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20240312「ディープ/スリープ」

深く深く落ちて
底まで降りる
ここがそこなのか
それともまだ先があるのか
まだ見えないけれど
まだあるのだろう
四角い水槽の最低面で
見上げるのは
いつかのひかり
眩いのに
目を開けられている
透明な青さに晒され
浮かびそうなのに
沈んでるように
滞留している
ふっと思い出したように
また少し上昇し
もう一段降る
背中の感触がざわつく

ひかりの届かない所まで
そこまで行けばいいのか
抑圧された檻の中で
それを鎧として受け持ち
交わされない自分自身を溜めて
重りとして存在している
体内の空気で活動して
あぶくの浮き輪として
波にさらわれる
おおいと言って
跳ね返るのはいつかの潮騒
耳を澄ませば
残響の調べ
貝殻を手に持ち
もう一度力いっぱい投げつける
砕かられた人生だとしても
波のどこかで漂って
成分として委ねるのだろう
海流に尋ねてみる

上を見つつ下がっていて
下を見つつ上がって行く
揉まれながら
その状況に応じて
渦に巻かれ
最低へと飲み込まれ
浮かび上がるのは
どの想いなのか
照らされた面の兆候で
一瞬ひかるきらっとしたもの
それすら思い違いなのか
錨を結ぶその手を伸ばし
心底放たれるのは
いつの日か
錆び付いたそれをそのままにして来て
誰がその言い訳を宣うのだろう
浮遊の前後で泡にまみれ
金泥に濯ぎ
ゆらゆらと見ている

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