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20231213「カフェノート」

カタカタ叩いて
パタパタ飛んで
浮かぶ画面に現れて
読み込まれ再帰して
正しくもないけれど
それらしい嘘もついて
整合性を調整しつつ
誰彼に届ける
わたし自身への手紙
あるいは読まれない知らせ
苛立ちをよそに
颯爽と歩くエスカレーター
昇降の盛衰
盛り上がりそして冷める
起伏の多い都市と自然
もうひとつの眼差しで
指し示される抽象の枠組み
呪文の先の杖を振り回し
エスエフをもう一度読み込む

どっかのカフェで違う言語を聞く
耳慣れない引用を浴びて
わたしの何かも洗われるだろう
時折わかる違う意味を取り込み
表情からの無駄口をも飲み込み
苦味と甘さを交互させ
出入りする人々に
聞こえない挨拶をしている
香りに揺れつつうとうとして
うっかり零してしまう
涎を拭いて
さも無かったような顔をして
何食わぬ顔を画面に覗き
知らせの強弱をひねり
オートマチックな日常にも
選別される自意識
クラクションで振り向き
何もなかったような一事を
遠近の途中に置き忘れる

時間を集中させつつ
寛いだ間合いに
声をかける
わたしのことを知らない誰かが
あなたのことを気にしているなら
少しだけでも返事をしよう
噛み合わないたどたどしさで
誤読誤聞であっても
勝手に通じて
勝手に続ける
主張してもいいし
相槌しつつ別のことを口にしてもいい
備わる翻訳らしさのやり取りで
勘違いでもしておこう
そこにいてそこではないのに
在ってしまうその時間を過ごし
わたしの全部が晒されるかもしれない
かき混ぜたスプーンをそのままに
コーヒーはまだ冷めてはいない

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