見出し画像

運命はすれ違う

「初恋は実らない法則」
そんな言葉を知ったのは中学一年生の時だ。


この法則は半分間違っている。
と僕は証明した。


3歳の頃、小さな幼稚園で芽生えたぼくの初恋は、私の心に深い痕跡を残した。
それは、私の中で特別な時間。

その子は、ぼくの目に映る絵の全てに彩りを与えてくれる主役みたいな人だった。

華やかさに見惚れ、日々は瞬間で過ぎていった。
気が付けば10年が経っていた。
というのに、ぼくが抱く彼女への思いは全く薄れることなく続いていた。

ところで「学園祭マジック」という奇跡の現象を知っているだろうか?

思春期も真っ只中の青少年たちには、
イロコイ物語は必要不可欠なもの。

イベントを目前に、
いや、イベントを更に楽しむためにパートナーを見つけたい。

そういう衝動に駆られる者が多く、
そこかしこでペアが増えてゆく、自然界で言う発情期のようなアツい現象のことだ。

正直なところ
パートナーを求めることに必至な者も多いが、
何故だか、パートナーを得られる確率もそこそこに高い気がする。

総じて
「学園祭マジック」なのだろう。

タイミングを測った訳でもなく、
10年越しの思いを彼女に告げた?いや察してくれた結果、付き合うことができた。

毎日が華やかで色鮮やかな景色ばかりだった。
道端に1人の名も知らない草でさえ、とてつもなく綺麗な色で微笑んでみえる。

幻覚が見える病にでも罹ったのかもしれない。

でも、その華やかな日々もあっという間に過ぎ去った。
1000年に一度舞い降りた奇跡も"マジック"で
学園祭の見せものとなって幕を閉じた。

初恋を経験して数年
新たな恋愛を経てし、歳も経験も重ねた。

そしてある日、偶然が重なり、
10年ぶりにあの彼女と会うことがあった。
私たちは少し大人びていた。
お互いに少し変わったような気がして緊張感がありながらも、不思議な親近感も感じた気がする。

久しぶりの再会は驚きと喜びが入り混じったものだった。
この10年という期間を少し振り返り共有して、彼女のことを改めて知る機会も得られた。

そして私は感じた。
私たちは運命で結ばれていると。


しかし、それは
お互いに思いを抱いていることをストレートに伝えることができず、
何故かこの気持ちを伝えてはいけないような
そんな感覚すら感じていた。

そのまま距離を置くことになった。

時間が過ぎるにつれ、複雑な思いが募る。
何とか機会を作って彼女への気持ちを伝えたいと思ったが運命の再会を求めるあまり、自分自身を失ってしまった。

それから、もう7年が経った。
私たちは再び思いが通じることのないまま、すれ違いを果たしてしまった。


この物語は、愛おしい初恋から始まり、

ここから先は

131字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?