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読書日記~トキワ荘関連本の巻。

 藤子不二雄Aさんが亡くなられてから、トキワ荘について考える時間が結構あったのです。
手塚治虫さん、石森章太郎さん、赤塚不二夫さんに藤子不二雄のお二人と、トキワ荘について描かれた作品や関連本はそれなりに持っていたはずなんですが、不思議と部屋を掃除していても全く出てこない。。

 部屋の中から手に取りやすい位置にあったトキワ荘関連の本について、例によって思いつくままに書いていきます。

・水野英子・丸山昭監修「トキワ荘パワー!」(祥伝社)

 まずは水野英子さんと編集者としてトキワ荘に足しげく通った丸山昭さんの監修による「トキワ荘パワー!」です。
水野さんの「トキワ荘物語」でトキワ荘を初めて訪れた際に付き添っていた編集者が丸山さんなんですねー。

 この本の終わり近くには水野さん、丸山さんとよこたとくおさんによる鼎談が載ってまして、そこでは「巨匠たちが編み出した数々のまんが技術(テクニック)」が語られています。

鼎談は手塚治虫さんのエピソードから始まり、丸山さんは「少女クラブ」の編集者だったので、トキワ荘周辺の漫画家さんに少女まんがを発注したいきさつについて語っています。

他にもトキワ荘メンバーの同人的活動として、曙出版から発売された「えくぼ」について表紙や内容の一部を紹介していますね。

少女まんがの二大テーマであった「ロマンス」と「ほのぼのまんが」についても語られていて、当時の男女関係がベースにあったりと興味深い内容です。

そして、トキワ荘で編み出されたテクニックとして、構図やスクリーン・トーンの使い方などがまず分析されています。

具体例として挙げられているのは石森章太郎さん作品!現在では普通になった表現について語られているのです。

私が石森章太郎さんが一番好きな漫画家だったのは絵の魅力とこうした部分だったな、と懐かしく思いました。

続いては合作についてで、これがまた興味深い!具体例を挙げての説明がとにかく面白いのでした。

鼎談の締めはトキワ荘メンバーが創りあげたものの総括で、水野さんがこの本を出すきっかけについて触れています。
少女まんがの歴史的空白を埋めるためだったとは!素晴らしい。

 トキワ荘資料館として、水野さんの「トキワ荘物語」が掲載され、漫画家の居住していた時期や見取図もありますね。

 あとがきは何と!みなもと太郎さんが書いています。
漫画史についてはやはりこの人ですね。
みなもとさんによる少女漫画の分析はとにかく深いです。
米沢嘉博さんによる「戦後少女マンガ史」を引っ張り出して、すぐに読まなければと今思いました。どこにあったっけなぁ。。

・長谷邦夫「赤塚不二夫天才ニャロメ伝』(マガジンハウス)

 トキワ荘通い組といえば必ず名前が出てくる長谷邦夫さん。ちなみに私はずーっとはせくにおさんだと思ってました(正解はながたにくにおさん)。
長谷さんのプロフィールを見てビックリしたのはトキワ荘以前に「宇宙塵」に参加していて、星新一さんや光瀬龍さんと交友があったことです。
トキワ荘通い組になった関係から、スタジオ・ゼロに参加した後、フジオ・プロにというのはご存知の通りですよね。

 ちなみに赤塚さんと長谷さんが知り合ったのは伝説の同人誌「墨汁一滴に参加していたからのようです。
そして、貸本中心に漫画を書いていた長谷さんは「新漫画党」に入れなかったとか。

この本では赤塚さんの部屋につげ義春さんが訪ねてきたエピソードはかなり刺激的ですね。
もちろん、ちばてつやさんが悪ふざけで大ケガをして、トキワ荘にペン入れを頼みにきた話もしっかり書いてあります(トキワ荘メンバーに頼んだ編集者は丸山昭さんだったとは!)。

 赤塚さんと長谷さんの長い付き合いは基本的には愉快なエピソードが多いのですが、やはりビターなことも書いているわけで。。
初めて読んだ時はとにかく複雑な心境になった記憶があります。
今回、読み返してやはり何とも言えない気分になってしまいました。

・丸山昭「トキワ荘実録-手塚治虫と漫画家たちの青春-」(小学館文庫)

 トキワ荘のキーマンの一人、丸山昭さんの著書です。
漫画は漫画家さんだけでは作品が届かないということを実感させる内容です。
それにトキワ荘以外のエピソードもとにかく面白いのでした。
この本に出てくる人名小事典も素晴らしい。現在もおそらく新刊で入手可能なので、未読の方は是非読んでください。

 ということでトキワ荘関連の本について書いてみました。
部屋の中には藤子不二雄Aさん「まんが道」や色々とまだあるはずなので、また読み返してみたいと思っております。
部屋の整理は本当に大切ですね。頑張ります。

 明日も本の整理をする中から見つかった本について書く予定です。まだ何が出てくるかわかりません。お楽しみに。

 ではまたー。

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