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箱さんぽ

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写真。季節と風景の記録。
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記事一覧

波を鳴らして【小説】

波を鳴らして【小説】

 第一部 山の風

 夏休みに、妙子さんの家に行くのは、楽しみでもあり、憂鬱でもあった。

 大好きな妙子さんの家は、山の上で、小学生の私は、乗り物に弱かったから。

 新幹線を降りた後で、カーブの多い山道を走るバスで過ごす二時間は、永遠の様に長かった。

「すみれ、見て。ほら、もうすぐ滝が見えるよ」

 母が、私の気を紛らわそうと、窓の外を指す。私は黙ってうなずく。

 本当は、うなずくのも辛く

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30日チャレンジ達成!【30日間毎日note:その30】

30日チャレンジ達成!【30日間毎日note:その30】

3行日記

やったああああ!
毎日note、30日チャレンジ達成!
おめでとう私!

30日前の私へ

 こんばんは、30日前の私。30日後の私です。

 あなた、今、ものすごく気軽に「やってみようかな」って、思ったでしょ。で、後先考えずに、簡単に始めちゃったでしょ。

 あのね、このチャレンジ、あなたが思っているより、大変だよ。三日後には「何でこんな事、始めちゃったんだろ」って、思うよ……。

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葛に誘われる【30日間毎日note:その28】

葛に誘われる【30日間毎日note:その28】

三行日記

散歩に行けないまま、夕方。
見逃した空も、緑も、
いつもより綺麗な気がする。

余談(余談の方が長い)

 どうして休日って、こんなにあっという間に過ぎてしまうのか。

 ボイトレのレッスンを受けて、YouTubeに動画を出したら、もう夕方です。

 僅かな隙間時間に、散歩に出るのと、noteを更新するのと、どちらを選択するか迷って、noteを書き始めました。

 ……本当に、それで良

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今日しか見られない空の色【30日間毎日note:その26】

今日しか見られない空の色【30日間毎日note:その26】

3行日記

春の名残と夏の予感。
春でも夏でもない六月の
今日しか見られない空の色。

余談(余談の方が長い)

 大好きな五月が終わりました。

 時を同じくして、ネットのお気に入りの場所が、閉鎖されました。

 そこは、音楽SNSの「コミュニティ」と呼ばれる掲示板のひとつで、音楽や物語の共同制作の場所でした。

 ちょっとした妄想を書き込んでおくと、誰かが歌にしてくれたり、自分では思い付けない

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五月を惜しむ【30日間毎日note:その23】

五月を惜しむ【30日間毎日note:その23】

3行日記

どくだみが咲く。
遠くの町は梅雨入り。
五月が去ろうとしている。

余談(余談の方が長い)

 湿気寒いと書いて、しけざむい、と、読みます。

 この辺では、梅雨時期によく使う言葉なのですが、西や南の人には通じないようですね。

 雨や霧で、涼しいというよりは、肌寒い、という感じを指します。

 近頃、そんな日が増えてきました。まだ、五月だというのに。

 梅雨が近づくのは憂鬱です。湿

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場所を変える事の効能【30日間毎日note:その18】

場所を変える事の効能【30日間毎日note:その18】

3行日記

nanaのキャプションを作成。
書き方が、若干変わった。
毎日noteの効能に驚く。

余談(余談の方が長い)

 五年前、noteを始めた頃の文章は、やたらと長文でした。短くても3000字強、長いと8000字超え。

 推奨の文字数が、1000字〜3000字というのは、知っていました。それ以上の長文を読む人は、とても少ないというのも。

 でも、その長さに収めるのが、当時の私には、難

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新しい鞄【30日間毎日note:その17】

新しい鞄【30日間毎日note:その17】

3行日記

理想の鞄と出会う。
半額のワゴンから連れ帰る。
今日からよろしくね。

余談(余談の方が長い)

 今まで使っていたのは、4年くらい前に購入した、大振りのスマホポーチでした。

 軽量で、お財布と一体型で、ポケットや仕切りが多く、ある程度は物が入り、開閉がしやすく、見た目が可愛く、お値段も可愛い鞄。

 壊れてきたので、買い直そうと思ったら、同じタイプの鞄、今は何処にも無いんですね。4

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キングオージャーに唸る【30日間毎日note:その16】

キングオージャーに唸る【30日間毎日note:その16】

3行日記

キングオージャーを観て、唸る。
初回から唸り続けている。
12回を迎えてもなお、唸る。凄い。

余談(余談の方が長い)

 日曜朝の特撮番組は、はまれる年と、はまれない年があります。

 今年の三月から放映の、「王様戦隊キングオージャー」には、久しぶりに、大はまりしました。

 物語の展開とテンポの小気味良さ、伏線回収の鮮やかさ、映像の美しさ、そして、キャラクターの誰も彼もが魅力的で、

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歌はいい事ずくめ【30日間毎日note:その15】

歌はいい事ずくめ【30日間毎日note:その15】

三行日記

ボイトレのオンラインレッスン。
何故か今日は調子が良い。
散歩のお陰だろうか。 

余談(余談の方が長い)

 月に2回、ボイトレのオンラインレッスンを受けています。

 社会人のお稽古事としても、創作活動の一環としても、私にとって、とても大切な時間です。

 歌には、色んな効能があるな、と思います。

 歌のレッスンを受けると、体幹を意識するようになります。運動の苦手な私は、自発的に

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何もかも全部冬のせいにした【30日間毎日note:その12】

何もかも全部冬のせいにした【30日間毎日note:その12】

何もかも全部
冬のせいにした。

「春になれば、きっと」

そう唱えながら。

「春になれば、きっと」

祈りに応えて
史上最速で訪れた春が、

ほんの少し
目を離した隙に

鮮やかに
通り過ぎて行く。

(写真撮影:清水はこべ)



✴︎一枚目の写真を使って作った、オリジナル曲のMVです。

✴︎歌詞はnoteに掲載しています。

毎日が五月だったら【30日間毎日note:その10】

毎日が五月だったら【30日間毎日note:その10】

腰が痛い。気圧が変わるらしい。

溜息が出る。腰痛とは長年の付き合いだけど、しばらく気候が良かったので、存在を忘れていた。

梅雨に向けて、これから痛む日が増えるだろう。

毎日が五月だったらいいのに。

だけど、毎日が五月だったら、多分つまらない。

新緑の美しさは、儚さと表裏一体だ。

木々の枝先が、遠慮がちに淡く染まり始めてから、世界が獰猛な緑に溢れるまでの、短い時間の目まぐるしさ。

毎日

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楓の花、桜の実【30日間毎日note:その8】

楓の花、桜の実【30日間毎日note:その8】

新緑に
気を取られていたら、

楓が
そっと
花を咲かせていた。

染井吉野は
静かに
実をつけていた。

春の終わりは
いつも
密やかで
鮮やか。

銀杏が美しいのは、秋だけではない【30日間毎日note:その4】

銀杏が美しいのは、秋だけではない【30日間毎日note:その4】

銀杏を見て、はっとした。

そうだったそうだった、と、思う。銀杏が美しいのは、秋だけじゃないんだよな、と。

昨年の今頃も、そう思った。一昨年も。

この季節に銀杏を見ると、毎年はっとする。銀杏の新緑が美しい事など、よく知っているはずなのに、毎年。

こうして書いておけば、来年は、銀杏の新緑を心待ちにするだろうか。

それとも、来年も、思いがけないプレゼントを貰った気分になるだろうか。