の公民の時間に行政の歳入、歳出に関して扱うはずだ。その際、歳入に影響を及ぼした要因として、ふるさと納税や寄付控除に関して扱う機会があるといい。すでに、一例は出ていて、ふるさと納税でウキウキしている自治体がある反面、寄付控除の対象額が肥大して、ゆくゆくは行政の運営に影響を及ばしかねない局面に来ている自治体もある。後者として挙げられる一つに、東京都の中野区がある。読者の中には、ふるさと納税による減少分を地方交付税交付金で賄えるのでは、と思う方もいるかもしれないが、東京23区はその対象外であり、それに中野区は該当する。授業では事例を紹介するにとどまらず、この中野区が抱える問題の解決方法として、生徒たちに議論させ提案策まで検討してみるのもありだ。解決方法として、中野区の歳出の検証をしてみるのもいい。検証の結果、歳出に工夫を凝らせば、中野区が抱える、ふるさと納税による影響は少なくなるかもしれないからだ。

注意:下記に掲載している中野区の記事サイト中に示されているグラフには「寄付金税額控除額」と明記されているが、全体的にふるさと納税に関して言及していることから、グラフに示されている数字がふるさと納税に限った話であるのか、それともふるさと納税を含めた寄付全体であるのかは不明に思える。

また学校で、個人の収入、支出に関して扱う授業があれば、確定申告に関して扱うようにし、その際、架空の家庭が控除内に寄付を行うには、最適な寄付控除額はいくらなのか生徒にその場で計算させてみてもいい。


銀行で寄付の話が飛び交う未来

近年、銀行が再編したり、地域によっては銀行の支店の合併が進んだり、銀行のATMが以前より少なくなっている。また金利の低下により、銀行の中には顧客に金融商品を販売することで収益を確保を試みる動きもみられる。
上記で触れた寄付形態の中には、インターネットがあるという前提があり、
インターネットを使いこなせない高齢者からするとハードルが高い。高齢者の中には、インターネットを使いこなせる家族に依頼するという方法もあるが、家族と離れて暮らしている、家族が多忙という高齢者からすると難しいものだ。ここで、総務省が公開している高齢者のインターネット利用率に触れると、令和2年では、国民全体が83.4%に対して、65歳以上の利用率は平均して53.9%である。80歳以上に限ると、25.6%になる。また理由は不明であるが、なぜか女性の利用率が男性の利用率よりも、全世代で低くなっている。
一方、日本ファンドレイジング協会が公開しているデータに掲載されている寄付者の属性を見てみると、女性の方が男性よりも寄付を行う傾向がみられた反面、男性の方が女性よりも寄付額の平均が大きい傾向がみられた。

https://jfra.jp/research#:~:text=%E7%94%B7%E5%A5%B3%E5%88%A5%E3%81%A7%E3%81%BF%E3%82%8B%E3%81%A8,%E3%81%AE%E6%96%B9%E3%81%8C%E9%AB%98%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82

ここから高齢者の貯蓄に話を移すと、
常陽銀行によると、高齢者世帯の貯蓄総額の平均は1224.7万円ある一方、
児童のいる世帯(子育て世帯)の貯蓄総額の平均が680万円となっている(2016年に公表された厚生労働省のデータに基づく)。
その反面、シニアガイドでは、総務省の公表したデータに基づき、
高齢者の中には貯蓄が300万未満である世帯が15.4%であることを公表している。


このように、高齢者の貯蓄は、子育て世代よりも多いと言われる反面、世帯によって貯蓄額にバラツキがみられる。

加えて、シニアガイドでは、総務省が公表したデータに基づき、高齢者の貯蓄手段として定期預金が多いことを明らかにしている。

これらのことから、定期預金を扱う銀行で高齢者をターゲットとして、
銀行はクラウドファンディング会社や自治体と提携を組んだ上で、
クラウドファンディング会社や自治体に代わり、インターネットがないとできない、使用できないとできない寄付を銀行の窓口で紹介し、寄付したい意思があればその場で寄付ができるというのを銀行が検討してみてはどうだろうか。

ここで、銀行の窓口というのが肝である。ATMでも寄付はできなくないが、近年相次いでいる詐欺事件の現場の一つがATMであるからだ。

これをするのはいいが、銀行はどうやって収益を確保していけばよいのだろうか。 例えば、寄付額に対して一定の割合の手数料が発生するというのはどうだろう。
無料では利用できず、手数料が発生することで、銀行は従来の業務と並行して持続的に行えるのである。
またこの検討策は、デジタル格差(デバイド)の是正にも結びつくものとなっている。

銀行間で金利や利率の競争がみられ、またインターネットバンキング化が進み、若年層が銀行に足を運ぶ機会が少なくなる中、今後の銀行の在り方を模索する中で、ここで挙げた検討策はインターネットを不得意とする高齢者層に新たなニーズを訴求させ、顧客としてより銀行を使っていただく機会を増やすための施策として一理あると考える。


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