#28『時をかけるゆとり』(著:朝井リョウ)を読んだ感想
朝井リョウさんの『時をかけるゆとり』
朝井さんのエッセイ集第一弾です。
本作を読む前に、重厚なミステリーである『爆弾』(著:呉勝浩)を読んで身体が緊張していたので、力を抜こうと手に取った1冊です。
読み始めてすぐに、抜け過ぎないか心配になりました(笑)
あらすじ
感想
すべてのエピソードが面白くて笑える
朝井さんの鋭い観察力、表現力が発揮されている1冊
人がいる環境で読むのは推奨できない?
戦後最年少で直木賞を受賞した朝井リョウさんのエッセイ集。
朝井さんの小説で印象的なのは、心がえぐられる刺さる表現や心理描写。
僕も、『何者』を読んだ時には何度も心がえぐられました。
本作のエッセイでもえぐられそうになります。
ただし、心ではありません。
腹です。
とにかく笑えて腹がえぐられそうになりました。
本を読んでこんなに笑ったのは初めてかもしれません🤣
先に小説を読んだことで身構えていましたが、見事に拍子抜け。
小説との落差が激しくて「耳キーンなるわ!!」と思わず某芸人のツッコミをしてしまいました。
なぜこんなに笑えるのか?
それは、朝井さんの鋭い観察力、表現力がいかんなく発揮されているからです。
本作では、その方向性が笑いに全振りしてる感じ(笑)
エピソードという名の素材だけでも笑えるのに、プロの小説家の観察力、表現力が加わる。
まさに「鬼に金棒」状態。
プロ野球選手が金属バットを使って試合をしているような感じです(ちょっと違う)
どのエピソードも面白かったですが、特に面白かったのは、「スマートなフォンに振り回される」「旅行を失敗する(その2)」「知りもしないで書いた就活エッセイを自ら添削する」です。
「スマートなフォンに振り回される」は、まさに「事実は小説よりも奇なり」だと思いました(笑)
また、朝井さんの母親も面白いです(笑)
【注意事項】
人がいる環境で読むのは推奨できません🤣
常に気が抜けない状況になります。
気を抜くと噴き出すので危険です。
また、小説から先に読んだ方がギャップを楽しめるのではないかと思いました。
小説では味わえないような読書体験でした。
続編の『風と共にゆとりぬ』と『そして誰もゆとらなくなった』もぜひ読みたいと考えています。
印象的なフレーズ
※一見響く言葉に見えるが、下段の補足説明により、笑いをこらえるのに必死だったことを付け加えておきたい
※こちらも一見響く言葉に見えるが、下段の補足説明により、結局笑いをこらえきれなかったことを付け加えておきたい
※この響く言葉でジーンと来たのもつかの間、次のエピソードの最初の一文で台無しになったことを付け加えておきたい
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