【architect】猫のための家づくり
『建築知識』という建築業界の専門誌がある
エクスナレッジという出版社から発刊されている月刊誌で1959年から続く歴史あるものである
とは言え、内容はほとんど建築の専門家しかわからないようなカタクルシイものである
ほとんど一般の方には理解できないだろうし読んでもワカラナイ
無論普通の本屋さんでは置いていない
大型書店で建築コーナーがあるところには必ず置いてある
エクスナレッジからは一般の方でも読みやすいように編集されたものもあれば、プロ向けに敢えて細かい内容を突き詰めたものもある
『建築知識』は特に後者に分類されるもので、普段は細かな図面の書き方や施工のコツ、構造やデザイン、断熱や建築基準法などマニアックな内容が多い
建築設計を生業としている者としては本当にいつも助けられていてなくてはならない本である
前振りが長くなったが、2017年1月号の建築知識は衝撃的だった
あのカタクルシイ建築知識が『猫のための家づくり』という特集を組んだのである
表紙には可愛らしい猫ちゃん!
これには驚いた建築関係者も多いのではないだろうか!
しかもこの月の建築知識はバカ売れしたらしい
その結果この月の建築知識は、特別号としてスピンアウトしオリジナルの本として再販されることになった
その後も出版社も気を良くしたのか、猫シリーズや犬シリーズを度々特集するようになった
これには『猫と暮らす家』など動物と暮らす家が非常に注目されていることの表れだろう
私も、猫、犬、ウサギなど動物と暮らす家をいくつか設計している
特にこの建築知識が発売された頃に、猫好きのご家族の家を設計していたこともあり、この刊は読み漁った
近年では猫は室内で飼うのが当たり前になった
以前は猫は帰巣本能があるので放し飼いが多かった
サザエさんの家のタマは良い例で、昼間はどこかに行ってしまってもご飯の時間になると必ず帰ってくる
しかし、現在は外に放し飼いをすると車に轢かれたり帰ってこないこともある
また他の人に迷惑を掛ける心配もある
そんなこんなで室内飼いが一般的になったのである
また猫にとって心地よい家は人間にとっても心地よい家と言えるようだ
これは人間がキャットウォークを自在に移動できるようになるという意味ではもちろんない
猫は日向ぼっこが好きである
断熱性能の優れた住宅は、一日中家にいる猫にとっては大事なことであるし、人間にとっても住みやすくまたエコである
人間が猫化しているのか、猫が人間化しているのかわからないが、猫を飼う家は増えているようだ
その増加率は犬より高いそうだ
動物を飼う家庭が増えている中で、動物に対しても人に対しても優しい建築をつくることは現代の建築家には求められるようだ
実際に動物との住まいを設計してみると、住まい手さんの動物への愛の深さをしみじみ感じることがある
家族として動物を愛でる住宅の設計は見過ごせない知識なのだ
これこそまさに建築知識として学ぶべきものとエクスナレッジさんは言いたいのだろう
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