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20240427「多重露光」

何度も繰り返し
それを見ている
綺麗に汚れたそれらをもって
断片を拾い
組み合わせつつ
輪郭を朧ながらに持つ
その裏側は見えていないのに
もう凋落しているかもしれない
いやそれらを想像させて
自分なりのそれを描いている
何度も反復繰り返しては
別の切片を焼き付ける
大したことないけれど
積み重なる一瞬を多重に乗せて
その時々のあなたを探そう
きっとわたしは知ってはいない

勝手な解釈でもいい
それが各々の違いの担保
わたしの代わりを誰かが補い
誰かの代わりをわたしが担う
自分のことをまざまざと見ていないから
誰かに見つけてもらって
わたしは違うわたしなのだろう
その時その時で場面が変わるように
その変化の様相を付け加える
誰が記録するでもなく
印象の類いをどこかで収め
繕いつつ剥がれ
メディウムの色彩を
その虹彩に写すのだろう
目蓋を閉じては
もう一度見直している

さっきまでそこに居たのに
いつの間にかもう居ない
見回すとわたしを忘れて
誰彼が横切って行く
交差点ではぶつからないように
ゆっくり歩きながら
すれ違いのそれぞれを
わたし以外として肯定しておこう
いつかの地図上では
塗られた区画は
もう誰かへと分譲されているのだろう
わたしの領地と
あなたの面影で
橋を渡り川を渡る
露光を浴びて
わたしの影も濃度を抽出されている

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