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厭な話

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小説。
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2016年9月の記事一覧

怪談『知り合いかも?』

怪談『知り合いかも?』

「フェイスブックの機能に、『知り合いかも?』ってのが、あるじゃないですか」

二児の母親である持田さんは言った。

「自分のタイムライン見てると、途中で表示されるやつです」

要するに、この人はあなたの知り合いではないか、とフェイスブックが判断して他人のアイコンと名前を表示してくるものだ。

「昔の知り合いや小学校や中学校の頃とかの同級生を見つけたりするのに便利だから時々は使ってたんですけど、最近

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怪談『懲らしめ』

怪談『懲らしめ』

「そいつ、ユウキっていうんですけど」

美容師の松永さんは言った。

「同じ美容室にいて。普段は良いやつなんですけど、調子に乗るとこがあるっていうか。いわゆる、『俺は視える』とか言っちゃうやつで」

視える、というのは?

「おばけです。で、そういうこと言うと、女の子とか、怖がったりするじゃないですか。それでますます調子乗っちゃうやつで」

人にスマホや携帯の写真を見せてもらっては、どこそこに幽霊

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怪談『この駅』

怪談『この駅』

「僕は特に、視える人ではなかったんですけど」

書店勤務の大河原さんは言った。

「出勤するときは、まだ明るいんで、視えないんですけど、視え始めたのは帰り道ですね」

新宿の書店に勤める大河原さんは、自分が住んでいる武蔵境まで、中央線を利用している。

「閉店後に帰るので、電車はいつも座れないんです」

それで大体いつも、先頭車両のドア付近に立って帰ることが多いという。

「夜の町を見ながら帰るん

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怪談『バケモンGO』

怪談『バケモンGO』

「今みんなやってるアプリのゲームあるじゃないですか」

ネイルショップに勤める河田さんは、自分のスマフォを操作しながら言った。

「実際の町並みや道路が、地図で画面に出てきて、そこにモンスターが現れるから、そしたらボールでゲットするってやつなんすけど」

実際に触らせてもらうと、なるほど、確かに、スマートフォンの画面に出ているゲーム上の地図と、実際に私たちがいる喫茶店付近の地図は殆ど同じであった。

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怪談『避難所』

怪談『避難所』

「仕事で、徳島県に行ったときのことなんですけど」

都内で営業職を務める丸谷さんは言った。

「会社に取ってもらったホテルが、結構山の中で、駅前からタクシーでだいぶ行かなきゃいけないところで、参ったなあ、と思いました」

急な出張だったため、駅前のホテルは満員で、そこしか空き室がなかったのだという。

「とりあえずチェックインして部屋に入りました」

部屋の奥にある窓の向こうは山の斜面になっていた

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怪談『霊道』

怪談『霊道』

「あ、怖い話っていうのは、私は聞いたこと無いんだけれどね」

看護師である宮里さんは思い出したように言った。

「ウチの息子の、イチロウが、なんかそういう、お化けや幽霊なんかを、よく見るといっていたよ」

イチロウ君は、今は県内の農協で働いているという。

「小さい頃からね、お母さんあそこにおっちゃんがおるよ、とか、今は子供が移動してるから近づかん方がいいよ、って言って、私には何にも見えない場所を

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厭な話『ナオコさん』+後日談

厭な話『ナオコさん』+後日談



「佐野ナオコさんっていうんですけど」

仲本さんは語った。

仲本さんは沖縄県の南西にある小さな島で、賃貸をしている。

「小さな平屋を貸しているってだけで、大家ってほどでもないんですけど」

自分が住んでいる家の他に、二軒の平屋が同じ敷地内にあり、それを人に貸しているという。

2年前、そこの一軒に、東京から来た若い夫婦が住むようになった。

「奥さんが佐野ナオコさんで、旦那さんが、佐野芳

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短編小説『私の自慢の集合ポスト』 後編

短編小説『私の自慢の集合ポスト』 後編



前編はこちら。■

次の日の朝、メイコはバイトに行く前にエントランスの集合ポストを確認してみたが、ご飯粒一つ落ちていなかった。念のため202号室のポストの扉を軽く指で叩いてみたが、中からは何の反応もなく、空のようだった。

バイトから帰ると、マサノブが部屋の真ん中で腹筋をしていた。買ったばかりの黄色と白のラグマットにマサノブから滴り落ちた汗が染み込んでいく。

「今日のご飯は?」

腹筋から

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短編小説『私の自慢の集合ポスト』 前編

短編小説『私の自慢の集合ポスト』 前編

――少しでも、ましになるなら。

メイコは、そんな風に希望を抱いて、引っ越しを決めた。

新しい街で、新しいマンションで、新しい仕事を始めて。全てを新しくすることにより、自分は生まれ変わるのだ。私にはそうする権利があるし、また、そうするべきだ、とも思っていた。

岐阜の山奥の実家で母親と二人で二週間過ごし、顔に巻いた包帯が取れるようになった頃、メイコはスマートフォン一台で新しい家と町を手に入れたの

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怪談『香典』

怪談『香典』

「怖い話というか、なんかよくわかんない話ならあるんですけど」

アマチュアバンドをやっている奥井さんは、そう笑った。

「スタジオで練習を終えて、深夜勤のバイトに行って、朝方、帰ってた時です」

そのバイトは朝5時に終わり、まだ薄暗い道を、奥井さんは自転車で走ってたという。

「眠かったし疲れてたので、目線が地面の方しか向いてなくて。それで気づいたんですけど」

奥井さんは、視界の端にお金を見つけ

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