清水はこべ

歌って演じる書き手。物語と歌とお芝居が好き。言葉と声、音と映像で、物語を紡ぎたい。 …

清水はこべ

歌って演じる書き手。物語と歌とお芝居が好き。言葉と声、音と映像で、物語を紡ぎたい。 小説・詩歌・作詞作曲・歌・台本・声劇・朗読・絵・動画・エアハモ・多重コーラス・DTM・ラジオ、他、雑多に。 ★nana、note、YouTube、radikotalkやってます。

マガジン

  • 記憶の中の物語、記憶のような物語

    随想、或いは、私小説と呼ぶのが一番近いかもしれません。 でも出来れば、物語と呼びたい。

  • 箱の中の絵

    自作のイラストや画像、動画など

  • 箱の中の歌

    詩と短歌。 曲をつけて、nanaに投稿もしています。 https://nana-music.com/users/8162920

  • 箱の中の物語

    小説と、朗読台本。声劇(90秒の小さな朗読劇)として、nanaに投稿もしています。

  • 箱さんぽ

    写真。季節と風景の記録。

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  • おひめさまのうた【オリジナル曲】
  • 明け方のひとりごと【nagare】(音楽と朗読)
  • 【ラジオ動画】箱の中のおはなし 第1回 腰痛とi…

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今更のご挨拶 〜清水はこべのプロフィール〜

そう言えば、ご挨拶していませんでしたね。 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ごきげんよう。あるいは、はじめまして。 清水はこべ、と、申します。 1.歌って演じる書き手【自己紹介】月の半分は、熱を出している子どもでした。外で友達と遊ぶ事は少なくて、家の中でばかり、遊んでいました。 本が好きで、歌が好きで、ごっこ遊びが好きでした。 「三つ子の魂百まで」って、多分本当です。 百歳には半分足りませんが、半世紀を生き延びた今でも、物語が好きで、歌が好きで、お芝居が

    • 淡い憧れだけで

       中古の小さな鍵盤は、四千円もしなかった。  ハノンの楽譜は千円ちょっと。表紙には「大人からはじめる」と書かれている。  恐る恐る、注文ボタンを押した。子どもの頃を思い出しながら。  確か、小学校四年生だったと思う。  ピアノの教室に、半年だけ通っていた。いや、半年も持たなかったかもしれない。  教室の事は、断片的な記憶しか残っていない。叩かれた手の甲が痛かった事ばかりを、強烈に覚えている。  子どもの私は、教室に通いさえすれば、ピアノが弾ける様になると思っていた

      • 胸に咲く夢

        遠い星と銀河を超えて 静かにあなたの船は往く 黒く凍る闇の狭間に 熱く刹那を刻みながら この星に 繋がれた私には 幾億の星を超え 刻を超え旅をする あなたが見えなくて 灰色の空 見上げて祈るの 魔法なんて使えないけど 空も自由に飛べないけど 胸に咲く夢ひとつ 歌にする あなたに届くかな 闇の狭間で ちいさな道標に なれるかな   消えない痛みは   動力に   消せない夢を   羅針盤に 星も銀河さえも消えるほど 遠い未来に ふたりの夢ひとつ 凍てつ

        • 雨の記憶 【詩と絵 〜実験の欠片〜】

          そっと窓を開けて 雨を眺めている 街並みを洗う 幾多の雨粒 窓枠に肘をついて ただ 眺めている 雨の匂いに 滲む記憶 ちいさな長靴と 水たまり 大きな手のぬくもり シャツを濡らして 走る少年 渡せなかった折り畳み傘 ぼんやりと鮮やかな 幾つもの景色 今はもう失われた 幾つもの景色 そっと窓を閉じて 雨音を聴いている 屋根を叩く 不規則なリズム 灯りもつけず ただ 聴いている いつか 雨を眺めながら 今日の雨を 思い出すのだろう きっと

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        • 箱の中の絵
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        記事

          9月のブランケット

          窓の外 鈴虫の鳴き声 うろこ雲に滲む 月あかり 室温は25℃ 洗い立てのシーツと ブランケットを 独り占め 枕元に持ち込んだ 君の苦手なアールグレイ 微睡みに 熊蝉の空耳 入道雲と太陽の幻 室温は25℃ 長袖のTシャツと ブランケットが 丁度いい ふたりの夏の名残は 指輪の跡の白さだけ ★ やうさんとのTwitter(現X)での会話から生まれた作品です。  昨年7月に、やうさんから、「25℃で毛布かけてるのがちょうどいい」という歌詞の歌を作れないか、と、リクエ

          9月のブランケット

          レファヌキ共和国の道案内(リレー小説「レファヌキ共和国の物語」のご紹介)

           ようこそ、レファヌキ共和国へ。  この国は、ひとりのクリエイターが呟いた、たった一言から生まれた、架空の国です。  沢山のクリエイターを惹きつけて、数々の音楽や、物語や、絵画の舞台となったこの国を、あなたも旅してみませんか。 その1 建国 1 あーば一さんの一言  始まりは、2021年10月、あーばーさんのTwitter(現X)の一言でした。 「ありそうで無い国名を教えて下さい」という大喜利のお題に、あーばーさんが、「レファヌキ共和国」と、ただ一言を投稿されたので

          レファヌキ共和国の道案内(リレー小説「レファヌキ共和国の物語」のご紹介)

          波を鳴らして【小説】

           第一部 山の風  夏休みに、妙子さんの家に行くのは、楽しみでもあり、憂鬱でもあった。  大好きな妙子さんの家は、山の上で、小学生の私は、乗り物に弱かったから。  新幹線を降りた後で、カーブの多い山道を走るバスで過ごす二時間は、永遠の様に長かった。 「すみれ、見て。ほら、もうすぐ滝が見えるよ」  母が、私の気を紛らわそうと、窓の外を指す。私は黙ってうなずく。  本当は、うなずくのも辛くて、景色どころでは無いけれど。 ★ 「いらっしゃい、さやかちゃん、すみれちゃ

          波を鳴らして【小説】

          遠い夏休み

           水飛沫の中に  きらめくのは  狭い庭先の  ビニールプール  初めての海と  若かった両親  水飛沫の中に  きらめくのは  幾つもの  遠い夏休み  X(Twitter)のお題企画「深夜の2時間DTM」参加作品です(お題に沿って、2時間で作曲する企画です)。  参加したお題は、「水遊びをイメージした曲」。  GarageBandでインスト曲を作り、動画をつけました。  39秒の短い音源ですが、フリー素材の水音を使用したり、子供風コーラスや笑い声を入れてみ

          赤い金魚にあこがれて

           金魚すくいは  幼い日の憧れ  連れて帰っても  長い時間を  共には過ごせなくて  いつも泣くのに  お祭りのたびに  鮮やかな赤に  魅せられていた

          赤い金魚にあこがれて

          父の一周忌に寄せて 『銀雨の星 〜♭4 self cover 2023 〜』

          「この歌、何だか、お父さんを思い出した」  私が作詞で参加した、なおがれさんとの共作オリジナル曲を聴いて、母がそう言った。  父の事を書いた詞ではない。  でも、確かに、父の事が無かったら、書けなかった詞だ。  昨夏、長い闘病生活を終えて、父が旅立った。  覚悟はしていた。  元々、主治医から「生きているのが不思議だ」と言われていた父だ。最後の入院では、「これ以上、治療の手立ては無い」と、宣告もあった。  父は過酷な延命を望まなかった。最後まで、手元から本を手放

          父の一周忌に寄せて 『銀雨の星 〜♭4 self cover 2023 〜』

          見えない星

          知ってるんだ もうすぐ 朝が来る事を だけど 信じられないんだ もうすぐ 朝が来るなんて ブランケットと シーツの隙間で 震えながら 見えない星を 探してる 信じたいんだ もうすぐ 朝が来る事を

          夢の旋律 【#シロクマ文芸部 (お題「消えた鍵」)】

          消えた鍵 錆びた錠 閉ざされた夢の扉 白む空 溶けて行く 懐かしい声の記憶 思い出せない旋律 陽の中に 探しながら 腫れた目の微笑みで 歩き出す 朝の街

          夢の旋律 【#シロクマ文芸部 (お題「消えた鍵」)】

          恋の海葬【ショートショート】(お題「塩人」)

          「山上サクラさんのお宅ですか?」  玄関先に訪れた塩人の少年は、貝殻を手にしている。大叔母の言った通りだ。 「サクラは、私の大叔母です。十五年前に他界しました」  私は懐から、形見の貝殻を取り出し、少年の貝殻に重ねた。 ★  二枚の貝殻は、僕の手の上で、ぴったりと合った。伯父から聞いていた通りだ。 「僕は、大浜カナメの甥です。伯父は、先月亡くなりました。遺言で、遺灰を届けに来ました」  鬼人の女性は頷いた。赤い唇。吸い込まれそうな瞳。  塩作りに明け暮れる塩人

          恋の海葬【ショートショート】(お題「塩人」)

          十六夜の贈りもの【短編小説】【#シロクマ文芸部】

           銀河売りの仕事は、今が書き入れ時だ。それは分かっている。  でも、待ち合わせに百年も遅れてくるのは、どうかと思う。 「悪い悪い、立て込んでて、連絡できなくてさ」  兄は、大して悪びれもせずに笑った。  銀河売りの兄にとっては、百年など、ほんの一瞬でしか無いのだろう。  でも、星飼いの私にとっては、そうじゃない。 「あのね、百年も経つと、ヒトなんて、一世代が丸ごと全部消えちゃうんだよ」  手持ちの星の中で、一番綺麗な子が、この百年で見せてくれた景色は、本当に見事

          十六夜の贈りもの【短編小説】【#シロクマ文芸部】

          アナログ巌流島【ショートショート】

          「10分後、巌流島に着陸します」  アナウンスを聴いた途端、夫は、防護服のグローブで、私の手を握りしめた。 「巌流島だ! アナログの巌流島!」 「痛いよ。落ち着いて」 「あ、ごめん」  夫は慌てて手を離し、深呼吸した。こういう素直なところ、可愛いよな。 ★  古代、人類が防護服無しで、地表で生きていけた頃も、新婚カップルは旅に出たらしい。  バーチャル旅行全盛の昨今も、新婚旅行は、アナログと呼ばれる地表世界の、リアル旅行が定番だ。  行き先を巌流島に決めたの

          アナログ巌流島【ショートショート】

          顔自動販売機【ショートショート】

          「30分遅れます。誠に申し訳ございません」  上司宛にメッセージを入れると、バス待ちの列から離れた。  何て事だろう。よりによって、顔を忘れてくるなんて。  帽子を深く被り直す。眼鏡とマスクも着用している。一見して、顔が無い事に気づく人間は居ない筈だ。  急ぎ足で角を曲がり、細い路地へ向かう。家に戻るより早い。  路地の先の小さな公園は、いつもながら寂れていた。人目が無いのを確認して、中に入る。  公園の片隅の自販機に近づいて、もう一度、辺りを見回す。大丈夫だ。誰

          顔自動販売機【ショートショート】