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20231103「口縁から高台へ」

山並みを歩き
見上げつつ
見下ろす
覆われた木々の隙間で
わたしの影も所々溶ける
しばらく進んだら馴染んで
それでも叢の物音がすると
身構えてしまう
何が起こるのか
わからないけれど
様子を見つつ
また前を見る
振り返りつつも
高低を進ませ
その振幅を絡ませ
緑の枝振りと枯葉の盛衰
さりげなく時を募らせる
ふと立ち止まり目を閉じる

海岸線まで視線を向け
降りおようにも足が竦むこともある
小波で足をとられ
転んでしまうかもしれない
横からの前後で
違う感触を足に縺れさせ
交互に進ませる
砂に埋もれつつ
洗われる表皮の塩分
垂れ流された何ものか
深くに呼ばれ
卑怯未練の不覚にも
その旋律を奏で
潮騒はあなたの余韻をも
凍らせる見えない星影として
方位を当てにし
海中の界域を彷徨うだろう
小舟は静かに眠る

涙の受け皿で
形を為すのは
わななく仮象の相反
それでも繋がり続ける
山道と渚
ひとつに加わり
眺めの展開を
各々が拾う
どれを見出し
どれを捨象すれば
わたしたちにとっての
価値を見つけられるのだろう
刻まれた皺を
別の分水嶺として見なすなら
そのひび割れと怠惰な濁りで
受け流す冷たい風
揺れる造形をあやし
ゆりかごはひかりを反射する


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