清水はこべ

大切な人や、場所や、本や、音楽や、景色。記憶の中の物語、記憶の様な物語、日々の想い。

鼻歌を歌おう

友人の結婚式での一幕だ。  オカリナ吹きの新婦は、手紙を読んだり、スピーチをする代わりに、ピアニカを奏でた。聴いていて、とても幸せな気持ちになった。  音楽の素...

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お風呂を沸かそう

落とした心が どこかで痛む ここには無いのに どこかで痛む 痛みが遠い 今の内に お風呂を沸かそう 億劫だけど 残り湯を抜く 面倒だけど 風呂釜を洗う 痛みで 動けな...

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古いアパートの一室で

辿り着いた時には途方に暮れた。イベントスペースがある筈のその場所には、築四十年以上は経っていそうな、古いアパートがあるだけだったから。  私の他にも、途方に暮れ...

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ふたつの町

五月は、通勤が楽しい。  新緑の中だと、バスを待つのが苦ではない。バスに乗り込んでからも、スマートフォンよりも車窓に夢中になってしまう。  この町は街路樹が豊か...

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四月の散歩道

おばちゃんに早くなれよと笑ったね二十六年前の春の日 おじちゃんの君もこたつも好きだけど満開だもの外に出ようよ あと幾度ふたりで花を見るだろう後ろ姿にカメラを向け...

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歌と祈り――そうじゅもりおさんと、ティル・ナ・ノーグの事

歌姫は、杖を突きながら、ゆっくりとステージに立った。  長いスカートのワンピースで、華奢な体をふわりと包んで。肩にはレースのショール。ちいさなティアラに見えたの...

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