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物語紹介 #003 「灰羽連盟」

日付が変わりそうだな、とぼんやり思っていたら記事を思い出した。間に合わなければ三日坊主だが大丈夫だろうか。

今日は2002年のアニメ、「灰羽連盟」について、配信が今月末で終了するらしいから取り急ぎ。

作品はzabadakの「飛行夢」からインスピレーションを受けたモノであり、これを聴けばかなり世界のイメージが湧くのではないかと思う。


かつて「『Angel Beats!』に似てる作品だよね?」と言われて驚いたことがあったが、よくよく考えてみれば確かに設定は近い。
主人公達は「灰羽」と呼ばれた天使のような見た目であり、ある日突然繭の中から生まれてくる。箱庭のような場所で他の灰羽や村人と共に過ごし、やがて時が来たらその箱庭を去って行く。
おそらく灰羽たちは元は人間であり、死者であり、何か後悔のようなものから解き放たれたとき、灰羽の世界から消え、新たな命が始まる……という風に解釈されることが多く、そうであるならばとても似ているだろう。

また、灰羽の中には罪憑きと呼ばれる存在もおり、彼らはそのままでは巣立つことができず、いつか皆の記憶から消え去ってしまう。
作中で最も重要な台詞はこれだろう。

「罪を知る者に罪は無い では汝に問う 汝は罪びとなりや」

自分の罪を自覚することで人は罪から赦されるが、そうして罪が無いと思ってしまうと、自分の罪を自覚していないことになり、それは罪人である。
そんな循環的な問いに対しどう折り合いをつけるか、という話だ。

この物語の特徴として、ほとんど説明がなされない、ということがある。美しくどこか鬱蒼とした世界観で魅せつつも、灰羽が何なのか、この世界は何なのか、繭の中で観ていた夢は何なのか、消えた後灰羽たちはどうなってしまうのか、そう言ったものは殆ど明言されないし、だからこそ視聴者はあれこれ考察して解釈する。その一環で「Angel Beats!」みたいだと言われるような意見が生まれてきた。

2000年前半の作品はよく言えば「読者の創造の予知を残す」、悪く言えば「説明不足」なものが多いのだが、これはヱヴァンゲリヲンの影響を色濃く受けたのではないか、という指摘が多い。確かに最近は全て説明しなければいけないというような風潮が強いな、と思うことはある。ちゃんと説明されなかった作品は「伏線回収をしていない」と捉えられる。
そのためクリエイターも全てを説明した作品を創ることを目指すのだが、これは裏を返せば「読者のリテラシーを信用していない」とも言える。たまには読者のリテラシーを信じてあげて欲しいし、読者ももう少しだけ自分から作品の側に歩み寄ってもいいのにな、と思ったりしなくもない。と言いつつも、僕自身「シンエヴァ」の全てを回収しきったようなラストがとても好きだった。勝手なものである。



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